屋根の名称一覧|部位の名前と役割を写真で解説(棟・けらば・軒先・谷)

屋根の点検で「棟板金が浮いています」「谷が傷んでいます」と言われても、どこのことか分からない。見積書に並ぶ部位の名前が読めず、工事の中身を判断できない。こうしたご相談を、私たちはよくいただきます。

結論から言うと、まず覚えたいのは「棟・谷・けらば・軒先・雨押え・雨樋」の6つです。どれも部材と部材がぶつかる場所で、雨漏りの相談が集中します。名前と位置が分かれば、点検報告も見積書もぐっと読みやすくなります。

この記事でわかること

  • 屋根の主な部位の名前と位置(現場写真つき)
  • 屋根の形ごとの呼び名と、形で増える部位
  • 屋根材の下に重なる「下地」の順番と役割
  • 雨漏りしやすい部位と、職人が点検で確かめること

屋根修理の匠ひおき(株式会社日置)は、1954年創業、親子三代の板金・屋根工事店です。この記事では、当社の施工現場で撮った写真を使って解説します。呼び名は地域や職人によって少し変わるため、ここでは一般的な名称を使います。

屋根の名称一覧|部位を写真で確認

まずは全体像です。下の9枚は、すべて当社の施工現場の写真です。オレンジの丸が、その部位を指しています。

屋根の部位9か所を当社の施工現場の写真で示した図。棟、棟板金、谷、けらば、軒先、軒天、雨押え、雨樋、雪止め
図1:屋根の主な部位。オレンジの丸がその部位です(当社の施工現場)

屋根は大きく、頂上の「棟」、面と面が交わる「谷」、ふちにあたる「けらば・軒先」、雨水を受け流す「雨押え・雨樋」に分けられます。さらに屋根材の下には、外から見えない「下地」が重なっています。この順に見ていきましょう。

屋根の形で変わる呼び名

屋根は形によっても名前があり、形が変わると現れる部位も変わります。住宅で多いのは次の4つです。

  • 切妻(きりづま)屋根:本を伏せたような2面の屋根。妻側の端が「けらば」になる
  • 寄棟(よせむね)屋根:4方向に傾斜がある屋根。頂上から四隅へ「隅棟」が下りる
  • 片流れ(かたながれ)屋根:1面だけの屋根。いちばん高い側の端も板金で雨仕舞をする
  • 入母屋(いりもや)屋根:上が切妻、下が寄棟の形。和瓦の住宅に多く、棟や谷が増える

形が複雑になるほど、棟や谷、壁との取り合いが増えます。継ぎ目が多い屋根ほど、点検で見るところも多くなります。入母屋屋根の注意点は、入母屋屋根の記事で詳しく解説しています。

屋根の頂上と、面が交わるところ

棟(むね)・大棟・隅棟

屋根面と屋根面がぶつかる頂部の稜線が「棟」です。いちばん高い位置を水平に走る棟を「大棟(おおむね)」、頂上から四隅へ斜めに下りる棟を「隅棟(すみむね)」または「下り棟(くだりむね)」と呼びます。

瓦屋根の棟は、のし瓦を積み重ね、いちばん上に冠瓦をのせて仕上げます。瓦のすき間は漆喰で埋めるため、漆喰のはがれは点検の定番項目です。詳しくは瓦屋根の漆喰の記事をご覧ください。

棟板金(むねばんきん)

金属屋根やスレート屋根では、棟を「棟板金」という板金でおおいます。棟板金は、下地の木材(貫板)に釘やビスで留めてあります。頂上は風を強く受けるため、釘の浮きや板金のずれが起きやすい場所です。

「棟板金が浮いている」と指摘されたときの考え方は、こちらの記事でまとめています。

谷(たに)・谷板金

屋根面と屋根面が谷折りに交わる、へこんだ部分が「谷」です。両側の屋根から雨水が集まるため、「谷板金」という金属の樋を敷いて流します。

谷板金にさびや穴が出ると、雨水がそのまま下地へ回ります。落ち葉もたまりやすく、雨漏りの相談が多い部位です。詳しくは谷板金の記事をご覧ください。

屋根のふち(けらば・軒先・破風・鼻隠し・軒天)

けらば

切妻屋根などで、雨樋が付いていない側(妻側)の端が「けらば」です。横から吹きつける雨や風を受けやすいため、けらば板金や専用の瓦で端をしっかり納めます。

軒先(のきさき)・唐草(からくさ)

屋根の下側の端で、外壁より外へ出ている部分が「軒先」です。軒先には「唐草(軒先水切り)」という板金を取り付け、屋根から流れてきた雨水を雨樋へ導きます。

破風(はふ)・鼻隠し(はなかくし)

屋根の端を正面から隠す板です。妻側(三角に見える側)に付くのが「破風」、軒先側(雨樋が付く側)に付くのが「鼻隠し」です。雨風で塗装が傷みやすく、板金で包んで守る方法もあります。詳しくは破風・鼻隠し・ケラバの記事で解説しています。

軒天(のきてん)

軒先の裏側で、下から見上げたときに見える天井部分が「軒天(軒天井)」です。屋根から雨水が回り込むと、ここにシミやはがれが出ます。地上から確認できる、数少ない雨漏りのサインです。詳しくは軒天の記事をご覧ください。

雨水を受け流すところ(雨押え・雨樋・雪止め)

雨押え(あまおさえ)

屋根と外壁がぶつかる「取り合い」に付ける板金が「雨押え」です。壁を伝ってきた雨水が屋根の内側へ入らないよう、継ぎ目に覆いかぶせて納めます。1階の屋根と2階の外壁の境目によく見られます。納まりは雨押え板金の記事で写真つきで解説しています。

雨樋(あまどい)

屋根から流れてきた雨水を受けて、地面へ流す設備です。軒先に沿って横に付く「軒樋(のきどい)」と、縦に下ろす「竪樋(たてどい)」でできています。詳しくは雨樋の記事をご覧ください。

雪止め(ゆきどめ)

屋根に積もった雪が一度に滑り落ちないよう、屋根面に取り付ける金具です。落雪で雨樋やカーポートが壊れたり、人に当たったりするのを防ぎます。詳しくは雪止め金具の記事で解説しています。

屋根材の下にある「下地」の名称

屋根材の下には、外からは見えない下地が重なっています。下の写真は、奈良県宇陀郡御杖村で当社が行った葺き直し工事の様子です。

奈良県宇陀郡御杖村の葺き直し工事の写真で示した屋根の下地4層。1垂木、2野地板(構造用合板)、3下葺き材、4瓦桟と瓦
図2:屋根の下地4層。下から垂木、野地板、下葺き材、瓦桟と瓦の順に重なります(奈良県宇陀郡御杖村の葺き直し工事)
  1. 垂木(たるき):屋根の骨組み。棟から軒先へ向けて並ぶ木材
  2. 野地板(のじいた):垂木の上に張る板。下葺き材と屋根材を支える土台
  3. 下葺き材(したぶきざい):野地板を覆う防水シート。「ルーフィング」とも呼ぶ
  4. 瓦桟(かわらざん):瓦を引っ掛けて留める細い木材。瓦屋根で使う

雨水を最後に止めているのは、屋根材ではなく下葺き材です。下葺き材が健全なら、屋根材が1枚割れても、すぐに雨漏りするとは限りません。逆に下葺き材が傷むと、屋根材がきれいでも雨漏りが起きます。

下地の傷み方と補修方法は野地板の記事、写真の工事の流れは葺き直しの記事で解説しています。

雨漏りしやすい部位と、職人が点検で確かめること

雨漏りが起きやすいのは、部材と部材がぶつかる「取り合い」です。当社が点検で確かめる主な部位を、表にまとめました。

部位傷みやすい理由職人が見るところ
棟(棟板金)頂上で風を強く受ける板金の浮き、釘・ビスの抜け、継ぎ目のすき間
棟(瓦屋根)漆喰が雨風で少しずつ傷む漆喰のはがれ、のし瓦のずれ
谷両側の屋根から雨水が集まる谷板金のさび・穴、落ち葉のたまり
けらば横から吹きつける雨を受けるけらば板金の浮き、端の瓦のずれ
軒先・軒天屋根の雨水が最後に通る唐草の変形、軒天のシミ
壁との取り合い(雨押え)屋根と外壁の継ぎ目になる雨押えの浮き、シーリングの切れ
雨樋落ち葉や雪の重みがかかる傾き、詰まり、継ぎ手の外れ

軒天のシミや雨樋の傾きは、地上からでも見つけられます。気になる変化があれば、屋根に上がらず、地上から写真を撮ってご相談ください。屋根の上での確認は転落の危険があるため、職人にお任せください。

屋根の名称についてよくあるご質問

Q. 見積書に知らない部位の名前があるときは、どうすればよいですか?

遠慮なく業者に聞いてください。写真や図でどこの部分かを示してもらうと、工事の内容がつかみやすくなります。

Q. 屋根で雨漏りしやすいのはどこですか?

棟・谷・けらば・軒先・壁との取り合い(雨押え)など、部材と部材がぶつかる「取り合い」の部分です。

Q. 「大棟」と「棟板金」は同じものですか?

大棟は屋根のいちばん高い稜線の部分の名前で、棟板金はその部分をおおう板金の部材です。金属屋根やスレート屋根では、大棟を棟板金で納めるのが一般的です。

Q. 「破風」と「鼻隠し」の違いは何ですか?

破風は屋根の妻側(三角形に見える側)の端に付く板、鼻隠しは軒先側(雨樋が付く側)の端に付く板です。どちらも屋根の端を雨風から守っています。

Q. 「けらば」と「ケラバ」は違うものですか?

同じ部位です。ひらがなとカタカナ、どちらの書き方も使われます。

まとめ

  • 屋根は「棟」「谷」「けらば・軒先」「雨押え・雨樋」と、見えない「下地」でできている
  • 雨漏りが起きやすいのは、部材と部材がぶつかる「取り合い」
  • 下地は下から垂木・野地板・下葺き材の順に重なり、雨を最後に止めるのは下葺き材
  • 部位の名前が分かると、点検報告や見積書の内容を判断しやすくなる

「見積書の部位の名前が分からない」「うちの屋根のこの部分は大丈夫か」と感じたら、お気軽にご相談ください。屋根の写真をLINEで送っていただくだけでも構いません。

※部位の呼び名は地域や職人によって異なる場合があります。本記事は一般的に使われる名称にもとづいて解説しています。

あわせて読みたい関連記事

屋根の点検・見積もりのこと、まずは職人にご相談ください

「見積書の部位名が分からない」「どこが傷んでいるのか知りたい」「棟や谷の状態を見てほしい」といった段階のご相談でも構いません。
屋根の写真をLINEで送っていただくだけでも、職人が直接お答えします。

1954年創業、親子三代の板金・屋根工事店として、奈良・三重を中心に大阪・京都・和歌山・滋賀・兵庫まで、点検・雨漏り修理・葺き替えのご相談を承ります。現地調査・お見積もりは無料です。

※遠方の場合は出張費をいただく場合がございます。詳しくはお問い合わせください。

日置 卓弥

屋根修理の匠ひおきの代表です。哲学で学んだ独特な視点を屋根修理の仕事に活かし、お客様の期待を超えるサービスを実現するために日々努力しています。

親子三代続く板金職人による高品質な工事をリーズナブルな価格で

屋根修理見積もりシミュレーター

雨漏り10年保証

最近の施工事例
  1. 【滋賀県草津市】屋根改修工事|錆びた棟板金と色あせたスレート屋根を立平葺きの金属屋根に|屋根修理事例

  2. 【三重県伊賀市】波板トタン屋根のカバー工法|SGL鋼板波板で重ね葺き+屋根塗装・はなれ瓦修理|屋根改修事例

  3. 【奈良県桜井市】屋根葺き替え工事|太陽光パネル撤去+スーパーガルテクト フッ素|野地補修・増し張りで雨漏りを下地から改修

オススメのお役立ち情報
  1. ガルバリウム鋼板屋根の縦葺き・横葺きの違いを徹底解説

  2. ガルバリウム鋼板「横暖ルーフ」って何?:横葺き材の人気製品

  3. 自宅の屋根を点検する方法とは?

  4. ガルバリウム鋼板「 スーパーガルテクト」って何?:横葺き材の人気製品

  5. 屋根修理の詐欺「悪徳業者の実態とその手口」

人気のコラム記事
  1. 1

    寒さ暑さ対策に欠かせない屋根・天井断熱材の選び方と注意点

  2. 2

    ガルバリウム鋼板屋根(金属屋根)が雪の多い地域で選ばれる理由とは?

  3. 3

    ガルバリウム鋼板屋根の縦葺き・横葺きの違いを徹底解説

最新コラム記事
  1. 軒ゼロ住宅のデメリットと雨漏り対策|換気と軒の出の役割

  2. 銅板屋根とは?塗装の必要性・雨漏りと穴あきの補修・盗難対策

  3. 屋根の名称一覧|部位の名前と役割を写真で解説(棟・けらば・軒先・谷)

あわせて読みたいコラム