はじめに
冬の寒い季節、雪は屋根に大きな影響を与えることがあります。屋根の構造や材質によっては、雪の重みに耐えきれず、屋根が変形したり、破損することがあります。
また、雪が溶けて水分が屋根に浸入すると、屋根内部に湿気がたまり、長期間放置すると腐食やカビの原因になることもあります。
本記事では、雪が屋根に与える影響を深掘りし、雪対策に必要な具体的な方法を紹介していきます。
雪で雨漏り!?「すがもり(すがもれ)」とは?
「すが漏り」とは、雪が原因で起こる雨漏りの一形態で、特に冬季に発生することが多い現象です。これは、屋根に積もった雪が解けかける際に、雪解け水が屋根の隙間や傷んだ部分を通じて屋内に浸入することによって起こります。特に、雪が屋根に長期間積もっている場合や、屋根の防水機能が低下している場合に発生しやすいです。
具体的には、屋根の上に積もった雪が暖かい日差しや室内の暖房によって溶け始め、溶けた雪の水分が屋根の縁や隙間に滞留します。これが屋根材と屋根下地の隙間から漏れ、屋内に侵入するのが「すが漏り」です。屋根の勾配が急でない場合や、雪止め金具が設置されていない場合、雪解け水が一気に流れ落ちず、屋根の一部に水が溜まりやすくなるため、この現象が引き起こされます。
また、すが漏りの原因としては、屋根材や屋根下地の劣化も影響しています。屋根材がひび割れていたり、古くなって防水性が低下している場合、雪解け水がその隙間を通って屋内に漏れ込むことになります。特に、雪が解けるときに温暖な気候が続くと、屋根内部で氷が溶け、屋根材やその接続部分が劣化して水分が浸入しやすくなります。
「すが漏り」と「雨漏り」の違いについて
雨漏りは、通常、屋根材の破損や劣化、屋根の接続部分の不具合などが原因で発生します。雨漏りは主に雨水が屋根材を通じて内部に浸入する現象で、屋根の防水機能が破損したり、老朽化した場合に起こります。
例えば、瓦が割れたり、屋根材の間に隙間ができたり、雨樋や排水口が詰まって水が屋根上に滞留すると、雨水が屋内に漏れ込んでしまいます。このような漏水は、長期間放置すると建物の構造にダメージを与え、内装材や天井を腐食させる原因となります。
一方、すが漏りは、主に雪解け水が原因で起こります。屋根に積もった雪が温度の変化により部分的に解け、雪解け水が屋根材や接続部分の隙間を通じて屋内に浸入する現象です。特に、雪が屋根の上で溶けた後に再凍結することで、氷が屋根の隙間に溜まり、それが解ける際に水分が漏れ出してすが漏りが発生します。
屋根の隙間や古くなった防水層が原因となりますが、劣化等がなくても軒天部分が短いなど、構造上の問題ですが漏りが発生する場合があります。
雪の多い地方に発生するすが漏りですが、最近では建物の構造の問題で、積雪の少ない地方でもすが漏りが発生する場合があります。
雨漏りもすが漏りでも、いずれにしても建物に深刻な影響を与えるため、早期発見と修理が重要です。
雪による屋根への影響
すが漏りの他にも、雪による屋根への影響は下記のようなことがあります。
雪の重みと屋根への負担
雪が積もることで、雪の重みが屋根に直接的な負担をかけます。
例えば、1平方メートルあたりに積もる雪の重さは、地域によって異なりますが、一般的に10~20㎝の積雪であれば約30~60㎏の重さになります。これが屋根全体に広がると、屋根全体に大きな圧力をかけ、最終的には屋根の構造にダメージを与える原因となります。
特に屋根が古くなっている場合や屋根の構造自体が弱い場合には、雪の重みを支えることが難しくなることがあります。屋根が変形したり、最悪の場合、崩壊する危険性もあります。
雪が急激に積もる地域では、積雪が短期間に多くなることがあり、予期しない重さが屋根にかかることになります。積雪量の多い地方では、定期的に屋根の状態をチェックし、積雪を除去することが重要です。
さらに、雪の重みに加えて、湿度や温度の変化が屋根の負担を増大させる場合もあります。寒冷地では、湿った雪が積もり、それが凍結して重くなることで、屋根にかかる圧力が一層強くなります。このような状況では、屋根材が割れるリスクや、屋根全体の耐久性に悪影響を及ぼす可能性が高くなります。
カーポートやテラスの屋根などは、特に注意が必要です。
融雪による雨樋や排水口の詰まりと破損
雪が積もると、屋根や雨樋に圧力がかかり、溶けた雪や氷が雨樋や排水口に詰まることがあります。この詰まりが続くと、排水が不十分になり、雪解け水が溢れ出して屋根や建物内部に浸水する原因となります。特に排水口や雨樋が凍結していると、雪が溶けた水が流れ出さず、屋根に溜まってしまいます。
また、雨樋や排水口が凍結して詰まることで、これらの構造が破損するリスクも高くなります。氷や雪が圧力をかけることで、雨樋が割れたり、変形したりすることがあります。さらに、破損した雨樋が屋根や外壁に水を直接かけ、さらなるダメージを与えることがあります。
雪解け後には、雨樋や排水口の点検と清掃を行い、詰まりを防止することが重要です。
屋根の構造と材質による影響
屋根の勾配による影響
- 急勾配の屋根
雪が自然に滑り落ちるため、積雪の問題が少なく、積もった雪の重みによる負担が軽減されます。雪の積もり方も均等になりにくく、積雪量が最小限に抑えられます。
- 平屋根や緩やかな屋根
雪が溜まりやすいため、重さに耐えるための対策が必要です。特に平屋根では積雪量が多くなることがあり、定期的な除雪が欠かせません。雪が溜まり続けることで、屋根に過剰な負担がかかるため、注意が必要です。
屋根材の種類による影響
- 瓦屋根
耐久性が高く長持ちしますが、雪が積もると重くなり、下地に十分な強度が求められます。積雪の重みに耐えられない場合、瓦が割れたり、屋根が変形したりするリスクがあります。
- 金属屋根
金属屋根は積雪に強い屋根材として広く使用されています。金属の滑らかな表面は雪が自然に滑り落ちる特性を持っており、積もった雪が長時間屋根に残ることなく、重さによる屋根への負担を軽減します。特に急勾配の屋根と組み合わせると、雪が一気に落ちることを防ぎながら、屋根にかかる圧力を分散させることができます。
雪を効率的に排除する方法
早期に除雪を行う
雪が屋根に積もった場合、できれば早期に除雪することが重要です。雪が長期間屋根に残っていると、その重さが屋根にかかる圧力を増し、屋根の変形や破損を引き起こす原因となります。また、雪が溶け始めると、解けた雪が水分として屋根に滞留し、浸水や凍結を引き起こす可能性もあるため、定期的に雪を除去する必要があります。
手作業で雪を取り除く方法もありますが、高所での作業になるため、十分な安全対策を講じることが必要です。特に、屋根の勾配が急な場合や積雪量が多い場合、滑りやすい屋根の上での作業は危険です。作業を行う前に、安全な足場を確保し、適切な装備(ヘルメット、安全帯、防滑靴など)を使用することが重要です。
また、屋根に上る際は、天候や雪の状態に応じて作業を行う時間帯を選び、急激に温度が下がらない時期に作業することが安全です。
雪止め金具の設置
屋根の縁部分に雪止め金具を取り付けることで、雪が一気に滑り落ちるのを防ぎ、安全に除雪することができます。
雪止め金具は、特に傾斜のきつい屋根に有効で、雪が急激に落下するのを防ぐことで、屋根の変形を防ぐ効果もあります。雪止めがしっかりと設置されていれば、除雪作業が安全に行えるだけでなく、屋根の寿命を延ばすことにも繋がります。
屋根材によっては、雪止め金具が合わない場合もあるため、設置前に専門家に相談することをお勧めします。また、定期的に雪止め金具や屋根全体のチェックを行い、異常がないかを確認しておくことが予防策になります。
屋根の断熱性能の確認
屋根の断熱性能を確認し、必要に応じて断熱材の追加を検討することも効果的です。屋根裏の温度が一定に保たれていると、雪が均等に溶けるため、局所的な積雪や凍結を防ぎ、屋根全体の劣化を防止できます。特に寒冷地では、断熱性能が高いと屋根の耐久性が向上し、雪による影響を抑えることができます。
まとめ
雪は屋根に様々な影響を与えるため、適切な雪対策と定期的なメンテナンスが重要です。雪止め金具の設置や定期的な雪の除去、屋根の断熱性能の確認を行うことで、雪による浸水や屋根の変形を防げます。
また、屋根材の劣化を防ぐために、亀裂や破損、雪止めの設置状況を定期的にチェックすることが大切です。
適切な準備と対策を講じることで、屋根の寿命を延ばし、住宅の安全性を守ることができます。
雪が降る前に屋根の状態をしっかり確認し、必要な対策を取ることで、屋根ののトラブルを未然に防ぐことができます。
屋根点検や雪対策についてのご相談は「屋根修理の匠ひおき」までお気軽にご相談ください。
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