奈良県桜井市のお住まいで、太陽光パネルを撤去したうえで、金属屋根をアイジー工業「スーパーガルテクト フッ素」に葺き替えた事例をご紹介します。屋根と外壁をまとめて改修する工事のうち、今回は屋根工事を中心にお伝えします。
パネルの下で長年雨水が回っていた屋根は、表面から見えていた以上に下地が傷んでいました。既存の屋根材をめくって初めて分かった野地板の腐朽をどう補修し、どのような屋根につくり替えたのか。工程ごとの写真とあわせて詳しく解説します。太陽光パネルを載せている屋根の今後に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
工事概要
- 施工エリア:奈良県桜井市
- 建物:木造2階建て住宅
- 工事種別:屋根葺き替え工事(太陽光パネル撤去含む)/外壁塗装工事
- 既存屋根:旧金属屋根(横葺き:サビナシルーフ断熱材一体型)+太陽光パネル32枚
- 使用材料:アイジー工業 スーパーガルテクト フッ素
- 下葺き材:田島ルーフィング ニューライナールーフィング(改質アスファルトルーフィング)
- 野地:構造用合板 t12mm 増し張り(腐朽部は部分補修)
- 施工面積:約166㎡
- 主な施工内容:太陽光パネル・架台の撤去処分、既存屋根材撤去、腐朽した野地板の部分補修、構造用合板の増し張り、下葺き材敷設、ジョイント下地、屋根本体施工、軒先唐草・ケラバ水切り・棟板金(新規貫板)の取り付け、北面破風板の板金巻き
- 屋根完工:2026年10月
- メーカー保証:穴あき25年・赤さび20年・塗膜変褪色20年(スーパーガルテクト フッ素)
ご相談のきっかけ
「屋根からの雨漏りがあるので見てほしい」というご相談でした。屋根には太陽光パネルが32枚載っており、パネルの下は普段まったく見えない状態です。
現地調査で屋根に上がると、パネルの下や屋根材の継ぎ目に、テープで何重にも補修した跡が見つかりました。過去に雨漏りがあり、その都度応急処置をしてきたことがうかがえます。軒先では屋根材の下の木部が割れて傷んでいるのも確認できました。
屋根材の上から重ねるカバー工法も検討しましたが、すでに雨水が回っている可能性が高く、下地を確認しないまま蓋をするのは避けるべきと判断しました。太陽光パネルは撤去し、既存の屋根材をめくって、下地から新しく増し張りをする、葺き替え工事をご提案しました。
施工前の状態
太陽光パネルが載った屋根


屋根の両面に太陽光パネルがびっしり並んでいます。パネルの架台は屋根材に直接固定されており、その固定部分は屋根に穴を開けている箇所でもあります。設置から年数がたつと、この固定部や屋根材の継ぎ目から雨水が入りやすくなります。

パネル下に残っていたテープ補修

パネルの下をのぞき込むと、屋根材の継ぎ目にテープが何枚も貼られていました。過去に雨漏りがあった箇所を、その場でふさいだ跡と考えられます。


紫外線や熱で数年もすれば劣化し、端から浮いてきます。しかも屋根材の内側に入り込んだ水は、表から貼るテープではどうにもできません。テープ補修が何か所も重なっている屋根は、下地まで水が回っているサインと考えたほうが安全です。

軒先の木部の傷み

軒先では、屋根材の下にある木部が割れ、繊維がささくれ立つほど傷んでいました。軒先は屋根を流れ落ちる雨水がすべて集まる場所で、水切りの納まりが悪いと木部が常に濡れた状態になってしまいます。

小屋裏にも入り、構造材や下地の状態を内側から確認しました。表と裏の両方から見ることで、補修が必要な範囲をできるだけ正確に見積もります。
工事の流れ
1. 足場の設置と太陽光パネルの撤去

屋根と外壁の工事に合わせて外部足場を組み、飛散防止シートで周囲を囲ってから工事に入りました。太陽光パネルは架台ごと撤去・処分します。パワーコンディショナーなどの電気系統の切り離しは、電気工事として手配しています。
2. 既存屋根材の撤去


パネルを撤去した後、既存の金属屋根材を一枚ずつ剥がしていきます。屋根材の下からは、古い下葺き材が現れました。

下葺き材の表面には、雨水がにじんで広がったような染みがはっきり残っていました。屋根材の継ぎ目や固定部から入った雨水が、長い時間をかけて下葺き材の上を伝っていたことが分かります。
3. 腐朽した野地板の補修

現地調査で見えていた軒先の木部の傷みは、この野地板の腐朽につながっていたのです。

屋根面の途中にも、下葺き材ごと野地板に穴が開くほど傷んだ箇所がありました。


傷みのひどい部分は野地板を切り取って撤去しました。下の垂木や断熱材が見える状態にして、構造材まで傷んでいないかを一つずつ確認します。断熱材には湿気の跡が残っていましたが、垂木は健全で、補修で十分に対応できる範囲でした。

撤去した部分には新しい構造用合板をはめ込み、周囲の野地板と高さをそろえて補修しました。
4. 構造用合板の増し張り


部分補修を終えたら、屋根全面に厚さ12mmの構造用合板を増し張りしました。既存の野地板の上にもう一層、新しい下地をつくることで、屋根面の強度が上がり、新しい屋根材を留めるビスもしっかり効くようになります。屋根面の凹凸も整うため、仕上がりのラインもきれいに通ります。
5. 下葺き材(ルーフィング)の敷設

合板の上に、田島ルーフィングのニューライナールーフィングを敷き込みました。改質アスファルトを使った下葺き材で、メーカーは期待耐用年数を30年としています。屋根材を留めるビスが貫通しても、改質アスファルトがビスのまわりに密着して雨水の侵入を防ぐのが特長です。
金属屋根でも、最終的に雨漏りを止めるのはこの下葺き材です。屋根材をめくったその日のうちに下葺き材まで敷き、未施工の部分はブルーシートで養生して、工事中の雨に備えます。
6. 北面も同じ手順で下地をやり替え


南面の下地が仕上がったら、北面も同じように既存の屋根材を撤去します。北面は日当たりが少ない分、湿気がこもりやすい面です。傷んだ部分を補修しながら進めました。


北面にも構造用合板を増し張りし、下葺き材を敷設しました。これで屋根全体が、新しい下地と防水層で覆われたことになります。
7. スーパーガルテクト フッ素の施工


屋根勾配が緩い場合は屋根材同士の継ぎ目(ジョイント部)に、専用の部材(ジョイント下地)を敷き込んでから本体を突き付けます。万一、継ぎ目から水が入っても、下地板金が受けて流す二重の備えです。今回の屋根では、このジョイント下地を200か所以上に入れています。

軒先から棟に向かって、スーパーガルテクト フッ素を一段ずつ葺き上げていきます。軒先には唐草(軒先水切り)、妻側にはケラバ水切りを取り付け、屋根材の端部から雨水が回り込まないように納めます。

北面も同様に葺き上げました。ケラバ側は水切り板金に沿わせて屋根材を納め、端部まで隙間なく仕上げています。
8. 棟の下地(貫板)と棟板金の取り付け


屋根の頂部には、棟板金を固定するための貫板(ぬきいた)を新しく取り付けました。貫板は棟板金を留める釘やビスを受ける下地で、ここが傷むと強風で棟板金が浮いたり飛ばされたりする原因になります。既存の貫板は再利用せず、すべて新しい材料に替えています。


貫板の通りをまっすぐに揃えてから、上に棟板金をかぶせて固定していきます。棟は両側の屋根面から雨水を受け止める要所なので、継ぎ目の重ねや固定ピッチにも気を配って取り付けます。


すべての板金を取り付けたら、施工中に出た切り粉や汚れを水で洗い流して清掃します。
施工後



北面・南面ともに、ブラック系のスーパーガルテクトが一直線に通る、すっきりとした屋根に仕上がりました。南面は太陽光パネルがなくなったことで、屋根材の固定部に穴を開けていた架台もなくなり、雨漏りの心配な箇所そのものが減っています。



パネル下のテープ補修、腐った野地板、軒先の木部の傷みと、多くの不安を抱えていた屋根は、下地からつくり直したことで安心して長く住める屋根に生まれ変わりました。
スーパーガルテクト フッ素を選んだ理由
軽くて、建物への負担が小さい
スーパーガルテクトは約5kg/㎡と非常に軽い屋根材です。太陽光パネルを下ろしたうえで軽い屋根材に替えることで、屋根全体の重さが大きく減り、地震の揺れに対しても有利になります。
断熱材一体型で、夏の暑さや雨音をやわらげる
鋼板の裏に断熱材が一体になっているため、金属屋根の弱点といわれる夏場の熱さや雨音を抑えられます。
フッ素塗装で色あせに強い
表面は耐候性の高いフッ素樹脂塗装です。メーカー保証は穴あき25年・赤さび20年・塗膜変褪色20年で、長く色と性能を保ちます。
注意点:葺き替えはカバー工法より手間と費用がかかります
既存屋根の撤去・処分や下地補修がある分、葺き替えはカバー工法に比べて工期も費用もかかります。それでも今回は、雨水が回っていた下地を確認して直すことを優先しました。カバー工法で済むかどうかは屋根の状態次第ですので、現地調査の結果をもとに両方の選択肢をご説明しています。
よくあるご質問
Q. 太陽光パネルがあっても屋根の葺き替えはできますか?
A. できます。パネルをいったん下ろして葺き替え、再び設置する方法と、今回のように撤去して処分する方法があります。発電状況やパネルの年数、売電の残り期間などを踏まえて、どちらがよいか一緒に検討します。電気系統の切り離し・再接続は電気工事店と連携して進めます。
Q. パネルの下で雨漏りしているかどうかは、どうやって分かりますか?
A. 室内に雨染みが出る前でも、屋根材の継ぎ目のテープ補修、サビ、軒先の木部の傷みなどがサインになります。パネルの下は普段見えない場所なので、定期的な点検をおすすめします。
Q. カバー工法と葺き替えはどう選べばよいですか?
A. 下地が健全ならカバー工法で十分なことも多いです。一方、雨漏りの跡があり下地の傷みが疑われる場合は、葺き替えで下地を確認して直すほうが安心です。調査の写真をお見せしながら判断の理由をご説明します。
Q. 屋根と外壁を同時に工事するメリットは?
A. 足場を一度で済ませられるため、別々に工事するより足場代を抑えられます。工期もまとめられ、近隣へのご挨拶や養生も一回で済みます。
奈良県桜井市の屋根修理は「屋根修理の匠ひおき」へ
屋根修理の匠ひおきは、創業72年、親子三代続く板金・屋根工事の専門店です。営業担当や下請けを挟まず、現場を知る職人が自ら調査・お見積り・施工まで責任を持って行います。
「太陽光パネルの下が心配」「テープで補修したまま様子を見ている」「カバー工法と葺き替えのどちらがよいか知りたい」など、どんな小さなことでもお気軽にご相談ください。奈良県(桜井市・橿原市・天理市・宇陀市ほか)をはじめ、三重・大阪・京都・和歌山・滋賀・兵庫まで対応しております。屋根の無料点検も承っております。


