長期優良住宅化リフォーム推進事業とは?
長期優良住宅化リフォーム推進事業は国土交通省が主導する住宅リフォームの支援制度で、「価値のある優良な住宅を未来に残したい」という国の目標を実現するために、2014年に始まった制度です。この事業は、住宅の性能を向上させ、建物の長寿命化を図るための改修工事を対象としており、老朽化した住宅やこれから長く住み続けたい家を持つ方々にとって、非常に有効な補助金制度です。
長期優良住宅化リフォーム推進事業の申請期間は、国土交通省から毎年度発表されており、2024年においても例年通り、募集開始時期や締め切りが設定されています。
※2024年5月14日に「評価基準型」は予算に達したため、交付申請受付を締め切られました。2024年10月現在、「長期認定型」のみ受付中です。
このコラムでは、この補助金の概要や実際に利用するメリットとデメリットなど、特に屋根工事に関連する内容に焦点を当ててわかりやすく解説します。
長期優良住宅化リフォーム推進事業の概要
長期優良住宅化リフォーム推進事業の目的
長期優良住宅化リフォーム推進事業の目的は、以下のように記載されています。
良質な住宅ストックの形成や、子育てしやすい生活環境の整備等を図るため、既存住宅の長寿命化や省エネ化等に資する性能向上リフォームや子育て世帯向け改修に対する支援を行う。
具体的には、以下のようなリフォームを重点的にサポートしている補助事業です。
- 耐震性能の向上
日本は地震が多い国であり、住宅の耐震性能の向上は居住者の安全を確保する上で非常に重要です。特に、古い住宅や築年数の経過した建物は、現行の耐震基準を満たしていない場合が多く、地震の際には倒壊のリスクがあります。そのため、この事業では、耐震補強や屋根・外壁の耐震化工事が補助金の対象となります。また、建物の構造自体を強化する耐震改修も含まれ、これによって大規模な地震に備えた安全な住まいを実現できます。 - 断熱性能の向上
住宅の断熱性能を向上させることは、エネルギー効率の改善につながります。断熱材の不足や劣化によって、夏は暑く冬は寒いといった問題を抱えている住宅では、冷暖房の効率が低下し、エネルギー消費が増加してしまいます。屋根や壁、床、窓などに断熱材を追加したり、性能の高い断熱材に交換することで、年間を通じて快適な室内環境を維持し、冷暖房費の削減にも貢献します。 - 省エネ性能の向上
住宅の省エネルギー性能を高めることも、この事業の重要な目的です。省エネ性能の向上は、単にエネルギー消費を抑えるだけでなく、住まいの快適性を大きく向上させます。省エネリフォームは、家庭の光熱費を削減し、環境負荷の軽減にもつながります。 - 長寿命化リフォームの支援
長期優良住宅化リフォーム推進事業の大きな特徴の一つは、住宅の長寿命化に焦点を当てている点です。これには、単に耐震性や断熱性を高めるだけでなく、住まいの維持管理を長期的に行うための工事も含まれます。メンテナンスを計画的に行うことで、建物の寿命を大幅に延ばし、長期にわたって快適で安全な住まいを保つことが可能になります。 - 高齢者対応や子育て世帯向け改修工事
さらに、この事業では高齢者対応のリフォームや子育て世帯向けのリフォームも補助対象となっています。住宅のバリアフリー化は、手すりの設置や段差解消、浴室やトイレの改修など、高齢者や子供たちが安全に生活できる環境を整えるための工事です。少子高齢化が進む中で、今後ますます重要視される住宅の機能です。こうした工事を行うことで、住宅の価値を高めるだけでなく、家族全員が安心して暮らせる環境を作ることができます。
補助対象となる住宅
長期優良住宅化リフォーム推進事業の対象となる住宅は、一定の基準を満たす住宅であり、主に住宅の長寿命化、耐震性能の向上、断熱性能の向上、省エネ性能の向上を目的としたリフォームを行う住宅が対象です。
一戸建て住宅
- 新築後の住宅が対象ですが、築年数は問いません。特に、老朽化した住宅や省エネ性能や耐震性能が不足している住宅を改修し、長期間にわたり快適に住み続けられる住宅を目指す場合に適用されます。
- 既存住宅(中古住宅や既に築年数が経過している住宅)を対象にしたリフォームも支援されます。既存住宅を改修して、長期優良住宅の基準に適合するように性能を向上させるリフォーム工事が対象となります。
共同住宅(マンションなど)
- マンションなどの集合住宅も対象です。ただし、共同住宅全体をリフォームするか、個別の住戸のみをリフォームするかによって、適用範囲や補助内容が変わる場合があります。
- 個別の住戸であっても、一定の基準を満たすリフォームを行うことで、補助金の対象となります。
※事業所や店舗など住宅以外の目的の建物は対象外となります。
長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助対象となる工事
長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助の要件として、以下のように記載されています。
- リフォーム工事前にインスペクションを行うとともに、維持保全計画及びリフォームの履歴を作成すること。
- リフォーム工事とに次の性能基準を満たすこと。
[必須項目]劣化対策、耐震性(新耐震基準適合等)、省エネルギー対策の基準
[任意項目]維持管理・更新の容易性、高齢者等対策(共同住宅)、可変性(共同住宅)の基準- 上記[2]の性能項目のいずれかの性能向上に資するリフォーム工事、三世代同居対応改修工事、子育て世帯向け改修工事、防災性・レジリエンス性の向上改修工事のうち一つ以上行うこと。
住宅そのものが対象であることに加え、リフォーム工事の内容も長期優良住宅化リフォーム推進事業の基準を満たす必要があります。
例えば、以下のような工事内容が含まれているリフォームが対象となります。
住宅性能向上を目指すリフォーム
建物の構造部分の劣化防止、耐震性や省エネルギー性能の向上、維持管理や修繕をしやすくする工事、さらに共同住宅では高齢者に配慮した対策や間取り変更のしやすさを基準に達するまで改善する工事です。
劣化対策リフォーム
例えば、下記のようなリフォーム工事などです。
- 床下の防腐・防蟻処理
湿気は建物の劣化を加速させ、シロアリの発生や木材の腐朽を引き起こす原因となります。また、防虫処理などシロアリの発生を防ぐための処置を行うことで、長期にわたる住宅の保護が可能です。 - ユニットバスへの交換
ユニットバスは浴室全体が防水性の高いパネルで囲まれており、床や壁が一体化しているため、水漏れや湿気の浸透を防ぎ、建物の内部が湿気で劣化するリスクを大幅に減らすことができます。 - 雨どいの新設(雨はね対策) など
雨どいを設置することで、雨水が外壁や基礎に直接流れ込むのを防ぎ、長期間にわたり建物を保護することができます。また、床下や基礎の湿気対策ができ、建物全体の劣化を防ぐことが可能です。
雨どいは雨はね防止に有効な位置に設置される場合、雨はね対策として認められます。
現状、雨どいが設置されていない状態から新設する場合、特定性能向上工事として対象になります。
既設の雨どいが劣化していて、現状検査チェックシートで指摘されていれば、雨どいの交換工事はその他性能向上工事として補助対象になります。
耐震補強リフォーム
例えば、下記のようなリフォーム工事などです。
- 耐震壁の設置
建物の構造を強化するために、耐震壁や耐力壁を追加することで、地震による揺れに対して強い建物を作ります。 - 基礎補強工事
建物の基礎部分を強化する工事です。古い住宅では基礎が弱くなっていることがあり、耐震性能を向上させるために基礎補強を行います。 - 屋根の軽量化 など
地震時に屋根の重さが建物全体に負担をかけることが多いため、重い瓦屋根を軽量な金属屋根などに変更することで、建物の揺れを軽減し、倒壊のリスクを減らすことができます。
省エネ対策リフォーム
例えば、下記のようなリフォーム工事などです。
- 断熱材の追加
壁、天井、床などに断熱材を追加することで、外気の影響を抑え、室内温度を安定させます。これにより、冷暖房の効率が向上し、エネルギー消費を抑えることができます。 - 断熱サッシへの交換
従来の単板ガラスや断熱性能の低い窓を、二重ガラスや高断熱性能を持つサッシに交換することで、熱の出入りを減らし、冷暖房効果を向上させます。 - 高効率給湯器への交換 など
エコキュートやエコフィールなどの高効率給湯器設置などを導入することで、日常のエネルギー消費を大幅に抑えることができます。
維持管理・更新の容易性のためのリフォーム
例えば、下記のようなリフォーム工事などです。
- 給水・排水管の更新
古くなった配管は、経年劣化によって錆びたり腐食したりして、水漏れや排水の詰まりが発生しやすくなります。配管が新しくなることで、水漏れや詰まりのリスクを軽減し、住宅内部への水の浸透や水害による劣化を防ぐことができます。 - 床下点検口の設置 など
床下には、給排水管や電気配線、シロアリ対策、湿気対策など重要な設備があり、これらの状態を確認するためには点検口が必須です。床下の状態を定期的に確認しやすくすることで、住宅全体の維持管理が容易になります。
その他(劣化対策、耐震補強、省エネ対策以外)の性能向上リフォーム工事
例えば、下記のようなリフォーム工事などです。
- バリアフリー改修工事
手すりの設置や床段差の改修工事など - インスペクション(※)で指摘された箇所の改修工事
屋根の張り替え、雨どいの交換、外壁の塗装工事など - テレワーク環境整備改修工事
部屋を仕切る間仕切壁や建具等の設置など - 高齢期に向けた住まいの改修
玄関スペースの拡大、未使用の部屋の別用途化など - 高断熱浴槽の設置、節水型トイレの設置など
高断熱浴槽は湯温低下が抑えられ、エネルギーの節約につながります。節水型トイレは年間で使用する水の量を大幅に節約できるため、水道代が大きく削減されます。
※インスペクションとは
住宅の状態を詳しく調査し、必要な改修箇所や改善点を明らかにするために実施される建物現況調査のこと
性能向上工事以外の補助金対象工事
三世代同居対応リフォーム工事
親、子、孫の三世代が一緒に快適に暮らせるように住環境を整えるリフォームです。
家族が複数世代で住むため、キッチン、浴室、トイレ、玄関(外階段)の増設工事で、キッチン、浴室、トイレ、玄関のうちいずれか2つ以上が複数個所あることが条件となります。
子育て世帯向けリフォーム工事
若い家族や子育て世帯が、安全で子育てしやすい環境にするためのリフォームです。
例えば、住宅内での事故防止や子どもの様子の見守り(キッズスペースの設置)、不審者の侵入防止の防犯カメラ設置、災害への備えなど、子どもが安全に過ごせる環境を整えるリフォーム工事です。
防災・レジリエンス性(※)の向上リフォーム工事
地震、台風、水害などの自然災害に備え、住宅の防災性能やレジリエンスを高める工事です。
例えば、瓦の交換工事や止水板の設置工事、雨水利用タンクの設置工事など、耐震補強や防水工事、避難経路の確保、非常用電源や水の備えを強化するリフォーム工事が対象です。
※レジリエンスとは
地震や台風などの自然災害に強く、万が一被害を受けてもすぐに修復可能な構造を持つことを指します。
長期優良住宅化リフォーム推進事業におけるインスペクションとは?
長期優良住宅化リフォーム推進事業におけるインスペクションとは、住宅の状態を詳しく調査し、必要な改修箇所や改善点を明らかにするために実施される建物現況調査のことです。
事業の要件として、
リフォーム工事前にインスペクションを行うとともに、維持保全計画及びリフォームの履歴を作成すること。
と記載されており、リフォームの前段階として、建物の現状を正確に把握し、適切なリフォーム計画を立てるために行わなければなりません。
インスペクションは、既存住宅状況調査技術者(宅建業法の告示により国に登録された団体の講習を受け、登録された建築士) が行うことと決められていて、インスペクションの費用も補助対象となります。
インスペクションの目的
インスペクションの具体的な目的は以下の通りです。
- 劣化状況の把握
住宅の外壁、屋根、床、基礎などの構造部分がどの程度劣化しているかを調査し、改修の必要性を判断します。 - 耐震性能の評価
地震に対する耐久性を評価し、耐震補強が必要かどうかを判断します。 - 断熱性能の診断
断熱材の有無や劣化状況、窓やドアの断熱性能などをチェックし、省エネ性能を向上させるために必要な改修を特定します。 - 維持管理の必要性の確認:今後の維持管理やメンテナンスが必要な箇所を把握し、リフォーム計画に反映させます。
インスペクションの流れ
インスペクションは、既存住宅状況調査技術者が行います。一般的なインスペクションの流れは以下の通りです。
- 事前打ち合わせ
インスペクションを依頼する前に、建物の所有者と専門家が事前に打ち合わせを行います。ここでは、調査範囲や目的、調査項目などを確認します。 - 現地調査
専門家が実際に住宅に訪問し、目視調査や専用機器を使った調査を行います。調査内容は住宅全体にわたり、屋根、外壁、基礎、床下、天井裏などの構造部分から、断熱材や窓の状態、排水設備や電気配線の安全性まで幅広く確認します。
耐震診断:建物の強度や耐久性を確認し、地震に対する安全性を診断します。
劣化診断:外壁や屋根、床下の劣化状態を確認し、腐食やシロアリの被害などがないかを調べます。
断熱診断:断熱材や窓の断熱性能をチェックし、省エネリフォームが必要かを判断します。 - 維持保全計画の作成
現地調査が終わると、リフォームした住宅を長持ちさせるための計画として、「維持保全計画」を作成します。この計画には、点検や修理の時期と内容が記載されます。計画の期間は30年以上とし、少なくとも10年ごとに点検を行うことが推奨されています。インスペクションで見つかった問題点への対応も、この計画に組み込みます。
補助金を受けるための条件
先にご紹介したように、補助金を受けるには大きく3つの条件を満たす必要があります。
[1]インスペクションの実施
工事に先立って日常生活に四方をきたすような劣化事象の有無を把握するために行います。インスペクションで指摘を受けたものの中にはリフォーム工事で補修しないといけないものもあります。
[2]リフォーム後の住宅が一定の性能基準を満たすこと
必須 | 構造躯体等の劣化対策 | 柱、床などの腐朽、蟻害の抑制 |
耐震性 | 大地震でも倒壊しないよう耐震性の確保 | |
省エネルギー対策 | 窓や壁、床、天井などの断熱化 給湯器などの高効率化 |
|
住戸面積の確保 | 一定規模以上の住戸面積を有する | |
任意 | 維持管理・更新の容易性 | 給排水管を点検・清掃・交換しやすくする |
高齢者等対策 (共同住宅のみ) |
バリアフリー化 | |
可変性 (共同住宅のみ) |
将来の間取り変更等に対応しやすくする |
[3]リフォーム履歴と維持保全計画を作成すること
リフォーム工事の実施後、その記録やメンテナンスに関する計画をまとめた書類を作成します。この書類は、住宅の長期的な性能維持や資産価値の向上を目的としており、将来的な維持管理がスムーズに行えるようにするために必要です。
リフォーム履歴
リフォーム工事の内容、施工日、施工箇所、使用した材料や設備などを記録し、工事が行われる前、工事中、そして完了後の写真を記録として残します。リフォーム工事に使用された設計図や施工図を添付し、どの部分がどのように改修されたかを明確にします。
- 工事の詳細記録
リフォーム工事の内容、施工日、施工箇所、使用した材料や設備などを記録します。 - 工事前後の写真
工事が行われる前、工事中、そして完了後の写真を記録として残します。これにより、工事の進捗や改善された箇所が視覚的にわかりやすく確認できます。 - 図面や設計書
リフォーム工事に使用された設計図や施工図を添付し、どの部分がどのように改修されたかを明確にします。 - 工事業者の情報
リフォームを実施した施工会社の名前や連絡先、担当者の情報なども記録しておくことで、将来的な修繕やメンテナンス時に役立ちます。
維持保全計画
リフォーム後の住宅を長期的に維持・管理するための具体的なメンテナンススケジュールをまとめたものです。この計画では、住宅の各部分をどの時期に点検・修繕すべきかが記載されており、住宅の性能を維持するためのガイドラインとなります。
- 点検・補修のスケジュール
住宅の耐久性や省エネ性能を維持するために、定期的に行う点検や補修の時期を決めます。例えば、10年ごとに屋根や外壁の点検を行う、5年ごとに断熱材の状態を確認する、といったように、具体的な点検時期と内容を計画します。 - 対象箇所の管理方法
住宅のどの部分をいつ、どのように点検・保全するのかを明記します。例えば、防水処理、外壁の塗装、シロアリ対策、屋根のメンテナンスなど、具体的な保全計画が含まれます。 - インスペクション結果の反映
リフォーム前に実施されたインスペクション(現況調査)で指摘された箇所や、リフォーム後の改修が必要な箇所について、定期的な点検や修繕が必要かどうかも維持保全計画に盛り込みます。 - 計画の期間
維持保全計画の期間は通常30年以上とされており、長期的なメンテナンスのスパンで住宅を管理します。計画は、少なくとも10年ごとに点検を行い、必要に応じて修繕を行うことを推奨しています。
補助金はいくらもらえるの?
長期優良住宅化リフォーム推進事業では、リフォームによって住宅の性能をどれだけ向上させるかによって、補助金の限度額が異なります。
- 補助率:補助対象となるリフォーム工事費の1/3の額が補助されます。
- 補助限度額:リフォーム後の住宅性能に応じて2つの補助上限額が設定されています。
リフォーム後の住宅性能 | 補助限度額 | |
【1】 評価基準型 |
長期優良住宅(増改築)認定を取得しないものの、一定の性能向上が認められる場合 | 80万円/戸 (130万円/戸) |
【2】 認定長期優良住宅型 |
長期優良住宅(増改築)認定を取得した場合 | 160万円/戸 (210万円/戸) |
補助限度額の( )内は三世代同居対応改修工事を実施する場合、若者・子育て世帯又は既存住宅の購入者が改修工事を実施する場合
令和6年5月14日:評価基準型は予算に達したため、交付申請受付を締め切られました。長期認定型のみ受付中です。
最新情報は「令和6年度 長期優良住宅化リフォーム推進事業 交付申請等手続きのご案内」をご確認ください。
長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助金を活用して屋根工事をする場合のメリット・デメリット
メリット
経済的負担の軽減
長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助金を利用することで、屋根工事にかかる費用の一部を国が補助してくれるため、自己負担額を大幅に減らすことが可能です。工事費用が抑えられることで、他の改修計画にも予算を回すことができ、リフォーム全体の質を向上させることが可能です。また、補助金を利用することで、普段は手が届きにくい高性能な素材や最新の工法を導入しやすくなり、リフォームの効果を最大限に引き出せます。
耐震性能・断熱性能の向上
補助金を活用して屋根工事を行うことで、住宅の耐震性能や断熱性能が大幅に向上します。例えば、重い瓦屋根を軽量な金属屋根に変更することで耐震性が高まり、地震時の安全性が向上します。また、断熱材の追加や屋根材の変更によって断熱性が向上することで、夏の暑さや冬の寒さが軽減され、室内の快適さが高まります。その結果、冷暖房効率が良くなり、光熱費の削減にもつながります。
資産価値の向上
耐震性や省エネ性能が高い住宅は、将来的に資産価値が向上する可能性が高く、売却時にも有利になります。長期優良住宅の基準を満たしている住宅は、市場での評価が高く、将来の資産価値を維持しやすい傾向があります。また、補助金を活用して住宅の性能を向上させることで、住まいの長寿命化にもつながり、家族の安心や快適な暮らしが長期間続きます。
デメリット
一部工事のみでは対象外となる
長期優良住宅化リフォーム推進事業は、住宅全体の性能向上を目的としているため、屋根工事だけでなく、他の部分も含めた大幅なリフォームが必要になります。部分的な工事のみでは補助金が適用されないため、事前に工事業者と全体のリフォーム計画を調整することになります。
予算オーバーのリスク
予定していた屋根工事以外の工事も必要となるため、補助金を利用することで工事の範囲が広がり、結果的に当初の予定よりも費用がオーバーする可能性があります。このため、工事全体のコストと補助金のバランスをしっかり検討することが重要です。屋根工事だけで補助金の活用を検討している場合は、想定していなかった箇所のリフォームも追加することになってしまいます。
屋根工事の専門会社の相見積もりがとれない
補助金を活用するためには、国の基準を満たした特定の工事業者に依頼する必要があり、そのため複数の業者から相見積もりを取って費用を比較することが難しくなります。通常の屋根工事だけであれば、複数の専門会社から見積もりを取り、最も適した業者を選べるメリットがありますが、補助金を活用する場合は業者の選択肢が限られてしまいます。
さらに、補助金対応業者に依頼すると費用が高めに設定されることもあり、最終的な工事費用が相見積もりを取った場合と比べて高くなるリスクもあります。
メンテナンス費用の負担
10年ごとにメンテナンスを行うことが義務付けられているため、定期的に発生するメンテナンス費用が家計の負担となります。特に大規模な補修や交換が必要な場合、予想外の出費が発生することがあり、長期的に見て費用負担が増える可能性があります。リフォームを実施した当初は補助金を受けられたとしても、その後のメンテナンス費用を計画的に準備しておく必要があります。
基準を満たさないと補助金が受けられない
補助金を受けるためには、工事が国の定めた基準をクリアしていることが求められます。例えば、耐震基準や断熱材の性能基準を満たさないと補助金の対象外となります。補助金の要件を満たすために、工事内容や使用する材料を慎重に選ぶ必要があり、場合によっては計画を見直す必要が生じることもあります。また、現地調査や完了報告で不備が見つかると、補助金が減額されたり、支給されない可能性もあるため、基準を満たすことを前提にした工事計画をしっかり立てることが重要です。
屋根修理に長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助金は本当にお得か?
長期優良住宅化リフォーム推進事業は、上手に活用すれば住宅の性能を大きく向上させ、費用の一部を補助してもらうことができます。
しかしその一方で、条件や工事内容次第では補助金のメリットを十分に活かせず、結局高くついてしまう場合もあります。屋根工事を考えている方は、これまでご紹介した補助金の適用条件を十分に理解し、費用を抑えるために補助金制度を活用するかどうかを慎重に検討する必要があります。
補助金を活用する際は事前に条件や工事費用について十分な確認を行い、最適なリフォーム内容を計画することが大切です。
屋根修理を検討している場合は、まずは屋根修理の専門会社に相談するようにしましょう。
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