屋根の塗装と屋根の葺き替え:徹底比較

外壁リフォームと聞くと、外壁塗装を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、「屋根」を忘れてはいけません。実際に、屋根からの雨漏りに悩まれているお住まいも少なくありません。
塗装は屋根材・外壁材の表面を保護するためには重要ですが、雨漏りが発生していたり、屋根の下地が劣化している場合は、塗装工事だけで解決することはできません。

そこで注目したいのが、屋根カバー工法ではなく、屋根葺(ふ)き替えという工事です。
本記事では、雨漏りと屋根塗装の関係、屋根葺き替えの工事内容やメリットをわかりやすくまとめました。これからリフォームを考えている方にとって、役立つ情報満載ですので、ぜひ最後までご覧ください。

「屋根の塗装って本当に必要なの?」と疑問に思ったことはありませんか?
実は、建物を長持ちさせるうえで塗装はとても大切な役割を果たしますが、しかしここでは、塗装がどのように建物を守り、どんなときに必要になるのかを、わかりやすくご紹介します。

屋根塗装

スレートやモルタル外壁、窯業系サイディングなど、多くの建材は水を吸いやすい性質があります。
そこで、表面に塗膜をつくり水の侵入をブロックすることで、建材の内側を乾いた状態に保ちやすくなります。
その結果、ひび割れや破損などの劣化を防ぎ、建物の寿命をのばすことにつながるのです。

外壁や屋根は、年中紫外線や雨風、酸性雨、砂埃などの影響を受けています。
これらが原因で素材そのものが傷みやすくなりますが、塗装を施すことで外部からのダメージを抑え、劣化の進行を遅らせることができます。
特に、水分や酸性物質に弱いセメントや金属主体の建材には塗膜による保護が欠かせません。塗装を怠ると、錆や腐食、クラック(ひび割れ)などが起きやすくなり、修理に大きな手間やコストがかかってしまいます。

塗装工事は、あくまで「既存の屋根材や外壁材の表面」に新たな塗膜を形成するのが目的です。
もし、防水紙や野地板、下地など、建物内部の構造に問題がある場合は、塗装だけでは解決できません。
こういった内部の傷みは、補修工事を含めたトータルなメンテナンスが必要になります。

雨漏りの原因は、「屋根材に穴が開いている」というわかりやすいケースだけではありません。

特に棟板金(屋根の棟部分を覆う金属板)や谷板金などは劣化しやすく、雨水が溜まったり流れ込んだりしやすい箇所でもあります。

たとえ屋根材自体に大きな破損がなくても、建材同士の接合部や継ぎ目、隙間などから水が侵入していることが多いのです。

屋根材の下には、ルーフィングとも呼ばれる防水紙が敷かれています。

  • 防水紙が劣化・破損していると、上から降り注ぐ雨水が屋根材をすり抜け、建物内部まで浸入する可能性が高まります。
  • 防水紙の劣化は外から見ても判断しにくいため、「塗装をするだけで安心」と思い込んでしまいがちですが、実際には下地の点検が必須です。

屋根材を支える下地材の一つに、野地板と呼ばれる合板があります。

  • 雨漏りが長く放置されると、野地板が水分を吸って腐食し、脆くなったり変形したりします。
  • 腐食してしまった野地板は建物の荷重に耐えられず、屋根材自体が歪んだり割れたりして、新たな隙間が生まれる原因にもなります。

上記のように、雨漏りの原因が下地や継ぎ目にある場合、いくら屋根表面を塗り替えても根本原因が残ったままです。

  • その結果、塗装後間もなくまた雨漏りが発生し、再度の補修工事が必要になるケースも珍しくありません。
  • 雨漏りを止めるには、適切な下地修繕やシーリング補修、屋根材の交換など、塗装以外の工事が必須となるわけです。

“葺く”とは「屋根材を設置して仕上げる」という意味を持っています。

  • 屋根葺き替え工事: 既存の屋根材をすべて撤去 → 下地を補修 → 新しい屋根材を取り付ける作業です。
    • つまり「古い屋根を丸ごと新しくする」という大がかりな工事となります。
  • 重ね葺き(カバー工法): 既存屋根を解体せず、上から新しい屋根材を重ねる方法。
  • 葺き直し: 瓦屋根で、既存瓦を一度外して下地を補修し、再びその瓦を取り付ける方法。

本記事で主に紹介する「葺き替え」は、下地からすべて新調するため、屋根自体が“新品”同様に生まれ変わります。

金属屋根
  1. 屋根の寿命が延びる
    • 古い屋根材や下地を撤去し、新しい防水紙・野地板・屋根材に変わるため、耐用年数を大幅にリセットできます。
    • 寿命間近の屋根や、下地の腐食が進んだ屋根でも、葺き替えなら根本的な解決が可能です。
  2. 外観が美しくなる
    • 新品の屋根材を取り付けるので、見た目も“新築”のようにきれいになります。
    • カラーや素材を変更し、大きくイメージチェンジも可能です。
  3. 雨漏りが解決できる
    • 防水紙や野地板などの下地が傷んで雨漏りが発生していた場合、葺き替えで一新することで根本解決が見込めます。
  4. 軽量化による耐震性向上
    • スレートや瓦からガルバリウム鋼板などの軽い屋根材に変えると、建物自体への荷重が減り、耐震性が向上します。
    • 地震や台風のときの不安が軽減され、安心して暮らせます。

そもそも屋根葺き替えが必要な状況とはどんな時でしょうか。

特に雨漏りがある場合は、見えない内部の腐食しているため、塗装や屋根カバー工法では治らないと考えるべきでしょう。

「屋根塗装」は比較的リーズナブルにできるため、出費を抑えたい場合には魅力的です。

しかし、次のような屋根には塗装だけでは不十分です。

屋根材の中には、アスファルトシングルやスレート、金属屋根などさまざまな種類があります。それぞれに耐用年数があり、その年数に近づいたり超えていたりすると、表面の塗装をいくら新しくしても根本的な劣化を止めることはできません。

  • 防水紙や野地板が傷んでいる可各屋根材には固有の耐用年数がある
    たとえば、スレート屋根(コロニアル)は20〜25年程度、金属屋根は15〜30年程度、粘土瓦は40〜50年以上といったように、材質ごとにおおよその耐用年数があります。経年劣化が進行し、屋根材自体の強度が低下している場合は、表面をいくら塗り替えても根本的な劣化を止めることはできません。
  • 下地(野地板・防水紙)も劣化している
    屋根材が寿命に近いときは、その下にある野地板や防水紙(ルーフィング)も同様に劣化が進んでいる可能性が高いです。内部まで傷んでいる状態での塗装は、雨漏りを防ぐ効果が見込めず、結局大掛かりな修繕が必要になってしまうでしょう。

こうした状態の屋根を放置しておくと、次第に下地や建物内部までダメージが広がり、大掛かりな修理が必要になる場合があります。長期的に考えると、葺き替えやカバー工法など根本的に工事を行ったほうが安心です。

屋根に穴あきや亀裂がある場合、そこから雨水が侵入して内部の腐食を進行させてしまいます。特に大きな割れや穴の場合、塗装で埋めたとしても根本的な防水性を回復させるのは難しく、雨漏りが止まらないことがほとんどです。

  • 塗装の密着力が低下
    割れや穴がある状態では、下地との密着が悪く、すぐに塗膜が剥がれてしまうリスクが高まります。
  • 雨水の侵入経路が完全にふさがらない
    塗料はあくまで薄い膜でしかないため、大きな傷や穴を完全にふさぐ機能はありません。隙間が少しでもあれば、風雨や台風時には水の侵入が起こりやすくなります。

こうした損傷が見られる場合は、屋根材の交換や部分修理、場合によっては葺き替えなどの大がかりな対策を検討する必要があります。

雨漏りを起こしている屋根は、目に見えない部分(野地板や垂木などの木部)がすでに腐食している可能性が高いです。腐食が進んだ下地を残したまま、屋根材の表面だけ塗り替えても、雨漏りは止まりません。

屋根の台風被害
  • 内部まで浸水しているリスク
    長期間雨漏りしていた場合、下地だけでなく断熱材や建物内部にも水が回り、カビやシロアリ被害などの二次被害を引き起こします。
  • 塗装では下地の修繕ができない
    塗装工事は屋根の外側が主な対象です。下地の補修や交換を同時に行わなければ、腐食した部分は改善されず、再び雨漏りを誘発します。

雨漏りの根本的な原因を特定し、それに合わせた修繕をしなければ、同じ問題がすぐに再発してしまう恐れがあります。

屋根材の飛散・破損

  • 強風で屋根材がめくれたり飛ばされる
    スレート(コロニアル)や金属屋根、トタン屋根などは強風に煽られやすく、屋根材そのものが剥がれたり折れたりすることがあります。
  • 棟板金(むねばんきん)の浮きや外れ
    棟板金は屋根の頂上部分を覆う金属部材で、風を受けやすい場所です。強風により釘が緩んで板金が外れたり、浮いたりする被害が多く見られます。ここから雨水が入り込みやすくなるため、雨漏りのリスクが急激に高まります。

屋根のズレ・変形

瓦のズレや割れの補修
  • 固定金具や釘が抜ける・緩む
    台風の激しい風や突風により、屋根材を固定している釘やビスが抜けたり緩んだりします。結果として屋根材がズレてしまい、隙間ができて雨水の浸入を許す可能性があります。
  • 部分的な浮き上がりから全面的なダメージへ
    風で一部の屋根材が浮いたまま放置していると、次の台風シーズンや強い風の際に連鎖的に被害が拡大する恐れがあります。

棟部分・漆喰の崩れ

割れた瓦
  • 和瓦に多い、棟部分の漆喰の剥がれや崩落
    漆喰が経年劣化している状態で地震が起きると、棟部の固定力が弱まり、瓦が緩んだり崩れたりするリスクが一気に高まります。
  • 揺れによる歪みで浸水経路が拡大
    屋根自体が一時的に歪むことで、雨仕舞(あまじまい:雨水を屋外に排出する仕組み)が崩れ、わずかな継ぎ目やひび割れからも水が入りやすくなります。

「今は工事費を抑えたいから塗装だけ」のリスク

「今は工事費を抑えたいから塗装だけ」と考えても、数年後に結局葺き替えが必要になり、トータルで見ると出費が増えてしまうことも多いです。長期的なコストを考えるなら、根本的に解決できる葺き替えも視野に入れると良いでしょう。

屋根葺き替えでは、新しい屋根材を選ぶ楽しみがあります。

近年、注目されているのがガルバリウム鋼板製の金属屋根です。

優れた耐久性・防錆性

  • トタン以上の耐食性
    ガルバリウム鋼板は、トタンに比べて3〜6倍とも言われる高い防錆性能を持ちます。めっき層のアルミニウムが酸化被膜を形成することで、鋼板が錆びにくくなっています。
  • 耐用年数が長い
    適切に施工・メンテナンスすれば、30年以上の寿命を期待できることもあります。

軽量で建物への負担が少ない

  • 瓦やスレートに比べると非常に軽い
    金属屋根の一種であるため重量が軽く、建物の耐震性向上に寄与します。屋根が軽いほど、地震時の建物への負担が軽減されるメリットがあります。

デザインバリエーションが豊富

スタイリッシュな見た目
シャープな外観が特徴で、モダンなデザインの住宅にもよくマッチします。

カラーバリエーションが多い
メーカーや製品ラインナップによって、多彩な色や表面仕上げを選べるため、住宅のスタイルに合わせやすいです。

本記事の要点

この記事は「屋根の雨漏り」や「屋根の下地が傷んでいる場合」に、塗装だけでは解決しきれないケースがあることを指摘し、屋根葺き替え工事の重要性やメリットを詳しく解説しています。以下に要点をまとめました。

塗装の役割と限界

  • 塗装は屋根・外壁材の表面を保護し、防水性や耐久性を高めるために必要な工事。
  • ただし、雨漏りの原因が屋根の下地(防水紙や野地板)にある場合は、塗装だけでは根本的に解決できない。

雨漏りの主な原因

  • 棟板金や谷板金など、屋根材の継ぎ目や接合部からの水侵入。
  • 屋根材の下の防水紙(ルーフィング)の劣化・破れ。
  • 野地板の腐食・変形。
  • これらが一度傷むと、表面の塗り替えでは雨漏りを止められない。

屋根葺き替えとは

  • 既存の屋根材をすべて撤去し、下地を修復したうえで新しい屋根材を葺く工事。
  • 屋根自体を“新品”の状態にできるため、雨漏りの根本解決や屋根寿命の大幅延長が期待できる。
  • 外観のイメージチェンジや耐震性の向上も図れる。

塗装だけでは不十分な屋根の状態

  • メンテナンス不足で屋根材や下地が寿命を迎えている(経年劣化が進んでいる)。
  • 屋根に大きな穴や亀裂、錆びなどの深刻なダメージがある。
  • 長年雨漏りを放置し、下地や建物内部まで腐食が進行している。
  • 台風や地震など災害による大きな被害(屋根材のズレ、飛散、棟部分の崩れ)を受けた。

「塗装だけ」で済ませるリスク

  • 短期的には工事費を抑えられても、数年後に結局は葺き替えが必要になり、トータルコストが増えるケースも多い。
  • 下地が傷んでいるのに塗装だけ行うと、雨漏りが再発しやすい。

ガルバリウム鋼板のメリット

  • 耐久性・防錆性が高く、適切に施工すれば30年以上の寿命が期待できる。
  • 軽量なため、建物への負担が少なく耐震性も向上。
  • デザインバリエーションが豊富で、モダンな外観にもよく合う。

日置 卓弥

屋根修理の匠ひおきの代表です。哲学で学んだ独特な視点を屋根修理の仕事に活かし、お客様の期待を超えるサービスを実現するために日々努力しています。

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