保険金でタダで修理?屋根修理の保険金請求に潜むリスクと注意点

近年、自然災害や突発的な事故により、屋根修理が保険でカバーされるケースが増えてきました。特に台風や大雪、地震などの影響で屋根が損傷した場合、損害保険を使って修理費用を補填できることがあります。
このような保険金を使った屋根修理に関して、最近では訪問業者が積極的に「保険金でタダで修理できます」と、修理契約を持ちかけるケースが多く見られます。
しかし、こうした訪問業者の中には、加入者の意思を無視して工事契約を進めたり、高額な手数料を要求したりする悪質な業者も存在します。保険金請求は加入者自身の責任で行うべきであり、訪問業者の申請サポートを受ける前に注意すべき点があります。
本記事では、保険金で屋根修理を行う際の注意点と、訪問業者との関わり方について詳しく解説します。

訪問業者が持ちかける「保険金で屋根修理」の話

突然自宅に訪問してきた業者が「屋根が損傷しているので、保険金で修理できます」「台風や地震で建物の被害がないか近所を調査している」などと言って、点検を始めるケースがあります。業者は無料で屋根の点検を行い、その後、保険が適用されることを伝え、修理契約を勧めてきます。
一見すると、手間もかからず、費用も保険でまかなえるため、魅力的に思えるかもしれませんが、以下のようなトラブル事例が増えています。

業者によっては「保険金請求手続きのサポート」と称して、手数料を請求する場合があります。この手数料が高額であることが多く、保険金の30%~40%もの費用を請求し、最終的に保険契約者側が不当に高い料金を支払わされることがあります。
保険金請求の手続き自体は通常、保険契約者と保険会社が行うものであり、その手続き自体に料金が発生することははありません。もし、修理業者が代行して保険金の請求手続きを行う場合であっても、その手数料の正当性について十分に確認し、過剰な請求には注意が必要です。このような手数料を避けるためにも、業者との契約内容や請求に関しては細心の注意を払いましょう。

保険金請求手続きに伴う高額な手数料

悪質業者は、修理費用を過剰に請求するだけでなく、保険金請求の手続きに不正を働くことがあります。
保険金請求の際に不正な書類を作成し、実際には必要ない修理を行うことで保険金を不正に受け取るといった手口です。このような業者は、加入者が修理内容を十分に理解していないことを前提に不正を働きます。
最終的には顧客が予期しない負担を強いられるだけでなく、保険契約者自身の信用にも影響を与えることとなります。

悪質業者が利用する手口とトラブル事例

実際の事例では、業者が修理費用の見積もりを不当に高く設定し、保険金の上限額を超える費用を請求することがあります。修理の見積もりを提出した際に、屋根の小さな修理部分を大掛かりな工事に見せかけて、必要のない修理を加えて計算し、保険金が上限に達しても、顧客が追加の費用を支払うことになるケースがあります。また、業者が修理後に「この修理は保険でカバーされていない」と言い訳し、最終的には顧客が自己負担で修理費用を支払わされることもあります。

高額な費用の請求

保険金の請求には期限があり、損害が発生した日から起算して3年間となっています。過去に発生した災害から時間が経過すると、保険金請求の期限が迫っていることを悪用する業者がいます。
3年前の災害の被災地調査員を名乗って、保険金の請求期限が迫っていることを強調し、「今すぐ請求しなければ間に合わない」と急かして、考える時間を与えず契約を急がせる事例も多発しています。

屋根修理の詐欺業者

悪質業者による手抜き工事であったり、実績や知識のない業者であった場合、修理後に修理部分が再度問題となり、新たな修理費用が発生することがあります。その際に、業者が責任を取らないことも多く、顧客が再び費用を負担する羽目になります。
このような状況を防ぐためには、修理後の不具合に対しての保証内容について、業者に対して書面での約束を取り交わすなど、契約時にしっかり確認しておくことが重要です。

屋根修理の不具合

屋根修理に関して保険金を請求する際、損害保険会社に直接連絡することが最も重要です。保険契約者が保険会社に直接連絡することで、保険金請求の過程が明確になり、不正を防ぐことができます。
上述したように、業者を通じて申請を行うと、業者が中介者として手数料を取ることがあります。これは、業者が請求書を作成したり、保険会社との交渉を代行するための費用ですが、最終的にこの手数料が修理費用に上乗せされることになります。修理費用が保険金でまかなわれるはずが、業者の手数料が加算されることで顧客が余分な費用を負担することになる場合があります。

また、業者が代行することで、顧客が修理の詳細や見積もり内容を正確に把握できないまま保険金請求が進められることが懸念されます。修理内容に過剰な部分が含まれていたり、実際には必要のない工事が含まれていたりしても、業者がそのまま進めるケースがあります。保険契約者が直接保険会社に連絡すれば、その内容をしっかりと確認し、適正な修理費用を請求することができます。

保険金の請求はご自身で行うべき理由

損害保険会社は専門的な知識を持ったスタッフが対応しており、修理の必要性や適用範囲を正確に把握できます。そのため、保険請求をスムーズに進めるためには、まず保険会社に連絡を取ることが重要です。保険会社の担当者は、修理が本当に必要かどうか、どの範囲が保険でカバーされるのかを丁寧に説明してくれます。また、申請手続きに必要な書類や手順を案内してくれるため、スムーズに保険金の支給が受けられるようになります。

保険金請求手続きの流れ

保険金請求の流れは、まず保険会社に被害の状況報告を行い、その後、屋根の損傷状況を確認するための現地調査が行われます。経年劣化による損傷は保険の対象外となりますので、保険請求の際には注意が必要です。

  • 保険会社に連絡
    保険金請求の最初のステップとして、まず保険会社に被害報告を行い、保険金請求の手続きに必要な書類などを確認します。
  • 現地調査
    保険会社や被害状況により異なりますが、屋根の損傷状況を確認するため、現地調査が行われる場合があります。
  • 修理業者に見積り依頼
    保険金請求に必要な見積もりを、信頼できる修理業者に依頼します。見積もりは複数の業者に依頼することが推奨されます。相見積もりを取ることで、費用相場を把握し、過剰な請求を避けることができます。保険会社も、保険契約者が複数の業者から見積もりを取得していることを理解し、その結果をもとに公正な判断を下すことができます。
  • 修理費用の見積もり確認
    損害保険会社は修理費用の見積もりをもとに、保険金を支給するかどうかを判断します。見積もりが高額すぎたり、不必要な修理が含まれていた場合、保険金が全額支給されないことがあります。
  • 保険金の受取り
    保険金の支給額は、損害の範囲や修理費用の妥当性に基づいて決まります。保険会社から保険金の支給を確認し、修理を行います。

上記の保険請求の流れの中で説明させていただきましたが、保険の手続きをする際には、修理にかかる見積書が必要となります。修理業者に相談をする際に注意するべき点についてご紹介します。

屋根修理の保険金請求に際して、業者に見積もりを依頼する場合、まず重要なのは見積もりが無料かどうかを確認することです。中には、工事を依頼する場合は無料で、工事を依頼しなかった場合に保険金の何パーセントかを「見積もり作成費」として請求してくる業者もいます。これらの費用が見積書内に含まれている場合があるため、口頭で説明せずに、書面で費用の詳細を記載していることがあります。
依頼者側はその明細に気づかず、工事の断りをした際に見積り作成費用を請求されるというケースもありますので、必ず事前に確認するようにしましょう。

見積りの内容が詳細かどうか確認する

できれば複数の業者から見積もりを取ることも重要です。相見積もりをすることで、費用相場を把握し、必要のない修理を避けることができます。また、複数の見積もりを比較することで、業者ごとの提案内容の違いや、修理費用の妥当性を確認できます。
もし、業者間で提案される修理内容に差がある場合、それが本当に必要な修理かどうかを自分で判断できる材料が増えます。見積もりに基づいて、業者が提示した費用に対して納得できない場合には、遠慮せずに説明を求め、納得するまで検討を続けることが大切です。

また、上述したように、複数の業者に相見積もりを依頼する際、必ず見積もり作成に費用がかかるのか、無料であるのか確認しておきましょう。業者によっては、見積もり作成の段階で料金を請求することがありますが、後々不明な料金を請求されるリスクを避けるために、事前に確認し、書面でその旨を明記してもらうことが重要です。
事例として、工事依頼をする場合は見積り作成無料、工事を他社に依頼する場合は見積り作成費用として○○円などというケースもありますので、見積りを依頼する前に事前確認をするようにしてください。

複数社に相見積もりをする

さらに、業者が修理を終えた後のアフターサービスや保証内容についても確認しておくと安心です。修理後に問題が発生した場合に無料で再修理を行ってくれる保証があるかどうか、修理後の点検やメンテナンスが提供されるかどうかを確認することで、安心して契約を結ぶことができます。
修理後の不具合については保険の対象外となりますので、保証がしっかりしている業者を選ぶことが重要です。

信頼できる業者は、こうしたポイントをきちんと説明し、納得のいくサービスを提供してくれます。逆に、説明が曖昧であったり、契約内容を急いで進めようとする業者には注意が必要です。しっかりと自分で情報を収集し、信頼できる業者と契約を結ぶことが、後々のトラブルを避けるために非常に重要です。

保証内容の確認

訪問業者との契約時には、必ず契約内容を詳細に確認し、納得するまでサインしないことが重要です。特に、口頭での約束だけでなく、必ず書面で契約内容を確認するようにしましょう。業者から説明を受けた際には、修理の内容、費用、支払い方法、支払期限、修理後の保証内容など、重要な情報を全て契約書に明記してもらうことが必要です。

契約書に記載されている修理内容についても、細かく確認することが大切です。例えば、具体的にどの部分の修理を行うのか、どの材料を使用するのか、また修理にかかる時間や工期についても確認しておきましょう。口頭で「後で変更する可能性がある」と言われても、契約書には修正内容が書かれていない場合には、その内容が反映されないことがあるため、必ず書面で確認することが求められます。

もし、契約内容に不安や不明点があれば、業者にその説明を求めることが重要です。その場で納得できない場合は、即座にサインをせずに、考え直す時間をもらいましょう。慎重に判断することで、後々のトラブルを避けることができます。

「保険金を使って自己負担なしで住宅修理ができる」と言われても、すぐに契約せず、まずは契約している保険会社や代理店に相談するようにしてください。
また、修理の依頼は信頼のできる屋根修理業者に依頼するようにしましょう。

万が一、業者との契約でトラブルが発生した場合、まずは冷静に問題を整理し、解決策を模索することが重要です。業者との直接的な交渉が解決につながらない場合は、国民生活センター(消費者センター)に相談することができます。消費者の権利を守るために様々なサポートを行っており、トラブルの解決に向けて助言を提供してくれます。

消費生活センターへ電話相談
●消費者ホットライン「188」(局番なし3桁)
●近畿エリアの消費生活センター
奈良県の消費生活センター
三重県の消費生活センター
大阪府の消費生活センター
和歌山県の消費生活センター
京都府の消費生活センター
滋賀県の消費生活センター
兵庫県の消費生活センター
匠ひおき

「屋根修理の匠ひおき」では被害状況について的確な診断で保険申請の見積り作成をさせていただきます。
お気軽にご相談ください。

日置 卓弥

日置 卓弥

屋根修理の匠ひおきの代表です。哲学で学んだ独特な視点を屋根修理の仕事に活かし、お客様の期待を超えるサービスを実現するために日々努力しています。

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