「軒がほとんど無い家にしたけれど、雨漏りしないか心配」。新築を考えている方や、軒の浅い家にお住まいの方から、こうしたご相談をいただきます。
結論から言うと、軒ゼロ住宅は屋根材の下に入った雨水の逃げ場が建物の中になりやすく、軒のある家より壁の中の雨漏りのリスクが高くなります。ただし、取り合いの防水紙と板金を正しく納め、屋根裏の換気の通り道をつくり、傷みを早めに見つければ防げます。
この記事でわかること
- 軒ゼロ住宅とは何か、軒の出の役割
- 軒ゼロ住宅のデメリットと、雨漏りしやすいといわれる理由
- 新築時と住んでからできる雨漏り対策と換気
- 点検のサインと、職人が点検で確かめること
1954年創業の板金・屋根工事店「屋根修理の匠ひおき」の板金職人が、図と現場の写真を使って解説します。

軒ゼロ住宅とは|軒の出がほとんど無い家
軒ゼロ住宅とは、屋根の端が外壁からほとんど張り出していない家のことです。「軒なし住宅」とも呼ばれ、四角い外観の家や、片流れ屋根の家に多く見られます。
軒の出とは、屋根の端(軒先)が外壁の面より外側へ張り出している水平の長さです。軒の裏側を軒天(のきてん)、屋根の横の端をけらばと呼びます。部位の名前は「屋根の名称一覧」で写真つきで紹介しています。
軒の出の役割|雨・日差し・外壁を守る
軒の出には、主に次の3つの役割があります。
1. 屋根と外壁の取り合いと窓を雨から守る
軒が出ていれば、屋根から落ちる雨は外壁から離れた所に落ちます。屋根と外壁の境目や窓の上に、雨がかかりにくくなります。
2. 夏の日差しを遮る
太陽は、夏は高く、冬は低い位置を通ります。軒の出は夏の高い日差しを窓の手前で遮り、冬の低い日差しは室内に入れてくれます。
3. 外壁とシーリングの傷みを遅らせる
雨や日差しが外壁に当たる時間が減るため、外壁の汚れや色あせ、継ぎ目のシーリング(コーキング)の傷みが進みにくくなります。
軒ゼロ住宅のデメリット|雨漏りしやすいといわれる理由
軒ゼロ住宅のいちばんのデメリットは、屋根材の下に入った雨水の逃げ場が、建物の中になってしまうことです。理由は次の4つです。
1. 屋根材の下に入った雨水が、壁の中へ入り込む
屋根材のすき間から入った雨水は、その下の防水紙(ルーフィング)の上を伝って、屋根の低い方へ流れます。
軒のある家では、この水は軒先まで流れて外へ出ます。傷むのは軒先や軒天(のきてん)で、建物の中までは届きにくくなります。
軒ゼロ住宅では、屋根の端のすぐ下が外壁です。流れてきた水の逃げ場が建物の中になり、壁の中や下地を傷めます。外から見えない所で傷みが進むのが、軒ゼロ住宅のいちばんの弱点です。
さらに防水紙が傷んでいると、水は防水紙の下へ抜け、内壁を伝って下りてきます。室内の壁にシミが出ることもあります。

2. 強い風で雨が吹き上げられる
台風のような横なぐりの雨では、雨水が下から吹き上げられます。軒が無いと、屋根の端や板金のすき間から内側へ回り込みやすくなります。
3. 窓まわり・外壁のシーリングが傷みやすい
雨と日差しを外壁がまともに受けるため、窓まわりや外壁の継ぎ目のシーリングが早く傷みます。シーリングのひびは、外壁からの雨漏りの入り口になります。

4. 屋根裏の換気口を設けにくい
軒のある家は、軒天に吸気口を付けて屋根裏の湿気を逃がせます。軒ゼロ住宅は軒天が無いため、屋根の端や外壁の上の方、棟に付ける換気部材で、空気の通り道をつくる必要があります。
軒ゼロ住宅のメリット
軒ゼロ住宅にもメリットはあります。外観がすっきりとシンプルになることや、限られた敷地に建物を計画しやすいことが、よく挙げられます。デザインを優先するなら、次の雨漏り対策と点検をセットで考えておくと安心です。
こんな症状は点検のサイン|自分でできるチェック
次の症状は、地上や室内から確かめられます。屋根やはしごには上がらず、見える範囲で確かめてください。
| 見る場所 | こんな症状 | 考えられること |
|---|---|---|
| 外壁側の室内の壁 | 雨のあとにシミ・壁紙のはがれ | 屋根から入った水が内壁を伝っている |
| 窓・サッシの上の室内 | 雨のあとに壁紙のシミ・カビ | 窓まわりのシーリングや取り合いからの浸水 |
| 外壁の継ぎ目 | シーリングのひび・すき間・やせ | シーリングの劣化 |
| 屋根の端のすぐ下の外壁 | 板金の浮き・サビ、外壁の雨だれ汚れ | 屋根の端の板金のゆるみ・傷み |
| 2階の天井・壁の上の方 | 雨のあとにシミ | 取り合いや屋根の端からの浸水 |
| 外壁の表面 | 色あせ、触ると白い粉が付く | 外壁の塗膜の劣化 |
軒ゼロ住宅の雨漏り対策|新築時と住んでからできること
対策の中心は、取り合いの雨仕舞と換気を正しくつくり、傷みを早めに見つけて直すことです。雨仕舞の考え方は「雨仕舞(あまじまい)とは」もあわせてご覧ください。
新築・設計のときにできること
- 少しでも軒の出を確保できないか、設計の段階で相談する
- 屋根の端(軒先・けらば)と外壁の上端の境目は、防水紙と板金を重ねて、雨水が内側へ回り込まない納まりにする
- 軒天が無い分、屋根の端や棟に換気部材を付けて、屋根裏の空気の通り道をつくる
屋根裏の換気は、軒裏から吸気して棟から排気する方式の場合、フラット35の基準で吸気口を天井面積の1/900以上、排気口を1/1600以上とします。

すでにお住まいの家でできること
住んでからの対策は、取り合いと外壁の傷みを早めに見つけて直すことです。シーリングのひびは打ち替え、板金の浮きは固定し直し、傷みが進んだ板金は交換します。
外壁の塗り替えのときに、取り合いの板金とシーリングもまとめて確かめると、足場を一度で済ませられます。窓の上から雨が入る場合は、「サッシ・窓まわりの雨漏り」も参考になります。
職人が点検で確かめること
当社の板金職人は、軒ゼロ住宅の点検で次の点を確かめます。
- 屋根の端と外壁の上端の境目の板金の浮き・釘の抜け・サビ、すき間
- 屋根の端(軒先・けらば)の板金の納まりと、吹き上げで雨が入る経路
- 窓まわり・外壁の継ぎ目のシーリングのひび・はがれ
- 屋根裏や天井裏の雨じみ・カビ(点検口から見られる場合)
- 換気部材の有無と、ごみやほこりでふさがっていないか
板金をめくらないと分からない下地の傷みもあります。めくった場合は写真でお見せし、職人が現地で状態を確かめたうえでご説明します。
費用が変わる要素と見積書の確認点
当社では、一律の金額は載せていません。取り合いの補修や板金の交換の費用は、次の要素で変わります。
- 傷んでいる取り合いの長さと範囲
- 防水紙や下地の木材の傷み具合
- 屋根材の種類と屋根の形
- 2階の取り合いなど、足場が必要かどうか
見積書では、「板金工事一式」とまとめず、どの部位をどれだけ直すのか、防水紙の張り替えを含むのか、シーリングは打ち替えか増し打ちか、が分かるかを確かめてください。無料点検で状態を見てから、内訳の分かる見積もりをお出しします。
よくあるご質問
Q. 軒ゼロ住宅でも雨漏りしない家はありますか?
あります。取り合いの防水紙と板金が正しく納まり、シーリングの手入れが続けられていれば、雨漏りは防げます。軒が無い分、点検の間隔を空けすぎないことが大切です。
Q. 軒ゼロ住宅に換気部材は必要ですか?
軒天に吸気口を付けられないため、屋根の端や外壁の上の方、棟などに換気部材を付けて、屋根裏の湿気を逃がす必要があります。どの部材を使うかは、屋根の形で変わります。
Q. 片流れ屋根の軒ゼロ住宅は雨漏りしやすいですか?
片流れ屋根は、高い側の屋根の端が外壁と取り合う形になり、ここに雨と風が当たります。軒ゼロの場合は、この部分の板金と防水紙の納まりがとくに大切です。
Q. 軒の出はどのくらいあればよいですか?
必要な長さは、屋根の形や窓の位置、敷地の条件で変わります。設計の段階で、窓の上や取り合いをどう守るかと合わせて相談するのがおすすめです。
Q. 軒天(のきてん)にシミがあるのは雨漏りですか?
軒天のシミやはがれは、屋根の端や取り合いから雨水が入っているサインのことがあります。放っておくと下地の木が傷むため、早めに点検を受けてください。詳しくは「軒天とは」をご覧ください。
Q. 自分で取り合いにコーキングを打ってもよいですか?
高い所の作業は転落の危険があるため、おすすめしません。すき間をふさぐ場所を間違えると水の出口をふさぎ、かえって雨漏りを悪化させることもあります。
まとめ
- 屋根材の下に入った雨水は、軒のある家では軒先から外へ出るが、軒ゼロ住宅では建物の中に入り壁を傷める
- 軒の出は、取り合いと窓・外壁を雨や日差しから守っている
- 新築時は、屋根の端と外壁の境目の防水紙・板金の納まりと、換気部材が大切
- 住んでからは、シーリングと板金の傷みを早めに見つけて直す
- 気になる症状があれば、屋根に上がらず職人に点検を任せる
参考・出典
- 住宅金融支援機構「フラット35 技術基準」(小屋裏換気:吸気口・排気口の面積)
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軒ゼロ住宅・軒の浅い家の雨漏りのこと、まずは職人にご相談ください
「軒の無い家で外壁にシミが出た」「窓の上から雨が入る」「軒天がはがれてきた」といった段階のご相談でも構いません。
屋根の写真をLINEで送っていただくだけでも、職人が直接お答えします。
- 写真をLINEで送るだけで相談できます:LINEで相談する
- お電話:0744-47-4265(10:00〜17:00)
- 無料点検:無料点検のお申し込み
1954年創業、親子三代の板金・屋根工事店として、奈良・三重を中心に大阪・京都・和歌山・滋賀・兵庫まで、点検・雨漏り修理・葺き替えのご相談を承ります。現地調査・お見積もりは無料です。
※遠方の場合は出張費をいただく場合がございます。詳しくはお問い合わせください。



