はじめに
日本でカラーベスト(化粧スレート屋根、コロニアル)が普及していたのは、主に1960年代から1990年代にかけてです。この時期に、カラーベストは軽量で安価な屋根材として多くの住宅に採用されました。特に1970年代から1980年代にかけては、新築住宅やリフォームで広く使用され、全国的に普及が進みました。
しかし、2000年代以降、耐久性やメンテナンスの観点から、ガルバリウム鋼板などの金属製の屋根材が注目されるようになり、カラーベストの使用は次第に減少していきました。それでも、依然として多くの住宅で使用されているため、リフォームの際にはカラーベストからガルバリウム鋼板への変更がよく行われています。
カラーベスト(スレート、コロニアル屋根)の特徴
カラーベストにはいくつかの問題点があります。ここでは、それらの詳細を見ていきましょう。
1. 経年劣化
カラーベストは、年月と共に次のような劣化が生じやすいです。
- 表面のひび割れや剥がれ
カラーベストはセメントと繊維質を主成分とするため、紫外線や風雨にさらされることで表面にひび割れや剥がれが生じます。これにより防水性能が低下し、雨水が内部に浸入しやすくなります。 - 防水機能の低下
ルーフィングの劣化によりカラーベストの隙間から入る雨水から、屋根が傷みやすくなります。☞塗装をしても防水機能は向上しません。
屋根塗装を行っても防水性能はよくならないです。
2. メンテナンスの必要性☞△塗装(美観目的のみ)〇屋根カバー工法
カラーベストのメンテナンスとは?
- 塗装の必要性はあるのか?
屋根塗装を行っても防水性能は向上しません。
つまり塗装前と後比べても、屋根の機能としては同じです。
見た目がよくなり、あくまでも美観の向上が目的です。 - 屋根カバー工法
カラ―ベストの屋根材自体を放っておくと、木の下地にまで影響し、下地が腐食すれば、屋根カバー工法は不可となり、葺き替え工事をすることになります。
築15年から遅くても築後30年までの間に屋根カバーをすることが、メンテナンスの上で重要になります。
3. 苔やカビの発生
カラーベストは表面がざらざらしているため、湿気がたまりやすく、苔やカビが発生しやすいです。
- 見た目の悪化
苔やカビが発生すると、屋根の見た目がとても悪くなります。特に北側や日当たりの悪い場所では、苔やカビが繁殖しやすく、屋根全体の美観を損なう原因となります。 - 屋根材の寿命短縮
苔やカビが根を張ることで、屋根材自体の劣化が進みます。これにより、屋根の寿命が短くなり、早期にリフォームが必要となる場合があります。
4. 耐久性の限界
カラーベストは比較的安価な屋根材ですが、耐久性に限界があります。
- 耐用年数
カラーベストなどの化粧スレートの耐用年数は低く、約15年から35年と言われています。 - 外部環境の影響
台風や地震などの自然災害に対しても、他の屋根材と比べて強度が劣る場合があります。特に大きなひび割れや損傷が生じた場合、修繕が必要となり、そのコストがかさむことがあります。
5. アスベスト含有問題☞カバー工法を検討
1960年代から1980年代にかけて製造されたカラーベストには、アスベストが含まれている場合があります。
アスベストは、かつては広く利用されていましたが、中脾腫や肺がんなど健康リスクが明らかになり、現在では多くの国で使用が禁止されています。特に日本では、アスベストを含む建材の除去作業や廃棄に関して厳しい規制が設けられています。
屋根を含む、建物のリフォームや解体を行う際には、アスベストの存在を確認し、適切な処理を行うことが必要になります。
- 健康リスク
アスベストは吸入することで健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、アスベストを含むカラーベストの取り扱いには注意が必要です。 - 外部環境の影響
台風や地震などの自然災害に対しても、他の屋根材と比べて強度が劣る場合があります。特に大きなひび割れや損傷が生じた場合、修繕が必要となり、そのコストがかさむことがあります。
- 処理の困難さ
アスベスト含有のカラーベストを撤去する際は、専門的な処理が必要となり、費用が高くなることがあります。また、適切な処理を行わないと、環境汚染の原因となることもあります。
カラーベスト(スレート屋根)は、経年劣化やメンテナンスの必要性、苔やカビの発生、耐久性の限界、そしてアスベスト含有問題など、様々な問題点を抱えています。
これらの問題を解消し、長期間にわたり安心して住まいを保つためには、ガルバリウム鋼板へのリフォームが有効な選択肢となります。ガルバリウム鋼板は、耐久性や美しさ、メンテナンスコストの削減など、多くのメリットがあります。
ガルバリウム鋼板の特長
次に、ガルバリウム鋼板の特長について見ていきましょう。
- 高い耐久性
ガルバリウム鋼板は、アルミニウムと亜鉛の合金で作られており、優れた耐食性があり、錆びにくく、長期間にわたり美しい外観と防水機能を保ちます。また、塗膜自体が劣化しても素地のガルバリウム自体にも耐久性が備わっているため、すぐに錆びることはほとんどないでしょう。
※余談ですが昔のトタン屋根でさえも、錆びながらですが約40年以上耐えているケースをたまに見かけます。 - 軽量で強度が高い
カラーベストに比べてさらに軽量でありながら、強度が高い特徴があります。地震などの災害時にも、建物への負担が少なく、安心です。 - デザインが豊富
カラーやデザインのバリエーションがあり、建物のスタイルに合わせた選択が可能です。モダンな外観から伝統的な和風の外観まで、多様なニーズに対応できます。
- 断熱性能付き製品がある
ガルバリウム鋼板に断熱性能を付けることで、夏の暑さや冬の寒さを和らげます。
ガルバリウム鋼板について、さらに詳しく述べた以下の記事も是非参考にしてください。
ガルバリウム鋼板へのカバー工法のメリット
次に、カラーベストからガルバリウム鋼板に屋根リフォームすることで得られる具体的なメリットについて詳しく書いてみます。
メンテナンスコストの削減
ガルバリウム鋼板は、塗装サイクルが長く、長期間にわたりコストを抑えることができます。超耐久であるため、トータルでのメンテナンス費用が大幅に削減されます。
※屋根塗装では屋根の防水機能は向上しません。したがって、塗装は屋根機能のメンテナンスとはなっていません。
長寿命
高い耐久性を持つため、屋根の寿命が延びます。一度リフォームすれば、長期間にわたって安心して使用できます。
防水性能の向上
屋根カバー工法で、ルーフィングを敷くことで防水性は新築と同様になります。このルーフィングを新しくするということが屋根メンテナンスの上ではとても重要になります。そして屋根材のガルバリウム鋼板は、耐久性が高く、高い防水性能があります。雨漏りのリスクは大幅に低減されます。
エネルギー効率の向上
断熱材一体型の製品を選ぶことで、冷房費用を削減することができます。
環境に優しい
ガルバリウム鋼板は、金属リサイクルが容易であり、環境にやさしい材質と言えます。持続可能な建築材料として、エコロジーの観点からも優れています。
美観の向上
ガルバリウム鋼板は美しい仕上がりが特徴で、屋根の外観を大きく向上させます。豊富なカラーバリエーションとデザインにより、家の魅力を高めることができます。
リフォームの流れ
カラーベストなどのスレート屋根からガルバリウム鋼板やステンレス鋼板などの金属屋根へのリフォームを実施する際の一般的な流れについて説明しておきます。
- 現地調査
まずは屋根の状態を詳細に調査し、最適なリフォームプランを策定します。必要に応じて、構造補強や下地の修繕の提案も行います。 - 見積もりと契約
現地調査結果に基づいて、詳細な見積もりを作成し、納得いただいた上で契約を締結します。 - 施工準備
屋根工事開始前に、周囲の養生や仮設足場の設置を行います。安全第一で作業を進めるための準備を整えます。 - 既存屋根の撤去
カラーベストを慎重に撤去し、廃材を適切に処理します。屋根修理の匠ひおきでは、状況にもよりますが、スレート屋根を撤去せずにカバー工法でコストと工期を抑えることも可能です。 - 新しい屋根材の取り付け
ガルバリウム鋼板を正確に設置し、ルーフィングと呼ばれる防水シート、場合によっては断熱材も併せて取り付けます。 - 仕上げと確認
施工完了後、細部の仕上げを行い、最終確認の後、お客様に完成状態をご確認いただきます。
屋根葺き替え費用
https://hi-oki.co.jp/simulation
こちらのページで、屋根工事にかかる料金の概算を簡単に知ることができます。詳細なお見積りをとる前に是非お試しください。個人情報を入力する必要はありませんので、1分ほどで概算金額が判明します。
まとめ
これまでに記したように、カラーベストからガルバリウム鋼板への葺き替えリフォームには、多くのメリットがあります。耐久性だけでなく、見た目の美しさ、メンテナンスコストの削減など、様々な利点があります。
屋根修理、リフォーム工事を検討中の方は、ぜひ「屋根修理の匠ひおき」にご相談ください。熟練した屋根職人が丁寧に対応し、最適なリフォームプランをご提案いたします。
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