屋根の葺き替えやカバー工法は、住まいのメンテナンスのなかでも費用の大きい工事です。できることなら使える制度は使いたいと考えるのは、自然なことだと思います。
テレビCMやチラシで「最大100万円」という数字を目にすることもあり、屋根工事に補助金は使えるのかというお問い合わせをいただくことがあります。
「屋根リフォームに使える制度はあるのだろうか」
「住宅省エネ2026キャンペーンで屋根工事は対象になるのだろうか」
と気になっている方も多いのではないでしょうか。
ただ、屋根のリフォームをすれば必ず補助金が出る、という制度にはなっていません。屋根の葺き替え・カバー工法も、屋根塗装も、雨漏り修理も、それ自体は住宅省エネ2026キャンペーンの対象外です。
ただし、屋根材の改修に直接関わる工事のなかで、このキャンペーンの対象になるものがあります。それが「屋根・天井の断熱改修」です。
屋根工事そのものに補助金が出るわけではありません。ただし、葺き替えなどで屋根の下地に手を入れる場合は、補助対象となる断熱改修を同時に計画しやすいことがあります。
この記事では、奈良・三重を拠点に親子三代・昭和29年(1954年)から金属屋根の板金工事を手がけてきた「屋根修理の匠ひおき」が、住宅省エネ2026キャンペーンについて、屋根に関連する部分を中心にご紹介します。
対象となる工事とならない工事、そして申請前の確認ポイントを、制度の条件に沿ってお伝えします。
※記載内容は2026年7月時点の公式情報にもとづいて解説します。
屋根材の改修に直接関わる補助対象工事は「屋根・天井の断熱改修」
屋根に関わる代表的な工事について、住宅省エネ2026キャンペーンの対象になるかどうかを一覧にしました。
| 屋根に関わる工事 | 補助対象 | 補足 |
|---|---|---|
| 屋根・天井の断熱改修(断熱材の施工) | 対象となる | 断熱材の使用量に応じて補助額が決まります |
| 屋根の葺き替え | 通常は対象外 | 断熱改修と同時に実施した場合、断熱材の分が対象となる可能性があります |
| 屋根カバー工法(重ね葺き) | 通常は対象外 | 同上 |
| 屋根塗装(遮熱塗料・断熱塗料を含む) | 対象外 | 塗料は補助対象製品に含まれていません |
| 雨漏り修理・部分補修 | 対象外 | 省エネ性能の向上を目的とする工事ではないためです |
| 棟板金の交換・瓦の固定(耐風改修) | 対象外 | 「防災性向上改修」は窓ガラス・外窓のみが対象です |
| 雨どいの交換・修理 | 対象外 | — |
| 太陽熱利用システムの設置 | 対象となる | 屋根に設置する場合も対象です。45,000円/戸(設置台数によらず)。太陽光発電システムとは別のものです |
| 太陽光発電設備の設置 | 対象外 | 公式に「補助対象にならない工事」として明記されています |
2026年7月時点の内容です。対象工事の範囲は事業ごとに定められています。最新の内容はみらいエコ住宅2026事業「対象要件の詳細【リフォーム】」でご確認ください。
屋根の上に設置する設備では、太陽熱利用システムが対象となる一方、太陽光発電設備は対象外です。名前は似ていますが別の設備ですので、見積書でどちらを指しているかを確認しておきましょう。
この制度は、住宅の省エネ性能を高めることを目的にしています。そのため、屋根の防水性能や耐久性を回復させる工事は、住まいにとって必要な工事であっても対象になりません。
「屋根を新しくすること」ではなく、「屋根に断熱材を入れること」に対して補助が出ると考えていただくと、わかりやすいかと思います。
住宅省エネ2026キャンペーンの概要
住宅省エネ2026キャンペーンは、国土交通省・経済産業省・環境省の3省が連携して実施する補助事業の総称です。ひとつの制度名ではなく、4つの補助事業をまとめた呼び名にあたります。
| 構成事業 | 所管・予算 (リフォーム分) |
何に対する補助か | 屋根との関係 |
|---|---|---|---|
| みらいエコ住宅2026事業 | 国土交通省 300億円 |
躯体の断熱改修を含む幅広いリフォーム | 屋根が関係するのはこの事業です |
| 先進的窓リノベ2026事業 | 環境省 1,125億円 | 高性能な窓・ガラスへの改修 | 直接の対象ではありませんが、後述のとおり申請条件に関わります |
| 給湯省エネ2026事業 | 経済産業省 570億円 | 高効率給湯器の設置 | 屋根工事との関係はありません |
| 賃貸集合給湯省エネ2026事業 | 経済産業省 35億円 | 賃貸集合住宅の小型省エネ給湯器 | 屋根工事との関係はありません |
屋根リフォームを検討されている方が確認する事業は、実質的に「みらいエコ住宅2026事業」ひとつになります。
子育て世帯でなくても対象となります
過去の類似制度では世帯要件が話題になりましたが、2026年のキャンペーンではリフォームについて入居者の世帯に制限はありません。子育て世帯でも、ご夫婦だけのお住まいでも、条件を満たせば対象となります。
屋根・天井の断熱改修で交付される補助額
みらいエコ住宅2026事業では、補助金の計算対象となる工事が9つのカテゴリーに分かれています。屋根に関係するのは、そのうちの「躯体の断熱改修」です。
| 補助対象工事のカテゴリー | 内容 |
|---|---|
| ①開口部の断熱改修 | ガラス交換/内窓設置/外窓交換/ドア交換 |
| ②躯体の断熱改修 | 外壁の断熱改修/屋根・天井の断熱改修/床の断熱改修 |
| ③特定エコ住宅設備の設置 | 高効率給湯器/高効率エアコン |
| ④エコ住宅設備の設置 | 太陽熱利用システム/節水型トイレ/高断熱浴槽/節湯水栓/蓄電池/第一種換気設備 |
| ⑤子育て対応改修 | ビルトイン食洗機、宅配ボックス、キッチンの対面化改修など |
| ⑥防災性向上改修 | ガラス交換/外窓交換(窓のみ) |
| ⑦バリアフリー改修 | 手すりの設置/段差解消/廊下幅の拡張など |
| ⑧空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置 | — |
| ⑨リフォーム瑕疵保険等への加入 | — |
補助額は断熱材の使用量で決まります
以前の制度は「屋根の断熱改修をしたら一律◯万円」という定額方式が中心でしたが、みらいエコ住宅2026事業では、実際に使用した断熱材の量(立方メートル)に単価を掛けて算出します。厚く、性能の高い断熱材を入れるほど補助額が上がる仕組みです。
| 断熱性能の区分 | 屋根・天井の補助額(円/㎥) |
|---|---|
| F(熱伝導率0.022以下) | 44,000円 |
| E(0.028〜0.023) | 30,000円 |
| D(0.034〜0.029) | 15,000円 |
| C(0.040〜0.035) | 14,000円 |
| B・A-2・A-1(0.052〜0.041) | 13,000円 |
外壁・床の断熱改修には、それぞれ別の単価が設定されています。
出典:みらいエコ住宅2026事業「躯体の断熱改修」(2026年7月時点)
区分は材料名ではなく、製品ごとの熱伝導率によって決まります。同じグラスウールでも、同じ硬質ウレタンフォームでも、製品の仕様によって区分は変わります。区分が違えば同じ体積でも補助額は3倍以上変わりますので、見積書に製品名と区分まで書かれているかを確認しておきましょう。
補助対象となる断熱材には条件もあります。指定されたJIS規格に該当し、熱伝導率0.052W/(m・K)以下のノンフロン製品であることなどが求められるため、どのような断熱材でも対象となるわけではありません。使う製品が事業に登録されているかどうかは、公式サイトの対象製品検索で確認できます。
断熱材の最低使用量
要件化工事として屋根・天井の断熱改修を実施する場合、決められた量以上の断熱材が必要です。計算式は次のとおりです。
断熱材の最低使用量[㎥]=部位ごとの基準量[㎥]×トリガールームの床面積[㎡]÷住宅全体の床面積[㎡]
屋根・天井の基準量は、断熱材区分A-1〜Cの場合が9.2㎥、より高性能なD〜Fの場合が5.1㎥と定められています。たとえば延床面積100㎡の住宅で20㎡の2階の部屋を対象とする場合、A〜C区分の断熱材であれば、9.2×20÷100=1.84㎥以上が必要という計算になります。
この最低使用量に届かない断熱改修は、要件化工事として認められません。ただし、窓の改修などで条件が満たされていれば、最低使用量に満たない屋根断熱でも使用量に応じた補助が交付されます。分かりにくい部分ですので、設計の段階で施工業者と確認しておきましょう。
屋根断熱と天井断熱の違い
制度上の区分は「屋根・天井」でひとまとめになっています。屋根の野地板の位置に断熱材を入れる屋根断熱でも、2階の天井裏に断熱材を敷き込む天井断熱でも、扱いは同じです。
どちらを選ぶかは、住まいの構造と工事のタイミングによって決まります。天井断熱は屋根を解体せず、小屋裏から施工できる場合があります。小屋裏を部屋として使っている、勾配天井のリビングがあるお住まいでは、屋根断熱が選択肢になります。
屋根断熱には、屋外側から施工する方法と、室内・小屋裏側から施工する方法があります。葺き替えのように屋根の下地まで手を入れる工事では同時に施工しやすい一方、一般的な屋根カバー工法は既存の屋根材を撤去せずに新しい屋根を重ねるため、補助対象となる断熱改修が可能かどうかは個別に確認する必要があります。
屋根断熱だけでは申請できない|要件化工事の仕組み
ここは、この制度でとくに誤解が生まれやすい部分です。屋根に断熱材を入れただけでは、補助金の申請はできません。
みらいエコ住宅2026事業では、リフォーム工事を2種類に分けて考えます。
| 区分 | 役割 |
|---|---|
| 要件化工事 | 申請の要件を満たすための枠組み。定められた組み合わせで実施することが、補助を受ける前提になります |
| 補助対象工事 | 補助額を算定する工事。要件化工事として実施した工事も、条件を満たせば算定の対象になります |
この2つは別々の工事を指すわけではなく、要件化工事として実施した窓や断熱の工事も、補助対象工事の条件を満たしていれば補助額に算定されます。
なお、先進的窓リノベ2026事業で補助を受ける開口部の改修も、みらいエコ住宅2026事業の要件化工事として申告できます。ただし、同じ窓について両方の事業から重複して補助を受けることはできず、この場合の窓はみらいエコ住宅2026事業の補助額には算入されません。給湯省エネ2026事業などで補助を受ける高効率給湯器も、一定の条件のもとで「特定エコ住宅設備を設置したもの」として扱われます。
出典:みらいエコ住宅2026事業「開口部の断熱改修」(2026年7月時点)
トリガールームという考え方
トリガールームとは、補助を受ける資格の起点になる部屋のことです。住まい全体を省エネ改修する必要はなく、発注者が選んだ1つの部屋が条件を満たしていれば、その住宅が補助の対象になります。どの部屋を選ぶかは、工事を発注する側が決められます。
家じゅうの窓を替える必要はありませんが、トリガールームでは外気に面するすべての開口部を改修します。あわせて、住宅の新築時期と開口部の性能区分に応じて、必要な部位数の躯体断熱改修を行う必要があります。
トリガールームとして選べるのは、外皮(外気に面する部分)に面した開口部が1つ以上あり、壁または建具で仕切られている居室です。
リビング、ダイニング、キッチン、寝室、子供部屋、書斎などが該当します。トイレ・浴室・洗面室・廊下・納戸・倉庫・玄関ホール・車庫などは居室に該当しないため、トリガールームには選べません。サンルームのように判断が分かれやすい空間は、登録事業者へ事前にご確認ください。
窓の工事とセットで実施する必要があります
要件化工事の中身は、次の組み合わせと定められています。
| 基準 | 必要な工事の組み合わせ |
|---|---|
| 次世代省エネ基準 に相当する工事 | トリガールームで「①開口部の断熱改修」+「②躯体の断熱改修」を、定められた組み合わせで実施 |
| 義務基準 に相当する工事 | 上記に加えて、住宅内で「③特定エコ住宅設備の設置(高効率給湯器または高効率エアコン)」を実施 |
※必要となる躯体断熱改修の部位数は、住宅の新築時期と、改修する開口部の最低性能区分によって異なります。
どちらの基準でも、開口部の断熱改修は必須です。屋根断熱をどれだけしっかり施工しても、窓やドアの断熱改修を伴わなければ補助金は出ません。
さらに、トリガールームに外気に面した開口部が複数ある場合は、そのすべてを2025年11月28日以降に改修する必要があります。掃き出し窓だけを交換して腰窓を残す進め方では、要件を満たしません。
屋根の専門店として申し上げにくいところですが、この制度は窓を起点とした省エネリフォームの制度であり、屋根はその周辺にある選択肢のひとつという位置づけです。
上下階と接する部位は「実施済み」とみなされます
もうひとつお伝えしておきたい仕様があります。トリガールームの「屋根・天井」または「床」が隣の住戸・隣の部屋と接している場合、その部位の躯体断熱は実施されたものとみなす、という規定です。
2階建て住宅で1階の部屋をトリガールームに選んだ場合、その部屋の天井の上には2階の部屋があるため、屋根・天井の断熱改修は実施済みとみなされます。逆に、屋根に直接接している2階の部屋をトリガールームに選んだ場合は、屋根・天井の断熱改修が必要になることがあります。
ただし、どの部位の断熱改修が必要になるかは、開口部の性能区分や住まいの構造、トリガールームが上下階とどう接しているかで変わります。どの組み合わせで要件を満たせるかは、登録された施工業者にご確認ください。
葺き替え・カバー工法を考えるときに、屋根断熱が関わる理由
ここまで対象外の工事についてお伝えしましたが、屋根工事を検討されている方が、この制度を知っておく意味はあります。
理由は3つあります。
①葺き替えは、屋根断熱を計画しやすいタイミングです
野地板の位置に断熱材を入れる工事は、屋根材を撤去したうえで行うと、施工の状態も確認しやすくなります。ここが、屋根工事と補助金のタイミングが結びつく理由です。
一方、一般的なカバー工法では既存の屋根材を撤去しないため、葺き替えのように屋根の下地へ断熱材を施工するのは難しくなります。断熱材一体型の屋根材を使う場合でも、それだけで補助対象になるわけではありません。小屋裏からの天井断熱も含めて、補助対象となる工法が可能かどうかを個別に確認する必要があります。
葺き替えや下地から手を入れるタイミングは、住宅の一生のうち数回しか訪れません。その機会に断熱材を入れずに屋根を閉じてしまうと、次に屋根の下地まで手を入れる大規模な工事まで、外側からの施工は難しくなります。
すでに葺き替えを予定されている方なら、足場も職人も屋根を開ける手間も見積もりに含まれています。断熱材を追加するときの費用は、単独で断熱工事を発注する場合より抑えられることがあります。
②屋根の断熱は夏の暑さに直接関わります
奈良県や三重県の伊賀地域は盆地特有の気候で、夏場の屋根の表面温度は60〜70℃に達することもあり、屋根裏の熱が2階の室温を押し上げます。遮熱塗料でも表面温度は下がりますが、塗料は補助制度の対象製品ではありません。断熱材による対策は屋根の中に残り続ける性能であり、冷暖房費の節約にもつながります。
③他の工事と組み合わせて上限額まで積み上げられます
補助上限は、住宅の新築時期と実施した要件化工事の組み合わせによって決まります。
| 対象住宅の新築時期 | 義務基準に相当する工事 (開口部+躯体+特定エコ住宅設備) |
次世代省エネ基準に相当する工事 (開口部+躯体) |
|---|---|---|
| 平成3年(1991年)以前 | 100万円/戸 | 50万円/戸 |
| 平成4年〜平成28年 (1992〜2016年) | 80万円/戸 | 40万円/戸 |
この上限額まで補助額を合算します。一般的な住宅では、屋根断熱だけで上限額に届くケースは多くありませんが、窓や外壁の断熱改修、高効率給湯器などを組み合わせれば近づけられます。外まわりと設備をまとめて更新したい方には活用しやすい内容かと思いますが、屋根だけを工事したい方が受けられる補助は限られてきます。
補助金を使えるかどうかは、屋根の状態と工事の組み立て方によって変わります。ご自宅の概算を知りたい方は、屋根修理費用の概算見積りシミュレーションも参考にしてみてください。
対象となる住宅・工事の期間と申請の条件
実際に申請できるかどうかの条件は、次のとおりです。
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| 対象住宅 | 原則として平成28年(2016年)12月31日以前に新築された住宅。新築時期は不動産登記の建物の登記事項証明書(全部事項証明書)で確認します。平成29年(2017年)以降に新築された住宅でも、平成11年基準(断熱等性能等級4に相当)を満たさないことをBELS評価書または既存住宅の建設住宅性能評価書で証明できる場合は対象となります。戸建・共同住宅は問いません |
| 建物の用途 | 不動産登記で住宅以外に分類される建物、および現に住宅以外に使われている部分は対象外です。店舗併用住宅は住宅部分が対象となります |
| 対象者 | 住宅を所有し居住する個人とその家族、賃貸に供する個人・法人、賃借人、管理組合など |
| 工事請負契約 | 工事の着手前に締結されていること。契約日そのものに制限はありません |
| 工事の着手期間 | 2025年11月28日以降。これより前に着手した工事は対象外です |
| 工事の完了 | 交付申請は工事の完了・引渡し後に行うため、申請期限に間に合う時期までに完了させること |
| 交付申請の受付 | 2026年6月30日開始。遅くとも2026年12月31日まで(交付申請の予約は遅くとも11月16日まで) |
| 最低補助額 | 1回の申請で合計5万円以上(他の構成事業で交付決定を受けている場合は2万円以上) |
交付申請を出せるのは、工事が完了し、引渡しを終えたあとです。受付は遅くとも2026年12月31日までですが、年末ぎりぎりに工事を終える計画では申請が間に合いません。予算上限に達した時点でも受付は終了しますので、実務上はこれよりかなり前倒しで完了させる必要があります。
2026年7月時点の内容です。各事業の交付申請は、補助金申請額が予算上限に達した時点で受付を終了します。受付状況は住宅省エネ2026キャンペーン公式サイトで毎日公表されています。
ご自宅がいつ新築されたか分からない場合は、建物の登記事項証明書(全部事項証明書)で確認できます。法務局の窓口やオンラインで取得でき、この制度では申請時の添付書類にもなります。築年数があいまいなときは、ここから確認してみてください。
足場の設置は「工事着手」に含まれません
制度上の工事着手とは、契約に含まれる工事のうち、最初の工事に着手した日のことです。
現場の調査・採寸、見積もり、足場の設置、資材の搬入、仮囲いは、いずれも工事着手に含まれません。「足場を組んだから着工した」という認識で契約日を後回しにすると、要件を満たさなくなります。契約書の日付と工事の順序は、着工前に確認しておきましょう。
申請は施工業者が行います
補助金の交付申請を含むすべての手続きは、あらかじめ登録された施工業者(みらいエコ住宅事業者)が代行します。お客様ご自身が申請することはできません。依頼した業者が登録していなければ、条件を満たす工事でも補助金は交付されません。
補助金は一度施工業者に交付され、そこから工事代金への充当または現金という形でお客様に還元される仕組みです。
依頼先が登録事業者かどうかを確認します
住宅省エネ支援事業者(およびみらいエコ住宅事業者)は、キャンペーン公式サイトの事業者検索で調べられます。ただし公式サイトに掲載されるのは、公表を希望した登録事業者だけです。検索で見つからない場合でも登録していないとは限りませんので、「補助金が使えます」と説明を受けたときは、依頼先へ直接、登録状況をご確認ください。
なお公式サイトにも記載されているとおり、この登録は国や事務局が優良な事業者として認定するものではありません。登録の有無と施工品質は別のものだという点も、知っておくとよいでしょう。
工事前・工事中の写真がないと補助金は交付されません
この制度では、次の写真をそろえて提出します。
- 補助対象となる箇所すべての工事前の写真
- 躯体の断熱改修は、施工部分ごとの工事中の写真
- 補助対象となる箇所の工事後の写真
- トリガールームの内観全体(天井を含むすべての内壁面)が分かる工事後の写真
とくに注意が必要なのは、工事前の写真と、断熱材の工事中の写真です。屋根断熱の工事中写真とは、断熱材を施工している最中の記録で、屋根を閉じた後では撮影できません。
公式サイトでも、工事前の写真と躯体断熱の工事中写真については「忘れた場合、補助金の交付を受けることはできません」と書かれています。あとから補える種類の不備ではありませんので、補助金を前提に工事を進めるなら、施工業者が申請実務に慣れているかどうかも確認しておきましょう。
出典:みらいエコ住宅2026事業「申請手続きの詳細【リフォーム】」(2026年7月時点)
断熱材の納品証明書・施工証明書
使用した断熱材の量を証明するために、ボード系・マット系では販売店やメーカーが発行する納品証明書、吹込み・吹付けでは施工業者が発行する施工証明書の提出が必要です。いずれも指定様式が定められています。
施主支給・DIY・リースは対象外です
次の進め方は、いずれも補助対象になりません。屋根工事でも起こりうるケースですので、あらかじめ知っておきましょう。
- 施主支給・材工分離:お客様が断熱材や設備を購入し、取り付けだけを業者に依頼する形
- DIY:ご自身やご家族が実施する、工事請負契約を伴わない工事
- リース設備の設置:工事の発注者が住宅所有者ではなくリース事業者となるため
- 中古品を用いた工事
複数の業者に分けて発注する場合は、補助対象工事を実施した業者のうち1社が代表として登録し、申請と還元を行う必要があります。屋根は屋根屋、窓はサッシ屋と分けるときは、どの会社が代表になるのかを最初に決めておきましょう。
補助金でよくある誤解
制度が始まると、残念ながらそれに便乗した営業も見られるようになります。ここでは、注意していただきたい事例をお伝えします。
100万円は上限額で、屋根工事だけでは届きません
「屋根の葺き替えに最大100万円の補助金が出ます」という説明を受けることがありますが、これは正確ではありません。100万円は「上限額」で、しかも平成3年以前に建った住宅で、義務基準に相当するリフォームをした場合の上限にあたります。
屋根工事に対して100万円が出るわけではなく、この金額に届くには窓も躯体も設備も広い範囲で工事をすることになります。
こうした説明を受けたときは、その場で契約せず、内訳の説明を求めましょう。
出典:住宅省エネ2026キャンペーン公式サイト(2026年7月時点)
遮熱塗装は、効果があっても補助の対象ではありません
「屋根の遮熱塗装も省エネ補助金の対象です」と案内されることがありますが、みらいエコ住宅2026事業の補助対象工事に塗装工事は含まれていません。遮熱塗料や断熱塗料に効果がないという意味ではなく、効果があることと補助金の対象であることは別の話です。
契約を急かされたときは注意が必要です
「補助金の枠が埋まるので今日中に契約を」と急かされることがあります。予算上限による早期終了はたしかに事実ですが、それを理由にその場での契約を求められたときは、注意が必要です。
予算の消化状況は公式サイトで公表されており、どなたでも確認できます。相見積もりを取る時間すら与えない進め方は、補助金の有無にかかわらず慎重に考えたほうが安心です。
各事業の公式サイトでは、予算に対する補助金申請額の割合が毎日公表されています。あとどれくらい枠が残っているのかはご自身でも確認できますので、急かされたときは一度ご覧になってみてください。
出典:住宅省エネ2026キャンペーン公式サイト(2026年7月29日時点)
自治体の補助金は別の制度です
国の制度とは別に、都道府県や市町村が独自のリフォーム補助金・助成金を設けている場合があります。奈良県内・三重県内の各市町村にも、耐震改修や省エネ改修に対する制度があります。
市区町村の住宅リフォーム補助は耐震改修と断熱改修が中心で、屋根の葺き替えやカバー工法が単独で対象となる制度は多くありません。一方で、耐震改修の一環として重い瓦屋根を軽量な金属屋根に葺き替える「屋根の軽量化」が対象に含まれる制度もあります。受付状況は自治体ごとに異なりますので、お住まいの自治体の要綱をご確認ください。
国の制度と併用できる場合・できない場合
併用の可否には次のルールがあります。
- 併用できない:国費が充当されている自治体の補助制度(国による直接補助や、国土交通省の社会資本整備総合交付金などを活用して地方公共団体が実施しているもの)で、補助対象が重複するもの
- 併用できる:自治体が独自に、国の補助への上乗せや併用を前提として設けている制度
- 併用できる:住宅ローン減税などの税制措置、住まいの復興給付金、被災者生活再建支援制度
判断が分かれる部分ですので、自治体の制度については窓口となる市町村に直接確認することが確実です。
お住まいの自治体にどんな制度があるかは、一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会の地方公共団体における住宅リフォームに係る支援制度検索サイトで調べられます。市区町村を選ぶだけで一覧が表示されますので、最初の確認に便利です。
まとめ
屋根の葺き替え・カバー工法・塗装・雨漏り修理は、いずれも住宅省エネ2026キャンペーンの対象外です。屋根材の改修に直接関わる補助対象工事は「屋根・天井の断熱改修」で、補助額は断熱材の使用量(㎥)と性能区分ごとの単価によって決まります。ただし屋根断熱だけでは申請できず、窓・ドアの断熱改修とセットで実施する必要があります。
対象は原則として平成28年12月31日以前に新築された住宅で、工事着手は2025年11月28日以降です。交付申請は工事の完了・引渡し後に行うため、遅くとも2026年12月31日の申請期限に間に合うよう工事を終える必要があります。申請は登録された施工業者のみが行え、工事前・工事中の写真がなければ補助金は交付されません。予算上限に達した時点で受付は終了します。
この制度を使うには、屋根だけでなく窓の改修まで含めた計画が必要になります。屋根の工事だけをお考えだった方にとっては、想定より大きな話になることも考えられます。
まずは屋根の現状を知ることが、その判断の出発点になるかと思います。屋根は普段ご自身の目で見ることのできない場所ですので、一度確かめてみるところから始めてみてはいかがでしょうか。
まずは無料の現地調査・お見積もりから
「うちの屋根で補助金は使えるのか」「葺き替えのついでに断熱を入れたらいくらになるのか」という段階でも大丈夫です。屋根の状態を確認したうえで、考えられる工事内容と費用の目安をご案内させていただきます。
お見積もり・ご相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。
※本記事の内容は2026年7月時点の公式情報にもとづいています。補助制度の要件・補助額・受付期間・予算の消化状況は変更されます。申請の際は「住宅省エネ2026キャンペーン」および「みらいエコ住宅2026事業」の公式サイトで最新情報をご確認ください。



