はじめに
屋根のリフォームを考え始めたものの、「ガルバリウム鋼板で屋根をリフォームすると費用はいくらぐらいかかるのだろう…?」と不安になっていませんか。
初めてのリフォームでは専門用語も多く、費用が100万円を超える大きな工事だけに心配になりますよね。

この記事では、ガルバリウム鋼板屋根の「基礎知識」と2025年時点の最新「費用相場」を、どんな方でも分かりやすく解説します。
費用の目安だけでなく、ガルバリウム鋼板とは何か、メリット・デメリット、リフォームの手順や業者選びのポイントまで網羅しています。
じっくり読み進めれば、リフォームの不安が和らぎ適正なプランを立てる手助けになるでしょう。
ガルバリウム鋼板とは
ガルバリウム鋼板は、鉄をベースにアルミニウム55%、亜鉛43.4%、シリコン1.6%の合金をメッキした金属板です。この特殊なメッキ層によって、通常の鉄よりもはるかに錆びにくく、高い耐久性を実現しています。

ガルバリウム鋼板の読み方は「ガルバリウムこうはん」。海外では「Galvalume (ガルバリウム)」とも呼ばれますが、日本では主に建材メーカーの商品名として定着しています。
「金属の屋根材で、サビに強く長持ちする軽い屋根板」という理解でOKです。
ガルバリウム鋼板屋根のメリット
耐久性が高くサビに強い
ガルバリウム鋼板は防錆性能に優れ、一般的な耐用年数は25〜30年、適切にメンテナンスすれば40年以上使えるとされています。従来のスレート屋根(コロニアル等)の20〜30年に比べワンランク上の長寿命建材です。

軽量で耐震性に優れる
ガルバリウム鋼板は瓦の約10分の1、スレートの約1/4という軽さで、建物の耐震性向上に大きく貢献します。屋根が軽いと地震時の揺れが小さくなり、建物への負荷や室内の家具転倒リスクも減ります。
古い瓦屋根を軽い金属屋根に替えるリフォームは、耐震リフォームとしても効果的です。

カバー工法(重ね葺き)に対応可能
既存の屋根(スレートや古い金属屋根)の上からそのまま重ね張りできるのもメリットです。
軽量なガルバ鋼板なら、古い屋根材を剥がさず新しい屋根を載せられる「屋根カバー工法(重ね葺き)」が可能で、工期短縮や廃材撤去や廃材処理費の大幅な節約につながります。※ただし瓦屋根など厚みのある屋根材の場合は重ね葺きはできず、いったん撤去する必要があります。

断熱性・遮音性に優れた製品も
最近主流の断熱材一体型ガルバリウム鋼板は、屋根材内部に断熱材が組み込まれており非常に断熱性能が高いです。
断熱材は雨音などの遮音効果も発揮するため、「金属屋根は雨音がうるさい」という従来の弱点も大幅に改善されています。
実際、アイジー工業「スーパーガルテクト」などの製品では、従来品より格段に静かで瓦屋根並みの静けさを実現しています。

デザイン・カラーバリエーション豊富
金属屋根と聞くと銀色のトタンを思い浮かべるかもしれませんが、現在のガルバリウム鋼板屋根はカラーバリエーションが豊富です。
黒やブラウン、グレー系、グリーン系、レッド系など住宅のデザインに合わせた色を選べ、和風からモダンまで幅広い外観にマッチします。

シンプルな縦葺き屋根からおしゃれな横葺き・瓦風デザインまで様々な形状の製品があります。
ガルバリウム鋼板屋根のデメリット
メリットが多いガルバリウム鋼板ですが、もちろんデメリットもあります。完璧な建材は存在しないので、弱点も理解した上で検討しましょう。
初期費用がやや高め
ガルバリウム鋼板はスレート(コロニアル)等に比べ材料・施工単価が若干高い傾向があります。
例えば新規屋根材の施工費はスレート5,000〜7,000円/㎡に対し、ガルバリウム鋼板は6,500〜8,000円/㎡ほどが目安です。性能が高い分、リフォーム費用も若干割高になる点はデメリットと言えます。

ただし瓦よりは安価で、瓦から金属への葺き替えは費用が下がるケースが多いです。
塩害地域では錆びやすい
海に近い地域では塩分による錆(塩害)の影響を受けやすく、ガルバリウム鋼板でも劣化が早まります。

しかし現在は改良版のエスジーエル(SGL)鋼板が登場し、沿岸部でも従来の3倍以上の耐食性を発揮する試験結果が出ています。塩害地域の方は、SGL鋼板の採用を検討すると良いでしょう。
表面の傷に弱い
メッキ層と塗装で防錆しているため、表面塗膜が傷つくとそこから錆びが発生します。

強風で飛来物が当たったり、施工時の工具傷などで塗膜が剥げると劣化の原因になるため、施工の丁寧さや定期的な点検・塗装メンテが大切です。
凹みやすい
薄い金属板ゆえに強い衝撃で凹みが生じることがあります。
経年で塗装の色褪せ
表面の塗装は15〜20年ほどで色褪せやチョーキング(白い粉吹き)が発生します。屋根材そのものの耐久性は高いですが、美観維持や防錆強化のため20年前後で再塗装が必要になるケースもあります。

塗装メンテナンスの費用は50〜80万円程度(30坪規模の場合)かかりますが、これはスレート屋根でも同様なので「金属屋根だから特別に維持費が高い」というほどではありません。
デメリットのまとめ
このようにデメリットもありますが、最新製品や適切な施工で多くは対策可能です。
例えば塩害対策にはSGL鋼板、遮音対策には断熱一体型の採用、傷や錆対策にはこまめな点検などでリスクを減らせます。
ガルバリウム鋼板屋根リフォームの費用相場(全国平均)
費用相場について、最新データをもとに解説します。ガルバリウム鋼板屋根へのリフォーム費用は、工法(カバー工法or葺き替え)や家の大きさによって幅があります。まずは全国的な平均目安を押さえましょう。

屋根カバー工法(重ね葺き)の費用相場
約80〜110万円※建物20坪程度(小さめの屋根)
既存屋根を剥がさないため撤去費用がかからず、葺き替えより安く済む傾向にあります。
30坪程度(標準の大きさ)の住宅でガルバリウム鋼板カバー工法を施工した事例では約110〜160万円程度の範囲に収まっています。

屋根葺き替え(撤去して交換)の費用相場
約140〜220万円※20坪程度(小さめの屋根)
古い屋根材の撤去処分や下地調整の手間がかかるため、カバー工法より高額になります。
30坪程度の住宅(標準の屋根)の瓦屋根をガルバリウム鋼板に葺き替える場合で200〜280万円程度が一般的な価格帯です。

※ただし、実際の費用は屋根の形状や劣化具合などによって増減するため、あくまで目安として参考にしてください。
屋根リフォーム費用に影響する主な要素
屋根の形状・勾配
屋根がシンプルな形(例:片流れや切妻)か、複雑な形(例:寄棟や谷・下屋が多い形状)かで手間が変わります。
複雑な形状や勾配の急な屋根ほど作業が難しく、施工日数が増えるため費用も高くなりがちです。急勾配だと安全対策も必要で、追加の足場や人手がかかる場合もあります。

既存屋根材の種類・劣化状況
古い屋根材が何かによって撤去難易度や処分費が変わります。
特に旧いスレート(コロニアル)屋根にはアスベスト含有の可能性があり、その場合は処分費が約30%増になると言われます。
逆に既存屋根が金属屋根やスレートで劣化が軽微ならカバー工法で廃材ゼロにできるため、その分コストを抑えられます。
「葺き替え」か「カバー工法」か
これは費用に直結する大きな要素です。カバー工法は撤去費用が不要なのでトータル費用が抑えられます。
ただしカバー工法は既存屋根の劣化がひどい場合や、下地補修が必要な場合には採用できません。
「屋根の軽量化が目的で瓦全撤去する」などの場合は必然的に葺き替えになり費用増となります。

下地補修や追加工事の有無
屋根の野地板(下地の板)が腐食している場合は張替えや増し打ちが必要です。その補修費用が2,000〜3,500円/㎡程度かかります。
また、雨樋交換や破風板板金巻きなど関連工事を追加すると当然費用は上乗せされます。見積もりでは「○○工事一式○万円」として加算される場合もあるので、何が含まれているか確認しましょう。

使用する屋根材のグレード
一口にガルバリウム鋼板と言っても、厚みや塗装グレード、断熱材の有無などで価格帯が違います。
例えば最安値の波型ガルバリウム鋼板材は1㎡あたり約3,000円ですが、高性能な断熱材付きガルバリウム鋼板では1㎡あたり6,000円程度します。
当然、材料費が高いほど総工費も上がります。耐久性重視でエスジーエル鋼板の「フッ素入り製品」を選ぶ場合は若干割高です。しかし長寿命による将来のメンテナンス軽減効果も考慮すると、一概に高いものが損とも言えません。

地域・現場条件
都市部は人件費や諸経費が地方より高めです。またトラックや足場を設置しづらい立地(狭小地、道路使用許可が必要など)の場合、割増費用がかかったり工期が延びることがあります。見積もりの「諸経費」は一般に工事費の5〜10%ほどですが、現場条件次第で増減します。

業者選びのポイント・注意点
屋根リフォームを成功させる鍵は、信頼できる業者選びです。
業者を選ぶ際にチェックすべきポイントや注意点をまとめます。悪徳業者にひっかからず、安心してお任せできる会社を選びましょう。
2、3社以上から見積もりを取る
まず基本は相見積もりです。最低でも2〜3社から見積もりを取り、費用や提案内容を比較しましょう。同じ条件でも100万円と150万円の差が出ることも珍しくありません。

見積もり内訳のチェック
工事項目ごとに金額が明記されているか確認しましょう。施工費、撤去費、下地補修費、足場費用など細かく項目があるのが理想です。

一式○○万円と大雑把な場合は内訳を質問し、不明瞭な点はクリアにしておきます。
特に「諸経費○○円」の中身(人件費・運搬費など)や、「サービス」と称して逆に何が省略されているのかにも注意を払いましょう。
極端に安すぎる・高すぎる業者に注意
相場より大きく逸脱した見積もりを出す業者は注意が必要です。例えば当社の基準では、20坪屋根のガルバリウムカバー工法で160万円超は不当価格とされています。

逆に安すぎる場合も手抜きや不誠実な可能性があります(後から追加請求されたり、粗悪な工事をされては本末転倒です)。
適正価格帯に収まるかを一つの目安に、怪しい場合は慎重になりましょう。
金属屋根の実績・資格
ガルバリウム鋼板の施工には板金工の技術が求められます。選ぶ業者が金属屋根工事の実績豊富か確認しましょう。
会社のホームページに施工事例や専門分野の記載があると安心材料になります。
また、業界団体の会員であるかも参考になります。例えば全日本板金工業組合連合会(全板連)や全日本瓦工事業連盟(全瓦連)といった組合に加盟している会社は一定の信頼性があります。組合サイトで加盟会社を検索することも可能です。

工事保証やアフターサービス
工事保証やアフターサービス: 工事後の保証内容も確認しましょう。
屋根リフォームでは5〜10年程度の施工保証を付ける会社が多いです。メーカー保証(材料の色あせ保証など)と合わせて、万一の不具合時にどう対応してくれるか尋ねてください。

契約を急がせる業者はNG
「今なら◯%OFF」「今日契約しないと足場代サービスが無効になる」などと契約を急かす業者には注意しましょう。屋根工事は高額なので、じっくり検討する時間を与えないのは誠実さに欠けます。

飛び込み営業・保険金狙いに注意
「無料で屋根点検します」「保険でタダで直せますよ」などと突然訪問してくる業者には警戒してください。台風後などに多い手口ですが、必要ない工事を煽られたり、保険金請求を代行すると称して不正に高額請求する例があります。基本は自分から依頼した業者と契約しましょう。

ポイント まとめ
高機能製品の登場: 屋根材各社からは次々と高機能なガルバリウム鋼板屋根材が発売されています。
例えば遮熱塗装(太陽光を反射して屋根温度上昇を抑える塗装)を標準採用した製品、断熱材をさらに厚くして省エネ性能を高めた製品、瓦に近い質感を持たせたデザイン金属瓦など、多彩なラインナップがあります。
中でもニチハの「横暖ルーフ」シリーズやアイジー工業の「スーパーガルテクト」シリーズは断熱・遮音・遮熱性能に優れたリフォーム用屋根材として人気です。選択肢が多い分迷うかもしれませんが、ご自宅の優先事項(断熱重視・デザイン重視など)を業者に伝え、カタログや施工例写真を見せてもらいながら選ぶと良いでしょう。

当社は金属屋根専門の板金職人が施工する会社です。
ガルバリウム鋼板屋根(金属屋根)についてのご相談は「屋根修理の匠ひおき」までお気軽にご相談ください。
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