屋根・外壁に使われるガルバリウム鋼板のメリット・デメリット

ガルバリウム鋼板とは

ガルバリウム鋼板とは、錆びにくいめっき鋼板の一種です。JIS規格では「溶融55%アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板」と定義されています。具体的には、アルミニウムが55%、亜鉛が43.4%、そしてシリコンが1.6%含まれた合金をめっきした鋼板です。

この鋼板は1972年にアメリカで初めて開発され、10年後の1982年には日本でも製品化されました。
市場には改良型のエスジーエル鋼板(次世代ガルバリウム鋼板)も登場し、より耐久性の高い建材として注目されています。

トタン

ガルバリウム鋼板が登場する以前の主流のめっき鋼板はトタンでした。トタンは鋼板をほぼ亜鉛のみでめっきしたもので、単なる鋼板よりは耐用年数が長いですが、ガルバリウム鋼板よりはかなり短い寿命となります。

ブリキ

スズでめっきされた鋼板がブリキです。スズは体内に入ってもすぐに排出されるため、ブリキは缶詰などの容器に使用されていました。


ガルバリウム鋼板の特徴とデメリット

特徴:

  1. 錆びに強い: ガルバリウム鋼板は錆びにくい性質があり、屋根材や外壁材として長寿命です。
  2. 軽量: 軽量なため、施工が容易で建物への負担も少なくなります。
  3. 施工しやすい: 軽量で加工しやすい特性から、施工がスムーズに行えます。
  4. ひび割れしない: ガルバリウム鋼板は金属製なので、経年劣化や凍害によるひび割れの心配がありません。他の材料、例えば瓦やスレート、窯業系サイディングなどは経年劣化や凍害でひび割れが発生することがありますが、ガルバリウム鋼板はそのような問題が起こりません。
  5. 水はけが良い: ガルバリウム鋼板は水が染み込むことがほぼなく、苔や藻の付着を防ぎます。特に縦葺きの場合、雨水の流れる方向に境目ができないため、雨漏りに強く、緩勾配の屋根でも施工が可能です。

デメリット:

  • ガルバリウム鋼板は強い衝撃を受けるとへこみやすいです。
  • 断熱性が低いため、追加の断熱対策が必要になることがあります。
  • 海岸近くでは塩害に弱く、錆びやすくなることがあります。

ガルバリウム鋼板が錆びにくい理由

鉄などの錆びやすい金属をアルミニウムと亜鉛の合金でめっきすることで、金属が空気に直接触れるのを防ぎ、酸化しにくくする点にあります。

ガルバリウム鋼板はトタンの4倍も錆びにくいと言われています。これは以下の2つの特性によるものです。

  1. アルミニウムの不動態皮膜: アルミニウムが錆びることで、それ以上の錆びを防ぐ保護膜が形成されます。
  2. 亜鉛の犠牲防食: 素地の鉄が露出しても、亜鉛が溶け出して腐食の進行を防ぎます。

金属建材は錆びやすいと思われがちですが、多くの古い住宅で使用されているのはトタンです。

ガルバリウム鋼板は、めっき被膜の寿命は約25年以上(塩害地域では約15年)とされています。

ガルバリウムより新しい鋼板の登場

ガルバリウム鋼板の次世代として、エスジーエル鋼板(次世代ガルバリウム鋼板)が注目されています。これらは、従来のガルバリウム鋼板よりもさらに優れた耐食性を持っており、さらに広範な用途に適応しています。

次世代型ガルバリウム=エスジーエル鋼板の耐久性

ガルバリウム鋼板の3倍の耐食性を持つとされているのがエスジーエルです。

この鋼板は、ガルバリウム鋼板のめっきにマグネシウムを加えたものです。

例えば、アイジー工業のスーパーガルテクト、ニチハの横暖ルーフプレミアム、ケイミューのスマートメタルなどがエスジーエルから製造されています。これらの製品については、カタログなどでめっきの組成を確認することができます。スーパーガルテクトや横暖ルーフ(プレミアムシリーズ)はエスジーエルにグレードアップされたことで、沿岸地域での保証範囲が広がり、海岸から500メートル以上の範囲で使用が可能となりました。

ガルバリウム鋼板の耐用年数は約25~35年以上とされています。定期的なメンテナンスを行うことで、さらに長く使用することが可能です。現に40年以上使用しても機能を保っている例も多く見られます。

ガルバリウム鋼板の屋根

こちらのお家は当社が約20年前に施工した写真ですが、このとおり経年変化が少なく良い状態です。

ガルバリウムより3倍強いと言われる鋼板がエスジーエルです。

鋼板の中で亜鉛が最も少なく、その分マグネシウムが2%添加されています。

エスジーエルを開発した日本製鉄のグループ会社は「マグネシウムが2%が最高の配分」と評価しています。

ガルバリウム鋼板の屋根材・外壁材

ガルバリウム鋼板の製造会社

ガルバリウム鋼板を製造しているのは、大手製鋼会社である日鉄鋼板、JFE鋼板、淀川製鋼所などのグループ会社だけです。これらの会社は製鉄から圧延、鋼板の成型、めっき工程まで一貫して行っています。

アルミニウム、亜鉛、シリコンの合金でめっきされた鋼板は、アルミホイルのようにロール状に巻かれ、建材メーカーに出荷されます。そのため、どの製品を選んでも元のガルバリウム鋼板としての違いはほとんどありません。

ガルバリウム鋼板製屋根材・外壁材 仕入れたガルバリウム鋼板を成型、加工して外壁材や屋根材を製作するのは建材メーカーです。以下に主な屋根材・外壁材メーカーとその製品を紹介します。

ガルバリウム鋼板製屋根材

  • アイジー工業: スーパーガルテクトシリーズ(エスジーエル)
  • ニチハ: 横暖ルーフシリーズ(一部エスジーエル)
  • ケイミュー: スマートメタル(エスジーエル)

ガルバリウム鋼板製外壁材

  • アイジー工業: アイジーサイディング(一部エスジーエル)
  • ニチハ: センターサイディング
  • YKK AP: アイアンベール

金属建材の専門メーカーとして特におすすめなのは、「アイジー工業」です。彼らは超高耐久ガルバで『スーパーガルテクト』を製造しており、金属系サイディングの外壁も提供しています。

施工方法の違いとは?

ガルバリウム鋼板の施工は、屋根に対しどの方向で葺くかによって異なります。

リフォームでは横葺きが主流で、新築では縦葺き=立平葺きが多く採用されています。

外壁では、排水性に優れた横張りが一般的ですが、縦張りも人気で、モダンな印象を与えます。

日置 卓弥

日置 卓弥

屋根修理の匠ひおきの代表です。哲学で学んだ独特な視点を屋根修理の仕事に活かし、お客様の期待を超えるサービスを実現するために日々努力しています。

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