【最新版】失敗しないルーフィング選びー種類・価格・耐用年数を徹底比較

「屋根工事」と聞くと、多くの方が瓦やスレート、金属といった“表に見える屋根材”を思い浮かべるはずです。ところが、雨漏りを最後に食い止めているのは、その下に隠れて決して表には出てこない一枚のシート——ルーフィング(防水シート)なのです。

主役は屋根材でも、最後の砦はルーフィング。しかも製品ごとの価格差は、家一棟で見てもわずか数万円ほどにすぎません。ここを削ってしまうと、十数年後の雨漏りリスクが大きく変わってきます。

そこで本記事では、屋根工事専門店の視点から、ルーフィングの種類と選び方を整理しました。結論を先にお伝えすると、おすすめは「不織布タイプの改質アスファルトルーフィング」。既存の屋根に重ねるカバー工法なら「粘着式」がベストです。なぜそう言えるのか、順を追って解説します。

ルーフィングとは?屋根を守る「二次防水」

ルーフィングとは、屋根材の下に敷き込む防水シートのこと。建築の世界では「下葺き材(したぶきざい)」とも呼ばれ、野地板や既存の屋根の上に貼り重ねて、建物内部への雨水の浸入を防ぎます。

屋根は、二段構えで雨から家を守っています。表面の瓦・スレート・金属屋根材が「一次防水」、その下に敷かれたルーフィングが「二次防水」。実のところ、屋根材だけで雨水を完全に止めるのは難しく、強い風雨のときにはどうしてもわずかな隙間から水が入り込みます。そこで最後の砦となり、雨漏りを防いでくれるのがルーフィングです。

言いかえれば、屋根の寿命を本当に左右しているのは、目に見える屋根材ではなく、見えないルーフィングだということ。だからこそ、選び方を知っておく価値があります。

ルーフィングを選ぶ3つのポイント

製品は数えきれないほどありますが、見るべきポイントはたった3つ。ここさえ押さえれば、商品名が違っても“中身”を見抜けます。

  • ① 素材 ── アスファルト系か、高分子系か
  • ② 基材 ── 芯になる素材が「紙」か「不織布」か
  • ③ 粘着 ── 裏面に粘着層があり、釘を打たずに施工できるか

まずは全体像を、ひと目で分かる比較表で見てみましょう。

種類基材の例耐用年数の目安特徴
従来型アスファルト約10〜20年安価だが硬化・破れが早い(△)
改質アスファルト(ゴムアス)不織布など約20年〜柔軟で破れにくい・当社の基本(◎)
高分子系(PP・PE)合成樹脂約30年〜※軽量・高強度・長寿命(○)
※耐用年数は使用環境やメーカー評価による目安です。

① アスファルト系ルーフィング

従来型アスファルトルーフィング(紙基材)

もっとも歴史の長いタイプです。代表格は、JIS A 6005で規定される「アスファルトルーフィング940」。原紙(紙)にアスファルトを染み込ませた防水シートで、価格が安く流通量も多いため、新築や建売住宅で今も広く使われています。

ただし、最大の弱点は基材が“紙”であること。強度と柔軟性に乏しく、年月とともに硬く脆くなって、割れや破れが生じやすくなります。耐用年数の目安は10〜20年ほど。設置環境によっては、もっと早く傷んでしまうこともあります。

新築住宅では、品確法と住宅瑕疵担保履行法によって、「雨水の浸入を防ぐ部分」を含めた10年間の保証が義務づけられています。従来型は、いわばこの“最低ライン”をクリアするための必要最低限の防水材、という位置づけになりがちです。

「安い・手に入りやすい・施工しやすい」という理由から、今も一定の需要があります。だからこそ、リフォームの際は見積書のルーフィング名を必ず確認しておきたいところです。

写真は、経年劣化した従来型アスファルトルーフィング。基材の紙が硬直し、ボロボロに脆くなっているのが見て取れます。

改質アスファルトルーフィング(ゴムアス)

従来型の弱点を、合成ゴムや合成樹脂を加えて克服したのが「改質アスファルトルーフィング」。通称「ゴムアス」と呼ばれ、いま日本の戸建てで主流になりつつあるタイプです。

紙にアスファルトを染み込ませただけの従来品と比べ、柔軟性も耐久性も段違い。施工中に折り曲げても割れにくく、年月が経っても硬化やひび割れが起こりにくいため、耐用年数の目安は20年以上。屋根全体の寿命を足元から支える、頼れる二次防水材です。

その品質を裏づけるのが、業界規格「ARK-04s(改質アスファルトルーフィング下葺材規格)」。住宅用の改質アスファルトにJIS規格がなかったことから2004年に制定され、現在は日本防水材料協会(JWMA)の規格として運用されています。JIS A 6005より一段上の品質基準で、住宅瑕疵担保責任保険の施工基準でも認められています。

気になる価格差も、従来品と比べてごくわずか。1巻あたり数百〜千円程度、戸建て一棟でも1万円前後に収まることがほとんどで、コストパフォーマンスは抜群です。

当社が標準的に使っているのは、田島ルーフィングの「PカラーEX+(プラス)」。不織布基材で、価格以上の性能を備えた優秀な下葺き材です。

基材は「不織布」を選ぶ

同じ改質アスファルトでも、芯材(基材)によって寿命は変わります。大きく分けて2タイプ。

  • 紙タイプ:コストは安いが、湿気や経年劣化で弱りやすい。
  • 不織布タイプ:繊維のシートを基材にし、破れにくく強度が高い。耐久性にも優れ、現在の主流。

迷ったら、不織布タイプを選んでおけばまず間違いありません。

カバー工法なら「粘着式」

近年とくに増えているのが、裏面に粘着層を備えた「粘着式ゴムアス」。ステープルや釘で留める必要がなく、下地に穴を開けずに施工できます。釘穴からの雨水侵入リスクを、限りなくゼロに近づけられるのが最大の強みです。

とりわけ効果を発揮するのが、既存の屋根に新しい屋根をかぶせるカバー工法。下地にぴたりと密着し、既存屋根材の継ぎ目や段差をしっかり覆うことで、二重屋根特有の難しい雨仕舞いをすっきり解決してくれます。

② 高分子系ルーフィング(PP・PE/非アスファルト)

アスファルトを使わず、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)といった高分子素材を基材にした、新世代のルーフィングです。軽いのに強く、引っ張りや破れにも耐えるため、施工中に破損しにくいのが特長。製品によっては、メーカー評価で30年以上の耐久性をうたうものもあります。

欧米の住宅ではすでに標準仕様。日本ではまだアスファルト系が主流ですが、住宅の高断熱・高気密化や屋根の長寿命化を背景に、これから採用が広がっていくと見込まれます。なかには、次のような付加機能を備えた製品もあります。

透湿タイプ

屋根内部にこもった湿気は外へ逃がしつつ、雨水はしっかり遮断する「透湿防水シート」。高断熱・高気密化が進む日本でも注目を集めています。ただし、その性能を活かすには、野地板と屋根材の間に空気の通り道となる「通気層」が欠かせません。これがないと、かえって結露や下地の腐朽を招くおそれがあります。

遮熱タイプ

シート表面にアルミ蒸着などを施し、太陽の輻射熱を反射して屋根裏の温度上昇を抑えるタイプ。夏場の冷房負荷をやわらげ、省エネにもつながります。

用途別・おすすめ製品

ここまでの内容を踏まえ、当社が実際の現場で使っている製品を、工法別にご紹介します(価格は税別・1㎡あたりの目安です)。

カバー工法の場合(既存の屋根に重ねて貼る)

ポイントは、釘を打たない「粘着式」です。

タディス セルフ(改質アスファルト系/田島ルーフィング) 税別1,500円/㎡

改質アスファルトを使った「遅延粘着型」の下葺き材。貼った直後ならやり直しがきき、数時間で粘着力が高まって高い防水性能を発揮します。基材は特殊原紙で、通常の紙基材より高耐久。勾配のゆるい屋根やリフォーム工事に、うってつけの一枚です。


タディス セルフ カバー(改質アスファルト系/田島ルーフィング)

薄くて軽く、改修現場で扱いやすいのが持ち味。下地の凹凸にも柔軟に追従します。合成繊維の不織布を使っているため、既存のスレート屋根の上でも破れにくく安心です。改質アスファルトならではの強度で、温度変化や湿気による伸び縮みも少なく、釘やビスの穴まわりにもしっかり密着して雨水の侵入を防ぎます。


ルーフ ラミテクトZ(高分子系・粘着タイプ/セーレン)

アスファルトを使わない高分子系の下葺き材。海底ケーブルにも採用される特殊ポリマーを用い、非アスファルト系として初めて自己止水機能(釘穴止水)を実現しました。気温の変化に強く、真夏の高温でも安定。軽量で高所作業でも扱いやすく、熱でベタつかず現場を汚しにくいのも、見逃せない利点です。

葺き替え・新築の場合(下地が合板・木質)

ポイントは、ステープルで留める下葺き材です。

PカラーEX+(プラス)(改質アスファルト系/田島ルーフィング) 税別1,250円/㎡

業界規格ARK-04s「改質アスファルトルーフィング下葺材」に適合した、Pカラーシリーズの一枚。不織布の合成繊維を基材に、ステープル留めで施工します。基本性能が高く、コストとのバランスにも優れた汎用品です。


ニューライナールーフィング(改質アスファルト系/田島ルーフィング)

改質アスファルトルーフィングの先駆けとして培われた技術を結集した、防水性・耐久性ともにトップクラスの製品。改質アスファルト層を不織布と原紙で挟み込む構造により、長期にわたって安定した防水性能を発揮します。表面には防滑塗料を採用し、施工時の安全性にも配慮。メーカー評価での耐用年数は30年です。


ルーフ ラミテクト® EX(高分子系/セーレン)

アスファルトを一切使わず、特殊ポリマーで高い防水性能を実現した高分子系の下葺き材。重さは約5分の1と非常に軽く、安全性と施工効率を大きく高めます。温度変化にも強く、真夏の高温から冬の低温まで安定した防水性能を維持。長きにわたって建物を雨から守る、まさに“長寿命ルーフィング”です。

まとめ:価格差はわずか、選ぶ価値は大きい

屋根の防水を最後に支えているのは、普段は決して目に触れない「二次防水」——ルーフィングです。

それでいて、製品による価格差は驚くほど小さい。ここを節約する理由は、どこにもありません。大切な住まいを長く守りたいなら、紙基材の最低グレードではなく、不織布を使った改質アスファルトルーフィングを選ぶ。これが賢い選択です。

既存の屋根に重ねるカバー工法なら、釘穴を開けずに施工できる粘着式の改質アスファルト系がベスト。下地をいためず、雨仕舞いも万全です。

ルーフィングの費用差は、家一棟でもおおむね数万円程度(より高級な製品もありますが)。そのわずかな上乗せで、将来の雨漏りリスクや、やり直し工事のコストを大きく減らせます。適切なルーフィングできちんと施工しておけば、次にここを心配するのは、何十年も先のことになるはずです。

当社は屋根工事専門の会社です。ルーフィング選びや屋根のリフォームでお悩みなら、「屋根修理の匠ひおき」までお気軽にご相談ください。

日置 卓弥

屋根修理の匠ひおきの代表です。哲学で学んだ独特な視点を屋根修理の仕事に活かし、お客様の期待を超えるサービスを実現するために日々努力しています。

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