屋根の工事の相談を受けて屋根材をめくってみると、「外から見たときよりも、下地が傷んでいた」ということがよくあります。その下地の中心になるのが野地板(のじいた)です。
野地板は、瓦や金属屋根、スレートなどの屋根材と、その下に敷く防水シートを支える板です。普段は屋根材に隠れていて見えませんが、ここが傷むと、屋根材を新しくしても雨漏りや屋根のたわみが直らないことがあります。
この記事では、野地板の役割と種類、傷む原因、傷んでいるかどうかの見分け方、補修の方法を、1954年創業の板金・屋根工事店「屋根修理の匠ひおき」の職人が、実際の現場写真を使って解説します。
野地板(のじいた)とは
野地板は、屋根の骨組みである垂木(たるき)の上に張る板のことです。屋根は、上から順に次のように重なっています。
- 屋根材(瓦・金属屋根・スレートなど)…雨や日差しを最初に受け止める
- 防水シート(下葺き材・ルーフィング)…屋根材の下に入り込んだ雨水を止める
- 野地板…防水シートと屋根材を支え、留め付ける土台になる
- 垂木…野地板を支える屋根の骨組み
金属屋根やスレートは、釘やビスを野地板に打ち込んで留めます。そのため野地板がしっかりしていないと、屋根材や板金を固定する力も弱くなります。屋根の「見えない土台」と考えると分かりやすいでしょう。
野地板の主な種類
小幅板(こはばいた)・バラ板
幅の狭い板を、垂木の上に1枚ずつ並べて張った野地板です。古い瓦屋根の住宅でよく見られます。板と板の間にすき間があるものも多く、瓦屋根の下に葺き土(ふきつち)を載せていた家では、土を下ろすとこの板が出てきます。
古い瓦屋根では、バラ板の上に防水シートの代わりとして杉皮(すぎかわ)を敷いていることもあります。下の写真は杉皮の層で、この下にバラ板の野地があります。
構造用合板
薄い板を何層にも貼り合わせた大きな板で、いまの住宅の野地板では広く使われています。1枚が大きいため屋根面が平らに仕上がりやすく、釘やビスも効かせやすいのが特長です。
屋根材メーカーの施工要領でも、下地の指定があります。たとえばアイジー工業の金属屋根材の施工要領では、既存屋根の上に合板を張って施工する工法について、厚さ12mmの構造用合板(特類2級)を張るよう記載し、小幅板は使わないよう注意書きがあります。屋根材ごとに条件が決まっているため、工事の前に確認が必要です。
そのほかの下地材
木の小片を固めた板(OSB)などが使われることもあります。どの材料が使われているかは、屋根材をめくったときや、屋根裏から見たときに確認できます。
野地板が傷む主な原因
1. 防水シートの劣化や破れから入る雨水
屋根材の下に入った雨水は、本来は防水シートの上を流れて軒先から外へ出ていきます。ところが防水シートが古くなって破れたり、釘穴のまわりから水が回ったりすると、その下の野地板が少しずつ濡れるようになります。濡れては乾くことを繰り返すうちに、板が黒ずみ、やがて腐って弱くなります。
2. 棟・谷・壁際など板金まわりからの雨漏り
屋根の頂上の棟(むね)、屋根面がぶつかる谷、屋根と壁が接する部分は、板金で雨水を逃がしている場所です。板金の浮きや釘の抜け、シーリングの切れがあると、そこから入った雨水が同じ場所の野地板を傷めます。部分的に傷んでいる場合は、このような場所の下であることが多くあります。
3. 軒先にたまる雨水
屋根の雨水は最後に軒先へ集まります。軒先の板金(唐草)の納まりが悪かったり、雨どいがあふれたりすると、軒先の野地板が先に傷みます。
4. 屋根裏の湿気(結露)
雨漏りがなくても、屋根裏に湿気がこもると、冬場などに野地板の裏側で結露が起きることがあります。屋根裏の換気が足りない家では、野地板の裏側から黒ずみやカビが広がることもあります。
野地板が傷んでいるサイン
野地板は屋根材の下にあるため、外から直接は見えません。それでも、次のようなサインが出ることがあります。
- 屋根を少し離れて見ると、屋根面が波打っている・一部がへこんで見える
- 点検のとき、屋根の上を歩くと沈むような感触がある場所がある
- 軒天(軒の裏側)や天井に、雨染みや黒ずみがある
- 屋根裏をのぞくと、板の裏側が黒くなっている・カビが出ている
- 棟板金の釘が何度も浮いてくる(下地が弱って釘が効かなくなっている場合があります)
ただし、どこまで傷んでいるかは、屋根材をめくってみないと分からないことも少なくありません。下の写真の現場でも、屋根材を剥がして初めて、穴が開くほど傷んだ箇所が見つかりました。
屋根の上はすべりやすく、傷んだ野地板は踏み抜くおそれもあります。ご自分で屋根に上がって確かめるのは避けてください。屋根裏の点検口から懐中電灯でのぞく、軒天や天井のシミを見る、といった室内や地上からの確認にとどめましょう。
野地板の補修方法
部分的に張り替える
傷みが一部に限られている場合は、傷んだ野地板だけを切り取り、新しい板に張り替えます。その際は、下の垂木も腐っていないかを確かめ、必要に応じて補強します。
既存の野地板の上から合板を増し張りする
屋根全体に傷みや細かな不陸(でこぼこ)がある場合は、傷んだ箇所を補修したうえで、既存の野地板の上から構造用合板を重ねて張る「増し張り(ましばり)」を行うことがあります。屋根面が平らに整い、新しい屋根材をしっかり留められる下地になります。当社でも、葺き替えの際に厚さ12mmの構造用合板で増し張りすることが多くあります。
野地板を撤去して新しく張り直す
野地板の傷みが広い場合や、小幅板にすき間が多く金属屋根などの留め付けに向かない場合は、既存の野地板を撤去して新しく張り直します。瓦屋根の葺き替えや葺き直しで、葺き土を下ろしたあとに行うことがよくあります。
カバー工法と野地板の関係
カバー工法は、いまある屋根材を残し、その上に防水シートと新しい屋根材を重ねる工事です。撤去や処分の手間が少ない一方で、既存の野地板はそのまま残ることになります。
新しい屋根材は、既存の屋根材を通して下の野地板に留め付けるため、野地板が腐っていたりたわんでいたりすると、留め具がしっかり効かず、強風などでの不具合につながるおそれがあります。雨漏りが長く続いていた屋根や、屋根面がへこんでいる屋根では、カバー工法ができるかどうかを慎重に判断する必要があります。
当社では、点検の際に屋根の状態や屋根裏を確認し、カバー工法で問題ないのか、野地板から直す葺き替えにしたほうがよいのかを、写真を見ていただきながらご説明しています。
野地板についてよくあるご質問
Q. 野地板の傷みは、点検だけで分かりますか
屋根面の波打ちや、屋根裏の黒ずみ、軒天のシミなどから、ある程度は判断できます。ただ、傷みの範囲を正確に知るには、屋根材をめくってみる必要がある場合もあります。工事の途中で想定より傷みが見つかったときは、写真でお見せしてから補修の内容をご相談します。
Q. 雨漏りしていなければ、野地板は大丈夫ですか
室内に雨水が落ちてくる前に、屋根の中で野地板だけが少しずつ傷んでいることがあります。また、屋根裏の結露で傷む場合もあります。築年数がたっている屋根は、雨漏りがなくても一度点検しておくと安心です。
Q. 増し張りをすると、屋根が重くなりませんか
合板を1枚重ねる分の重さは加わりますが、瓦と葺き土を下ろして金属屋根に替える葺き替えでは、屋根全体としては軽くなることが一般的です。建物の状態に合わせて、増し張りにするか張り替えにするかを決めます。
Q. 野地板の補修費用は、何によって変わりますか
傷んでいる範囲(部分か全面か)、張り替えか増し張りか、垂木の補強が必要か、屋根の形や広さによって変わります。点検のうえで、どこをどのように直すのかを分けてお見積もりします。
まとめ
野地板は、屋根材と防水シートを支え、屋根材を留め付ける土台です。普段は見えない場所ですが、防水シートの劣化や板金まわりからの雨水、軒先にたまる水、屋根裏の結露などで少しずつ傷みます。
屋根材だけを新しくしても、下地が傷んだままでは長持ちしません。補修の方法には、部分的な張り替え、合板の増し張り、全面の張り直しがあり、傷みの範囲と、その上に載せる屋根材の条件に合わせて選ぶことが大切です。
「屋根面がへこんで見える」「軒天にシミがある」「カバー工法と葺き替えのどちらがよいか迷っている」という方は、まず屋根の下地の状態を確かめるところから始めましょう。
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屋根の下地のこと、まずは職人にご相談ください
「屋根が波打って見える」「雨漏りの原因が分からない」「カバー工法でいいのか知りたい」といった段階のご相談でも構いません。
屋根の写真をLINEで送っていただくだけでも、職人が直接お答えします。
- 写真をLINEで送るだけで相談できます:LINEで相談する
- お電話:0744-47-4265(10:00〜17:00)
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1954年創業、親子三代の板金・屋根工事店として、奈良・三重を中心に大阪・京都・和歌山・滋賀・兵庫まで、点検・雨漏り修理・葺き替えのご相談を承ります。現地調査・お見積もりは無料です。
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