屋根リフォーム工事で使える雨漏り修理の【補助金・助成金】を解説!

雨漏りが原因で屋根のリフォーム工事が必要になった場合、屋根修理にかかる費用はできるだけ抑えたいですよね。
雨漏りの屋根修理の費用は、簡単なものから高額なものまで様々ですが、屋根リフォーム工事の内容によっては、国や自治体が出している補助金制度や助成金が使える場合があります

雨漏りは経年劣化が原因となることも多く、屋根の雨漏りだけではなく、リフォーム工事を同時に行うことができ、補助金や助成金の条件に当てはまりやすいので知っておくとお得でしょう。


この記事では、雨漏りによる屋根修理やリフォーム工事で使える補助金や助成金の条件や申請方法、雨漏りの原因別でみる工事費用も紹介していきます。

屋根の雨漏りでよくあるケースをもとに、雨漏りの原因から修理費用を紹介しましょう。 屋根の雨漏り修理をする際に参考にしてください。

家の中で一番劣化しやすいのが屋根材と言ってもいいでしょう。
現在では、屋根材の種類は数多くありますが、瓦屋根スレート屋根金属屋根と大きく分けて3つの屋根材が主流になっています。

屋根材によって症状は変わりますが、劣化することで屋根材の表面に塗ってある防水塗料が剥がれ、屋根材にひび割れや欠けなどが発生し、雨漏りが起きてしまいます。

屋根の割れ
スレート屋根のひび割れ・欠け

屋根材の劣化があまりひどくない場合は、部分補修や塗装工事をおこなう方が多いです。
その場合、足場代は別で、屋根の部分修理は約15万円~、カバー工法や葺き替えといった大規模工事の費用は約60~300万円となります。

屋根材の下には雨を防いでくれる防水のシートが敷かれています。
この防水シート(ルーフィング)は材料によっても異なりますが、安価なシートなら約10年から劣化し破れてしまいます。

防水シートが劣化すると、直に水が侵入してくるため、そこから雨が漏ってくるようになります。築約20年以上の建物であれば、屋根の葺き替えやカバー工法の際には必ず新たな防水シートを敷きます。屋根材の隙間から入る雨水を外部に流します。

防水シート(ルーフィング)
※木は仮止め

ルーフィングを敷くときの費用相場は、1㎡あたり約700円からが目安となっていますが、屋根全体工事(カバー工事や葺き替え工事)と一緒に行います。

棟板金(むねばんきん)」と聞いても場所が分からない方が大半でしょう。
棟板金とは、三角になっている屋根で一番トップの箇所に取り付けられている金属部のことです。

一般的に「貫板(ぬきいた)」と呼ばれる木材に、「釘」によって取り付けられている「棟包み」があります。屋根のトップは基本的に「貫板」「釘」「棟包み板金」の3つのパーツで構成されています。
棟板金からの雨漏りは、この「貫板」に打ち付ける「釘の穴」や、「棟包み板金の接合部」からが主な原因です

つまり、釘穴やビス穴からの雨水の浸入で、棟板金の側面に打ち付けられている釘やビスが浮くことにより、隙間ができてしまい、そこから雨水が浸入し内部の貫板から下に染み込んで雨漏りが発生します。

棟板金(むねばんきん)
棟板金(むねばんきん)

この場合、板金部の交換や補修で直る場合が多く、足場代を除き約15万円~80万円が一般的な修理費用です。


屋根材や防水シート、板金の劣化による雨漏りは、症状や修理内容に応じて費用が変わり、簡単な補修なら15万円程度(足場代別途)、大規模な工事では200万円近くかかる場合もあります。
施工業者によっても提案される工事内容や金額に幅がありますので、面倒ではありますが、2~3社程度に相談をするようにしましょう。

雨漏り修理に補助金・助成金が利用できるのかどうかは、「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」を利用すれば簡単に確認できます。
ご自身の地域や制度内容での検索ができるので、各自治体への問い合わせなどをしなくても情報が得ることができ、大変便利です。

地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト

一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会
地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト
https://www.j-reform.com/reform-support/

国や多くの自治体では、家のリフォームに利用できる助成金・補助金制度を設けています。
まずは、どのようなケースで補助金が適用できるのか見ていきましょう。

ごくわずかですが、工事内容を問わず、リフォーム全般に対して補助金を給付する自治体もあります。

ただし、中には補助金制度自体がない自治体もあるため、しっかりと事前に確認しておきましょう。

リフォーム補助金

国の事業である「長期優良住宅化リフォーム推進事業」を推進するため、住宅の長寿命化のために劣化対策を行った場合に補助がもらえる補助金制度があります。

劣化対策として雨漏り補修工事が対象となる場合があるので、雨漏り修理を行う際には確認してみるとよいでしょう。

雨漏り補修工事

雨漏りの原因が屋根や外壁だった場合に、修理と合わせることで補助金の対象となる場合があります。

耐震工事

例のように屋根修理に合わせて、軽量化された屋根材を使うことで、「耐震改修工事補助金」を適用できる可能性があります。

瓦屋根など重量のある屋根は、地震で破損するリスクが高くなりますが、スレートや金属など軽量な屋根に葺き替えれば、耐震性能が高まるため補助金の対象になります
一般的に、古い耐震基準(昭和56年以前)で建てられた建物は、耐震工事の対象となりやすいです。

耐震リフォームに関する補助金制度は、全国の多くの自治体で行われており、対象となった場合は、100万円ほどの補助金がある自治体もあります。

また、アスベストを含む屋根や外壁を撤去する場合、「アスベスト除去工事補助金」を適用できる場合もあります。

雨漏りの補修と同時に屋根や外壁の塗装を行う際、遮熱効果の高い塗料を使用すれば「エコリフォーム補助金」を適用できるかもしれません。

エコリフォーム補助金は、環境にやさしいリフォームをすることで出る補助金です。
遮熱効果の高い外壁塗装で、建物表面や室内の温度上昇を抑えることで、エアコンなどの消費電力の削減を目的としています。

エコリフォーム補助金

遮熱効果の高い塗料は耐久性が高いものが多く、再塗装までの期間を長くすることができ、将来の塗装工事の回数を減らすことができるメリットになります。
補助金をうまく利用すれば、比較的単価の高い遮熱塗料を使用でき、節約につながるかもしれません。

また、屋根の重ね張り工事(カバー工法)が、遮熱効果を高めるとしてエコリフォーム補助金の対象となる場合もあります
外壁の塗装工事では、約10~30万円程度の補助金額の自治体が多いです。


国や自治体は、リフォームに使える補助金制度を設けており、リフォーム全般、住宅長寿命化、耐震改修、アスベスト除去、エコリフォームなどに対して適用される場合があります。
ぜひ上手く活用して、お得に快適な屋根リフォームを行いましょう。

補助制度は主に国が実施するものと、自治体が実施するものがあります。
国の代表的な補助制度もしっかりチェックしておきましょう。

良質な住宅ストックの形成や、若者による既存住宅の取得環境の改善、子育てをしやすい環境の整備を目的とした事業です。

既存住宅の長寿命化省エネ化、三世代同居など複数世帯の同居の実現等に関するリフォームに対して補助金が出ます。

工事前に、現況調査を実施することが必要です。調査で雨漏りなどの劣化事象がみつかった場合は、外壁塗装、屋根の張り替え、雨樋の交換などの雨漏り補修工事の費用が対象になります。

長期優良住宅化リフォーム推進事業
  • 対象工事
    性能向上リフォーム工事費など
    (劣化対策、耐震性、省エネ対策工事)
  • 補助金額
    補助対象費用の1/3
    (限度額100~250万円)

2019年10月の消費税率引き上げに伴い、増税後も住宅購入などの需要変動を少なくすることを目的として、住宅の新築やリフォームに対してポイントを発行する制度です。
ポイントは、家電や食品などの商品と交換できます。

  • 対象工事
    「環境」「安全・安心」「健康長寿・高齢者対応」「子育て支援、働き方改革」に有効な住宅の新築・リフォーム(窓・ドアの断熱改修、外壁、屋根・天井又は床の断熱改修、耐震改修、中古住宅購入に伴うリフォーム工事など)
  • 発行ポイント数
    住宅のリフォームの場合、上限30万ポイント(若者・子育て世帯、中古住宅購入の場合は上限特例あり)

耐震診断、耐震設計、耐震改修工事共に、補助金の申請は同様の手続きの流れになります。
まずは手続きの流れを把握して、申請の準備を進めましょう。

  1. 事前相談(市の担当窓口)
  2. 申込書の提出(定められた期間内に必ず提出)
  3. 交付決定
  4. 耐震診断、耐震設計、耐震改修工事の実施
  5. 工事の完了と報告
  6. 交付額決定
  7. 請求書提出
補助金・助成金手続きの流れ

交付申込書の提出には、必ず期間が定められています。注意をして期限を守るようにしましょう。
万が一、期間を過ぎてしまっていたとしても、次年度も同じような補助制度が定められることが多いので、次年度へ向けて情報収集をするようにしましょう。

基本的に、補助金は着工前に申請が必要です。工事が始まってからは申請できないので注意しましょう。まずは、雨漏りの修理工事をしてもらう業者に相談してみましょう。

ただし、補助金制度を詳しく理解している業者が少ないため、利用したくても相談に乗ってもらえない場合もあります。たとえば、「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は国の制度ということもあり、必要書類が多く、申請にはかなりの手間がかかります。
また、申請に必要な調査を行うノウハウを持っていないという事情もあり、積極的に取り組む業者は少ないです。

補助金・助成金申請までの準備

もし制度の利用を前提として雨漏り修理を行うのであれば、補助金制度の利用を前向きに検討してくれる業者を探すとよいでしょう
補助金の審査にはいろいろな基準がありますが、内容をしっかりと理解し、要件を満たすことができるか確認することが大切です。


高断熱の塗料を使った塗装工事でエコリフォーム補助金を申請する際には、塗料の具体的な商品名や塗料の性能基準など細かい点まで定められています。家の図面などが必要になる場合もあるので、準備できるものは早めに用意しておきましょう。

補助金を利用する場合にいくつか注意するポイントがあります。

書類を揃えるのは時間も労力もかかる作業です。費用対効果の面であまりメリットを感じられないことがあります。
業者と相談しながら、補助金の適用が相応しいかどうかを検討してみましょう。

補助金制度は、申請後の審査を経て受理されてから補助がおりるため、補助の決定までに時間がかかります。 何よりも厄介なのが、補助金が決定するまでは、雨漏りの工事が実施できません。すでに雨漏りが起こっている時などは、一刻も早く修理をしたいでしょう。
このように、補助金の手続きに時間をかけていられない事情があるかもしれません。

補助金の予算には上限が設けられていることがほとんどです。申請が上限に達すると、基本的には申請が締め切られるため、情報収集も欠かすことができません。

「補助金がもらえるので0円でリフォームできます」など補助制度を悪用して勧誘する悪徳業者もいます。工事が完了後に「申請がおりませんでした」と全額を支払わせる事例もあります。
補助金・助成金制度について、業者にお任せではなく自分自身でも知識を持っておくと、より安心にリフォーム工事をおこなうことができます。

補助金制度以外にも、工事費用の負担を減らす方法があります。
ここでは、そんな使える方法を紹介しましょう。

国ではリフォームの際に、省エネ性能の向上や耐震性能の向上が認められた場合に、税金を優遇する制度を設けています。

税制優遇制度

所得税

固定資産税

耐震改修減税

最大25万円

税額1/2×1年間

長期優良住宅化リフォーム

最大50万円

税額2/3×1年間

省エネ改修減税

最大35万円

税額1/3×1年間

この他にも、住宅ローン減税は最大400万円で税金控除対象になります。
大規模なリフォームやローンを利用する場合には、適用になることがある可能性があるので、補助金だけでなく税制優遇制度についても調べてみましょう。

減税制度

新築時から10年以内による雨漏りが発生した場合、住宅瑕疵担保保険が利用できるかもしれません。
住宅瑕疵担保保険制度とは、購入した住宅に「重大な欠陥」があった場合に、建設を行った事業者に保険金が支払われる制度です。

雨漏りは「重大な欠陥」に含まれます。
保険の対象となる住宅に雨漏りが見つかった場合、まず建てた業者に瑕疵担保責任による補修を依頼しましょう。

保険の適用が認められれば、業者に対して修理費用として保険金が支払われます。

住宅瑕疵担保保険

ただし、雨漏りであっても、台風や豪雨などの自然現象が原因の場合は、保険の適用が認められないケースもあります。

もし雨漏りの原因が、台風や豪雨などの自然災害の場合には、火災保険が適用できるかもしれません。自然災害によって家屋に損傷が起こってしまった場合は、火災保険の中の「風災」の保証が適用できます。

築年数が35年以上の場合、経年劣化と判断させると適応されない可能性もあるので、まずは加入している保険に「風災」が含まれているかどうか確認してみましょう。

風災被害

屋根の雨漏りが起きてしまった場合、高額な工事費用が必要になる場合がありますが、負担が大きい場合、国や自治体の補助金を使うことで費用を少しでも軽くできる可能性があります。
補助金の審査にはいろいろな基準がありますが、要綱をしっかりと理解し、要件を満たすことができるか確認することが大切です。
まずは、最新情報をお住まいの市町村が出しているHPや情報誌などを確認してみるのもいいでしょう。

ぜひ、本記事を参考に屋根のリフォーム工事の負担を軽くできれば幸いです。

日置 卓弥

屋根修理の匠ひおきの代表です。哲学で学んだ独特な視点を屋根修理の仕事に活かし、お客様の期待を超えるサービスを実現するために日々努力しています。

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