はじめに
家を長持ちさせるためには、屋根のメンテナンスがとても重要です。
化粧スレート屋根(カラーベスト、コロニアル)がそろそろメンテナンス時期だなと思った際には、いずれかの対策を講じる必要があります。
「屋根塗装をするべきか、それとも金属屋根(ガルバリウム鋼板など)のカバーをすべきか?」と。
それぞれにメリットとデメリットがあり、選択を誤ると、結果的に余分なコストがかかることもあります。
塗装屋さんに聞けば、「塗装のほうが安いですし、防水性能だけを考えても屋根塗装で十分ですよ!」と言われるかもしれません。
本記事では、スレート屋根に対する「屋根塗装」か「金属屋根カバー」という二つの選択肢について、詳しく解説し、最適な選択をするためのポイントをお伝えします。
今のスレート屋根の状態は?
まず、屋根の劣化がどのような状態かを理解することがとても重要です。最も典型的な症状を紹介します。
ひび割れ
屋根材の表面に小さな亀裂が入り、これが広がることで、最終的には雨水が内部に浸入する可能性があります。
塗膜の剥がれ・色あせ
表面の塗膜が剥がれ始めると白色化が進み、雨水がしみこみやすくなります。
コケや藻の発生
特に日当たりの悪い場所で見られる症状で、これらが繁殖すると屋根材が常に湿気を帯び、劣化が加速することになります。
劣化の主な原因は?
スレート屋根は、20年を経過すると表面の劣化が目立ち始めることが多いです。
- 気候条件
強い紫外線や台風、大雨の気候条件は、屋根材に大きな負担をかけます。例えば、日差しの強い地域では、紫外線による色あせが進みやすく、ひび割れや損傷が起こりやすくなります。 - 施工不良
屋根の初期施工がきちんと行われていなかった場合、劣化が早まることがあります。たとえば、接続部にシーリングを施しておらず板金仕舞に不良箇所がある場合、隙間から雨水が侵入して雨漏りにつながります。 - 安価なルーフィングの劣化
築後10年経つと一般的にルーフィングは劣化していきます。その傷んだルーフィングに雨水が侵入し、問題が深刻化してから気づくケースも少なくありません。
他の屋根材と比べると、スレート屋根の寿命は短い・・・
屋根塗装の効果
屋根塗装は、屋根の美観を保つ効果的な方法の一つです。たしかに、屋根に塗装を施すことで、屋根材の表面が保護され、雨水や紫外線に強くなります。
しかし、屋根本体の下地であるルーフィング自体の経年劣化は防ぐことができず、屋根本体の隙間から雨漏りが発生する可能性があります。
メリット
- 初期コストが安い
塗装はカバー工法などの屋根リフォームと比較して初期費用が結構低い。 - 施工期間が短い
塗装作業は通常数日で完了するため、普段の日常生活への影響が少ない点も大きなメリットです。 - 美観の改善
屋根の色あせや汚れが目立つ場合、塗装を施すことで屋根の見た目が一新され、家屋全体の外観も向上します。
デメリット
- 効果が一時的
塗装の効果は永久的ではなく、数年ごと(塗料の種類(クオリティ)に応じてサイクルは異なります)に再塗装が必要となります。特に、紫外線や雨風に強くさらされる地域では、効果が短期間で薄れることがあります。 - 構造的な問題を解決できない
塗装は表面的な保護を目的とするものであり、屋根材や下地に構造的な問題がある場合、その解決にはつながりません。例えば、ひび割れや雨漏りが既に発生している場合、塗装だけで防ぐことは基本的に厳しいです。
塗装が適しているのは、軽度の劣化が見られる場合や、屋根材そのものがまだ健全である場合です。例えば、築10〜15年程度で、屋根材が比較的良好な状態にあるものの、見た目の改善が求められる場合などに適しています。
金属屋根カバーの効果
一方、金属屋根でのカバー工法は、屋根材を新しくし、雨漏りリスクをゼロにする方法です。
これは、新築の屋根工事と全く同一工事と考えてもらえればと思います。
塗装工事だけでは対処できない根本的な問題に対して解決可能です。
メリット
- 耐久性の大幅な向上
ルーフィングを新しく施工することで防水性能が新築と全く同じになります。
塗装を繰り返すのとは異なり、メンテナンスサイクルが長くなり、結果的にランニングコストを抑えられます。 - 価値が上昇
屋根をリフォームすることで、家全体の価値が向上し、将来的に売却を考えている場合にもプラスに査定されることがあります。
デメリット
- 初期費用が高い
塗装と比較して初期費用が高くなります。
ただし、カバー工法は葺き替え工事と異なり、古い屋根を残すため撤去処分費がかからず費用を抑えることが可能です。
屋根材の割れや欠損が顕著な場合、さらには雨漏りが発生している場合では、塗装工事だけでは対処できないため、屋根カバー工法もしくは葺き替え工事が必要不可欠です。
費用対効果
初期費用は塗装の方が安価で済みますが、その効果が長期間持続するわけではありません。
一方、カバー工法は初期費用が必要ですが、長期間にわたって屋根の性能が維持されます。
塗装の初期費用 | カバー工法の初期費用 |
一般的には数十万円程度で済むことが多い。しかし、再塗装が数年おきに必要であることを考えると、長期的にはコストがかさむ可能性がある。 | 一度、金属屋根でカバーを行えば長寿命化を期待できるので、結果的にコストパフォーマンスが良い。 |
将来のメンテナンス費用も考慮すると、塗装の場合は数年ごとに再塗装が必要ですが、屋根カバー工事を行った場合は、次のメンテナンスまでの期間が大幅に延びるため、長期的に見ればコスト効率が良いでしょう。
特に、長期的な費用を計算すると、塗装よりも安く済むケースが多いでしょう。
選択の基準
予算や将来の計画が重要です。今後も長期間その家に住み続ける予定がある場合は、カバー工法を行い、屋根全体の耐久性を高めることが望ましいでしょう。逆に、短期間だけ住む予定であれば、低コストで手軽に行える塗装が適している場合もあります。
また、屋根の劣化が進行していると感じたら、多方面からアドバイスを受けることが重要です。様々な意見を聞くことで、自分では気づけない問題点を発見し、最適な修理方法を選択することができます。
結論
予算、将来の計画などを総合的に考慮し、状況に応じた最適な選択肢を選ぶことが大切です。
塗装は短期間で手軽に実施できる一方で、効果は一時的です。逆に、金属屋根でのカバー工事は初期費用が高いものの、長期的には屋根の寿命を大幅に延ばし、トータルコストを抑える可能性があります。
どちらか迷う場合は、「塗装業者」と「板金職人」に相談することをお勧めします。
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