はじめに
スーパーガルテクトは、屋根横葺き材の代表製品です。アイジー工業の製品であり、住宅の屋根リフォームで近年よく採用されている国産の金属屋根材です。
高い耐久性と軽さ、そして優れたコストパフォーマンスを兼ね備えており、屋根材と断熱材が一体化した独自構造が特徴です。
この記事では、スーパーガルテクトの耐久性、コスト、施工性、断熱性能について詳しく解説し、他の屋根材との比較やメリット・デメリットも分かりやすくまとめます。リフォームを検討の方にも理解しやすいよう専門的な内容を噛み砕いて説明します。

耐久性 (長持ちする理由とメンテナンス)
スーパーガルテクト最大の特長の一つが、その優れた耐久性です。表面材にはガルバリウム鋼板を改良した「エスジーエル鋼板(SGL鋼板)」という次世代鋼板を採用しています。これは従来のガルバリウム鋼板にマグネシウムを加えて耐食性を高めた素材で、通常のガルバリウム鋼板と比べて耐久性が3倍以上あると評価されています。
特に海岸地域で問題となる塩害に対して強く、サビにくい性質を持ちます。
この超高耐久ガルバ鋼板のおかげで、スーパーガルテクトは長期間にわたり安定した性能を発揮できるのです。
また、独自の塗装・めっき技術により、メーカーからは塗膜15年・赤さび20年・穴あき25年の長期保証も提供されています。スーパーガルテクトフッ素という上位グレードはさらに、変退色20年・赤さび20年・穴あき25年となり、より色あせがしにくい優れた製品となります。
これはスーパーガルテクトのめっき層厚が一般的なガルバリウム鋼板より約1.25倍厚く、腐食に対する余裕が大きいことに裏付けられています。
実際の耐用年数の目安も通常版でも約25~35年と長く、フッ素の場合はそれ以上の年数が期待できます。従来のスレート屋根などに比べて非常に寿命が延びます。
長寿命ということは、屋根の葺き替えや大規模補修の頻度を減らせるため、将来的なメンテナンス費用や手間の軽減にもつながります。
スーパーガルテクトは耐久性だけでなく耐候性(天候に対する強さ)や安全性の面でも優れています。金属製で軽量なため、地震時に瓦のように屋根材が割れる心配がなく、安心です。
実際、瓦屋根は重さゆえに地震で建物に大きな負荷を与えますが、軽い屋根材なら揺れを抑え建物倒壊のリスクを減らせます。
さらに台風など強風への対策も万全で、メーカーの風洞実験では風速65m/s(時速234km相当)の暴風でも本体の飛散や破損は起こらなかったという結果が報告されています。金属屋根は一枚一枚がビス留め等でしっかり固定されるため、経年劣化やひび割れで瓦やスレート板が飛ばされるような心配もほとんどありません。
このようにスーパーガルテクトはサビに強く長持ちするだけでなく、地震・台風といった自然災害にも強い屋根材と言えます。
なお、耐久性が高いとはいえメンテナンスフリーではない点には注意が必要です。長年経過すれば表面塗膜の劣化(白亜化現象)が起き、いずれ防錆効果が落ちてサビが発生し始めます。
これは他の屋根材でも同様ですが、スーパーガルテクトも20年前後を過ぎた頃には塗り替えなどのメンテナンスを検討するのが安心です。ただし、それまでの期間は塗装の塗り直しが不要になるため、トータルではメンテナンスの回数・費用を大幅に減らせるメリットがあります。

コスト (初期費用と長期的コストパフォーマンス)
費用面について、スーパーガルテクトは一般的に初期費用がやや高めと言われます。他の安価な屋根材や既存屋根の塗装リフォームなどと比較すると、材料費・施工費ともに割高になる傾向があります。
実際、メーカー希望価格や施工業者の価格設定にもよりますが、リフォームでスーパーガルテクト(ポリエステル)通常版を採用する場合1㎡あたり約7,000円前後が費用の目安という声もあります。例えば、一般住宅(約30坪=100㎡弱)の屋根を全面リフォームする場合、ざっくり70万円前後が材料・施工費の相場イメージとなり、これはスレート屋根の塗装だけで済ませるケースに比べれば高額です。
しかし、スーパーガルテクトは長期的なコストパフォーマンスに優れている点で初期費用の高さを十分カバーできます。前述の通り耐久性が高く、リフォーム後15年間は再塗装不要とされているため、10年ごとに塗り直しが必要な従来屋根に比べ維持費が大幅に抑えられます。初期費用こそ少し高めでも、トータルコストではむしろ経済的だというデータもあります。
実際、「10年毎に塗装が必要な屋根」と「スーパーガルテクト(15年ノーメンテナンス)」を比較すると、15年時点で再塗装が要らないスーパーガルテクトの方が断然お得になるという試算結果がメーカーから示されています。耐久寿命自体も長いため、葺き替えのスパンも延び、足場仮設など大掛かりな工事の回数も減らせます。
さらに、スーパーガルテクトは断熱材一体型ゆえに光熱費削減効果も期待できます。後述するように夏の遮熱性・冬の保温性が高く、冷暖房費の節約につながることから、広い意味ではランニングコスト面でプラスに働きます。
このように初期投資を長期的なメリットで回収しやすいのがスーパーガルテクトの魅力です。実際、競合の金属屋根材と比べても耐用年数の長さやメンテナンス頻度の少なさから「コストパフォーマンスが高い」と評価されています。
もちろん、初期費用が予算に与えるインパクトは無視できません。スーパーガルテクトや同等品は高機能ゆえ製品価格・施工費用ともに高めに設定される傾向があります。
したがって、短期的な予算だけを見ると敬遠される場合もあります。しかし「屋根は一度施工したらやり直しが難しい」という性質を考えれば、長期視点で費用対効果を考慮することが重要です。
スーパーガルテクトは「丈夫で長持ち、ずっと安心できる屋根」というコンセプトで開発されており、将来的な修繕コストを抑えたい方には有力な選択肢となるでしょう。
施工性 (軽さ・工事のしやすさ・工期)
スーパーガルテクトは施工のしやすさでも高く評価されています。その最大の理由は何と言っても軽さです。

スーパーガルテクトの重量は1㎡あたり約5kg程度しかなく、同じ面積で比較するとスレート屋根(カラーベスト等)の約1/4、和瓦屋根の約1/10という驚きの軽さです。例えば120㎡の屋根全体重量で見ると、スーパーガルテクトは約600kg(馬1頭分程度)なのに対し、スレート屋根は約2500kg(カバ1頭分)、和瓦屋根に至っては約6000kg(アフリカゾウ1頭分)にもなります。これだけ軽いと施工者が持ち運びやすく取り回しが楽なため、工事効率も上がります。実際、1枚あたりのパネルは長さ約3m・幅30cm弱・重量数kg程度で、職人1人でも安全に扱えるサイズです。軽量ゆえに高所での作業負担も少なく、施工中の事故リスク低減にもつながります。
軽量な屋根材は建物の構造への負担が小さいことも見逃せません。古い家屋を重い瓦から葺き替える場合など、構造体への荷重を大幅に減らせるため耐震性が向上します。
また既存屋根の上から新しい屋根材を被せるカバー工法(重ね葺き)にも適しており、古いスレート屋根の上に直接スーパーガルテクトを施工することが可能です。
カバー工法を用いれば既存屋根の撤去処分費が不要になり、工期短縮とコスト削減につながります。実際、スレート屋根のリフォームでは撤去せず上からガルバリウム鋼板屋根を重ねる方法が一般的で、スーパーガルテクトもその代表的な材料です。
施工期間(工期)も比較的短くて済む場合が多いです。軽く大判なパネルであるため一日あたりの施工面積が稼ぎやすく、工事全体を迅速に進められます。実例として、延べ面積56㎡の屋根カバー工事が1日で完了したケースも報告されています。(建物形状や職人数によります)。一般的な戸建住宅でも、順調に進めば数日程度~1週間以内で屋根リフォームが完了することが多いでしょう。工期が短ければ施主の生活への影響も少なく、雨漏りなどリスク期間も減らせます。
さらに、スーパーガルテクトには標準サイズ(働き長さ2960mm)の他に、短尺サイズの「スーパーガルテクトC」もラインナップされています。スーパーガルテクトCは働き長さ1820mmと半分ほどの長さで、狭い現場や複雑な屋根形状でも扱いやすいコンパクト版です。このように製品バリエーションでも施工のしやすさに配慮されています。
ただし、金属屋根材の施工には専門的な知識と技術が要求されます。他の屋根材と比べて板金加工や防水処理のノウハウが工事の品質を左右するため、経験豊富な業者に依頼することが大切です。
正しく施工すれば問題ありませんが、素人施工や不適切な工法では継ぎ目から雨水が入ったり固定が甘くなる恐れもあります。信頼できる屋根専門業者に任せることで、スーパーガルテクトの性能を十分に発揮させることができます。

断熱性能 (遮熱性・省エネ効果)
スーパーガルテクトは断熱性能にも非常に優れています。屋根材の裏側に硬質ウレタン系の断熱材(ポリイソシアヌレートフォーム)が一体成型されており、金属屋根でありながら高い断熱効果を発揮します。その性能は数値にも表れており、スーパーガルテクトの熱貫流率(U値)は1.43 W/㎡Kと公表されています。
この数値は建物用の断熱外装材に匹敵するレベルで、屋根材自体としては極めて高い断熱性を示しています。断熱材の厚みは最大16mmあり、屋根材どうしの継ぎ目(かん合部)にまで断熱材がぎっしり充填されています。そのため鋼板同士が直接触れ合わず、熱橋(熱の伝わり道)を遮断する構造となっています。メーカー独自の成形技術で複雑なかみ合わせ部分にも断熱材が行き渡る設計になっており、屋根裏への熱侵入を徹底的に防いでいるのです。
加えて、スーパーガルテクトの表面には高遮熱性の塗料が塗装されています。太陽光の赤外線を反射する特殊塗料と断熱材の相乗効果により、夏場の屋根の温度上昇を大幅に抑制します。屋根材自体の構造・形状も通気性や遮熱性を高める工夫がされており、真夏の強い日射条件下でも小屋裏(屋根裏)の温度上昇が緩やかになるという試験結果が得られています。
メーカーの実験では、実物大の模型屋根に人工太陽照射して比較したところ、スーパーガルテクトで葺き替えた屋根は屋根裏面温度の上昇がしっかり抑えられることが確認されています。つまり、夏は室内が涼しくなりやすい効果が期待できるわけです。一方冬場は、屋根からの放熱を断熱材が防いでくれるため暖気が逃げにくく、室内の暖かさを保ちやすいという利点があります。季節を問わず快適な室内環境に寄与してくれる屋根材と言えるでしょう。
断熱材として使われているポリイソシアヌレートフォーム(略してポリイソやイソフォームとも呼ばれます)は、耐熱性・難燃性に優れた素材です。
一般的なウレタンフォームと比べて熱で溶けにくく、万一火が付いても燃え広がりにくい自己消火性を持っています。実際、スーパーガルテクトに使用されている断熱材は燃焼時に表面が炭化してそれ以上燃え広がらない性質があり、発熱量や燃焼速度も小さく抑えられています。また屋根材として必要な飛び火認定(延焼防止性能)も取得済みで、防火性能の面でも安心です。
金属屋根というと火に弱そうなイメージを持たれがちですが、スーパーガルテクトは断熱材と相まって耐火・防火性にも配慮された設計となっています。
さらに、断熱材一体型構造の副次的な効果として遮音性能の向上も挙げられます。金属屋根は雨音が響きやすいというデメリットがありますが、スーパーガルテクトでは裏打ちされた断熱材が音を吸収・緩和するため、一般的な金属屋根より静かです。
人工降雨機で豪雨(雨量106mm/h)を再現した試験では、スーパーガルテクトの屋根では室内の雨音がささやき声程度の大きさまで低減されたというデータもあります。
これは屋根材の鋼板と断熱材が一体化していることで振動が抑えられ、音エネルギーが室内に伝わりにくくなるためです。遮熱・断熱に加えて遮音性にも優れている点は、快適な住環境づくりにおいて大きなメリットでしょう。
他の屋根材との比較
スーパーガルテクトの性能をより理解するために、従来の屋根材や競合製品といくつかの観点で比較してみます。代表的なスレート屋根(コロニアル)、瓦屋根、そして他社の金属屋根材との違いを見てみましょう。
スレート屋根(コロニアル)との比較
日本の一般住宅で広く使われてきたスレート屋根(化粧スレート、カラーベスト、コロニアル等)とスーパーガルテクトを比較すると、耐久性・重量・断熱性の面で大きな違いがあります。
まず耐久性・メンテナンスに関して、スレート屋根は10年前後ごとに塗装の塗り替えが必要になるのが一般的です。新築から約10年も経てば色あせや防水性低下が起こり、再塗装しないと劣化が進んでしまいます。
しかしスーパーガルテクトなら少なくとも15年間は再塗装不要とされておりメンテナンスサイクルが長く取れます。実際、多くのスレート屋根は築20~30年程度で寿命を迎え葺き替えが必要になりますが、スーパーガルテクトは25~35年の耐用年数が期待できるためスレートより長寿命です。将来的な葺き替え回数も少なくて済み、メンテ費用の差となって表れてきます。
次に重量の比較です。スレート屋根の重量は1㎡あたりおよそ20kg前後(製品や含水率による)あります。一方、スーパーガルテクトは約5kg/㎡と非常に軽量で、スレートの4分の1ほどの重さしかありません。
この差は建物の耐震性に大きく影響します。重いスレート屋根は地震時に建物を大きく揺らし構造体に負荷を与えますが、軽いスーパーガルテクトに葺き替えることで揺れを軽減し耐震性を高めることができます。
また、古いスレート屋根のリフォームでは撤去せず上からスーパーガルテクトを重ね張りできるため、工事もスムーズです。
断熱・遮熱性能についても両者には大きな差があります。スレート材自体には断熱性がなく、屋根裏の断熱材に頼る形になります。夏は屋根表面が非常に高温になりやすく、その熱が野地板を通じて室内に伝わりやすい欠点があります。スーパーガルテクトなら、屋根材そのものに高性能断熱材が組み込まれており、さらに遮熱塗装の効果で夏の暑さを大幅に遮断します。
「夏は涼しく冬は暖かい」という快適性の違いは、断熱層を持たないスレート屋根と比べてスーパーガルテクトの大きな優位点です。その分、初期費用はスレートより高くなりますが、快適性や省エネ効果まで含めると十分検討に値するでしょう。
総じて、スレート屋根の短所(耐用年数・重さ・断熱性の低さ)を克服した屋根材がスーパーガルテクトと言えます。既存のスレート屋根からのリフォームを検討している方には、非常に有力な選択肢となります。
瓦屋根との比較
伝統的な瓦屋根(和瓦)とスーパーガルテクトを比較してみます。瓦は粘土瓦やセメント瓦など種類がありますが、ここでは主に重い和瓦を想定します。
重量の差は一目瞭然で、瓦屋根は非常に重たいです。一般的な和瓦は1㎡あたり約50kgにもなり、屋根全体では数トン単位の重量になります。一方スーパーガルテクトは約5kg/㎡と瓦の1/10程度の軽さです。
これは耐震上大きなアドバンテージで、瓦屋根からスーパーガルテクトへ葺き替えることで建物の重心が下がり、地震時の揺れを大幅に減らせます。
阪神淡路大震災以降「屋根は軽い方が良い」と言われるようになりましたが、スーパーガルテクトはまさに超軽量で地震に強い屋根なのです。
耐久性に関しては、一概にどちらが上とは言いにくい部分があります。瓦そのものは非常に耐久性が高く、適切に管理すれば50年以上持つことも珍しくありません。色あせもしにくく、塗装の必要も基本ありません。ただし瓦屋根でも定期的な点検や部分補修は必要です。瓦のズレや割れ、漆喰の劣化、野地板やルーフィングの寿命など、瓦以外の部分でメンテナンスが発生します。その点、スーパーガルテクトは屋根材・防水・断熱が一体化しており、トータルで見た耐久性能・メンテナンス性に優れます。前述の通り長期保証も充実しており、メンテナンスコストの見通しが立てやすい利点があります。
台風や地震への強さでは、スーパーガルテクトに軍配が上がります。瓦屋根は重みで普段は安定していますが、地震で大きく揺れると瓦どうしが衝突して割れたり落下したりする危険があります。また、経年で瓦を留める釘や土が緩むと台風時に瓦が飛ばされるケースもあります。一方、スーパーガルテクトは前述のように強風実験で暴風下でも飛散しないことが確認されており、金属製なので地震時にも割れる心配がありません。
実際「瓦が割れて屋根が飛散する心配がない」という点は金属屋根の大きな安心材料です。
また軽量なので万一外れても落下エネルギーが小さく被害が抑えられる、という安全面での利点もあります。
断熱性については、瓦自体には断熱効果はありませんが、瓦屋根は瓦の下に空気層があるためスレートよりは直射熱を伝えにくい構造です。ただし断熱性能そのものはスーパーガルテクトの方が高く、遮熱塗装も施されているため夏場の涼しさではスーパーガルテクトが勝るでしょう。
一方で瓦屋根は熱容量が大きく夜間に放熱するため、夏の夜は瓦の方がゆっくり涼しくなるという面もあります。このあたりは断熱材の有無や通気層の構造など複合的な要素があります。
費用面では、瓦屋根は材工ともに高価で、葺き替えには相応のコストがかかります。スーパーガルテクトは瓦より安価とはいえ高機能材なので安くはありませんが、古い瓦屋根を軽量な金属屋根に葺き替えることで耐震性を向上させつつ費用を抑える事例も増えています。特に瓦屋根の下地(野地板や防水シート)が傷んできた場合、重い瓦を新品に葺き直すより軽いスーパーガルテクトで葺き替える方が、今後の維持管理も含め合理的なケースが多いようです。
まとめると、瓦屋根は伝統的で高耐久だが重く、スーパーガルテクトは軽量で災害に強くメンテしやすいと言えます。純和風の外観にこだわるのでなければ、旧来の瓦からスーパーガルテクトへの変更は耐震・耐風上大きなメリットがあるでしょう。
他の金属屋根材との比較 (横暖ルーフ 等)
スーパーガルテクトと同じカテゴリの製品として、ニチハ社の横暖ルーフや、その他各社のガルバリウム鋼板屋根材があります。ここでは特に近い性能を持つ横暖ルーフとの比較を中心に述べます。
横暖ルーフ(ニチハ)は、スーパーガルテクト同様にガルバリウム系鋼板と断熱材を一体化させた屋根材です。両者は非常に似た構成・性能を持ちます。両者とも特に高耐久なフッ素遮熱鋼板仕様のシリーズでは耐久性が高く、長期的なコストパフォーマンスでも優れるとされています。
屋根勾配に注意が必要なのは両者ともです。スーパーガルテクト、横暖ルーフともに最低でも2.5寸(約14°)以上の勾配が必要という制約があります。
製品バリエーションや選択肢にも差はありません。ニチハの横暖ルーフは「横暖ルーフS」「横暖ルーフα」「横暖ルーフプレミアム(フッ素)」といった具合に複数のグレード展開があり、カラーバリエーションも豊富です。それに対し、スーパーガルテクトも標準品とフッ素入り、短尺タイプ(C)の3種類で、通常版で色も6色程度となります。
価格面では、両者ともガルバリウム鋼板断熱屋根材として同程度の高価格帯に位置します。横暖ルーフにはグレードによって価格幅がありますが、標準品でスーパーガルテクトと同程度、遮熱強化やフッ素仕様の上位品ではスーパーガルテクトフッ素と同じになる場合もあります。一部情報では「スーパーガルテクトの方が横暖ルーフより若干価格が低い」とする声もありますが、差は小さく施工業者や地域によっても変動します。いずれにせよ初期費用は両者とも高めですが、スーパーガルテクト、横暖ルーフともに耐用年数が非常に長いぶんメンテナンス込みのコストパフォーマンスが高いと言われます。
その他、一般的な金属屋根材との比較も簡単に触れておきます。ガルバリウム鋼板の立平葺き(たてひらぶき)など、断熱材のないシンプルな金属屋根は、材料費・施工費が安く軽量というメリットがあります。
既存住宅のリフォームでも安価に採用できますが、その場合は別途断熱対策が必要だったり、雨音が響きやすかったりといった課題があります。
スーパーガルテクトのように断熱材一体型の屋根材は初期費用こそ上がりますが、住環境の向上やメンテナンス軽減という付加価値を提供してくれる点で大きく異なります。近年は多くのリフォーム会社がスーパーガルテクトや横暖ルーフのような高機能金属屋根材を最善の提案として勧める傾向にあります。
費用重視でシンプルな金属屋根を選ぶか、性能重視で断熱一体型を選ぶかは、予算と求める性能次第と言えるでしょう。
スーパーガルテクトのメリット・デメリット
最後に、スーパーガルテクトを採用する上で知っておきたいメリットとデメリットを整理します。総合的な判断材料として参考にしてください。
メリット
- 高耐久・長期保証: 改良型ガルバリウム鋼板(SGL鋼板)により従来比3倍以上の耐久性。塗膜15年・赤錆20年・穴あき25年の長期保証が付帯し、安心して長く使える。塩害にも強く海沿いでも使いやすい。
- 超軽量で耐震性◎: 重さはスレートの約1/4、瓦の約1/10と非常に軽く、建物への荷重を大幅に低減。地震時の揺れを小さく抑え、瓦のように落下・破損するリスクがない。構造補強なしで既存屋根を軽量化でき、耐震リフォームに有効。
- 優れた遮熱・断熱性能: 屋根材裏に高性能断熱材を一体成型し、熱貫流率1.43W/㎡Kの高い断熱効果を発揮。さらに遮熱塗装との相乗効果で夏の暑さを大幅カットし、冬の保温性も向上。冷暖房効率が上がり室内環境が快適に。
- 施工性が良く工期短縮: 軽量で大判なパネルは扱いやすく施工スピードが速い。既存屋根に重ねるカバー工法にも適し、撤去工事が不要。工期が短く済み、住みながらのリフォーム負担も小さい(天候にも左右されにくい)。
- 耐風・耐候性に優れる: 深いかみ合わせ構造と強固な固定により台風など強風にも強い。風速65m/s相当の暴風実験でも屋根材の飛散なし。金属製で経年劣化による割れや欠けが起きず、飛来物にも比較的強い。
- メンテナンスコスト削減: 15年以上再塗装不要で、塗り替え周期が長い。耐用年数が長く葺き替え回数も減らせるため、トータルの維持管理費用を抑えられる。足場費用や工事の手間も長期的に節約可能。
- 遮音性・防火性が高い: 裏面の断熱材により雨音が大幅軽減。豪雨でも室内ではささやき声程度の静かさとのデータあり。断熱材には自己消火性があり延焼しにくく、防火認定も取得済み。火災時の安全性も一定担保。
デメリット
- 初期費用が高め: 高機能材のため材料費・施工費ともに一般的な屋根材より割高。安価なスレート葺き替えや塗装工事に比べると当初の出費は増える。予算に余裕が必要で、短期的コスト重視の方にはハードルとなる。
- 経年で塗膜劣化は避けられない: 長期間経つと表面塗装がチョーキング(白亜化)を起こし、手で触れると粉が付く状態になる。塗膜劣化後は鋼板の腐食が進み始めるため、約15~20年以降で再塗装が推奨される。結局まったくのノーメンテナンスとはいかない点に注意。
- 施工には高度な技術が必要: 金属屋根工事は板金加工や防水処理に専門技能を要し、施工品質が業者の技術力に大きく左右される。経験の浅い業者だと不具合が生じるリスクがある。信頼できる施工店選びが重要。
- 極端な環境下では制約も: 海岸にごく近い地域(塩害が強い環境)では、保証条件に制限がある。メーカー保証は海岸線から一定距離(例:500m以遠)が対象となっており、沿岸部での使用時はより注意深いメンテナンスが必要。また、大型雹(ひょう)など極端な衝撃を受けた場合は表面に凹み等が生じる可能性がある。
以上がスーパーガルテクトの主な長所と短所です。総合的に見ると、スーパーガルテクトは耐久性・軽量性・断熱性のバランスが非常に優れた次世代屋根材と言えるでしょう。
初期費用の高ささえクリアできれば、長い目で見て多くのメリットを享受できるはずです。屋根リフォームや新築を検討中の方は、ぜひ選択肢の一つとしてスーパーガルテクトを検討してみてください。専門業者の説明や公式カタログの情報も参考にしながら、自宅に最適な屋根材を選びましょう。
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