カラーベストからガルバリウム鋼板への屋根葺き替えリフォームのメリット

日本でカラーベスト(スレート屋根)が普及していたのは、主に1960年代から1990年代にかけてです。この時期に、カラーベストは軽量で安価な屋根材として多くの住宅に採用されました。特に1970年代から1980年代にかけては、新築住宅やリフォームで広く使用され、全国的に普及が進みました。

1960年代から1990年代にかけてカラーベストは軽量で安価な屋根材として多くの住宅に採用されました

しかし、2000年代以降、耐久性やメンテナンスの観点から、ガルバリウム鋼板などの金属製の屋根材が注目されるようになり、カラーベストの使用は次第に減少していきました。それでも、依然として多くの住宅で使用されているため、リフォームの際にはカラーベストからガルバリウム鋼板への変更がよく行われています。

金属屋根
ガルバリウム鋼板

カラーベスト(スレート屋根)からガルバリウム鋼板、SGL(次世代ガルバリウム)鋼板やステンレス鋼板などの金属屋根への葺き替えリフォームには多くのメリットがあります。

この記事では、カラーベストの問題点、ガルバリウム鋼板の特長と利点、リフォームによる費用対効果などについて詳しく解説します。

匠ひおき

私は、金属の屋根材を主に扱う職人のため、どうしても金属屋根の良さをアピールしがちになってしまいますが、ここでは出来るだけ客観的な視点、中立な視点を意識して書いてみます。

カラーベストにはいくつかの問題点があります。ここでは、それらの詳細を見ていきましょう。

カラーベストは、年月と共に次のような劣化が生じやすいです。

  • 表面のひび割れや剥がれ
    カラーベストはセメントと繊維質を主成分とするため、紫外線や風雨にさらされることで表面にひび割れや剥がれが生じます。これにより防水性能が低下し、雨水が内部に浸入しやすくなります。
  • 防水性能の低下
    表面の劣化により、防水性能が大幅に低下するため、雨漏りのリスクが高まります。特に長期間にわたりメンテナンスが行われていない場合、雨水の浸入が構造部分に影響を及ぼすこともあります。
カラーベスト(スレート屋根)
カラーベスト(スレート屋根)

カラーベストは以下のように、定期的なメンテナンスが必要です。

  • 再塗装の必要
    カラーベストの表面は塗装で保護されていますが、この塗装が劣化することで防水性能が失われます。再塗装が必要となるため、定期的にメンテナンスを行わないと、屋根材の寿命が短くなります。
    一方で、ガルバリウム鋼板など金属の屋根材にも表面は塗装されており塗料面自体は劣化しますが、塗料だけで防水しているわけではないため、見た目を気にしなければ大きな問題はありません。見た目といっても、屋根なのであまり目にすることもないですしね。
  • 点検と補修
    定期的な点検を行い、ひび割れや剥がれがないかどうか、苔の発生などをチェックする必要があります。もしこれらの問題が発見された場合、早急に補修を行わないとさらなる劣化を招きます。
    雨漏り修理において一般的に言えることですが、とにかく早く対応することが金銭面で大きな差を生むことになります。遅れればどんどん劣化が広範囲に進み、状況によってはリフォーム修理そのものが難しくなってしまうこともあります。
カラーベスト屋根の塗装
カラーベスト屋根の塗装

カラーベストは表面がざらざらしているため、湿気がたまりやすく、苔やカビが発生しやすいです。

  • 見た目の悪化
    苔やカビが発生すると、屋根の見た目がとても悪くなります。特に北側や日当たりの悪い場所では、苔やカビが繁殖しやすく、屋根全体の美観を損なう原因となります。
  • 屋根材の寿命短縮

    苔やカビが根を張ることで、屋根材自体の劣化が進みます。これにより、屋根の寿命が短くなり、早期にリフォームが必要となる場合があります。

苔やカビが発生してしまったカラーベスト
苔やカビが発生してしまったカラーベスト

カラーベストは比較的安価な屋根材ですが、耐久性に限界があります。

  • 耐用年数
    カラーベストなどの化粧スレートの耐用年数は低く、約15年から35年と言われていますが、適切なメンテナンスを行わないと、これよりも早く劣化が進むことがあります。
  • 外部環境の影響

    台風や地震などの自然災害に対しても、他の屋根材と比べて強度が劣る場合があります。特に大きなひび割れや損傷が生じた場合、修繕が必要となり、そのコストがかさむことがあります。

劣化により損傷してしまったカラーベスト
劣化により損傷してしまったカラーベスト

1960年代から1980年代にかけて製造されたカラーベストには、アスベストが含まれている場合があります。
アスベストは、かつては広く利用されていましたが、中脾腫や肺がんなど健康リスクが明らかになり、現在では多くの国で使用が禁止されています。特に日本では、アスベストを含む建材の除去作業や廃棄に関して厳しい規制が設けられています。
屋根を含む、建物のリフォームや解体を行う際には、アスベストの存在を確認し、適切な処理を行うことが必要になります。

  • 健康リスク
    アスベストは吸入することで健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、アスベストを含むカラーベストの取り扱いには注意が必要です。
  • 外部環境の影響

    台風や地震などの自然災害に対しても、他の屋根材と比べて強度が劣る場合があります。特に大きなひび割れや損傷が生じた場合、修繕が必要となり、そのコストがかさむことがあります。

  • 処理の困難さ

    アスベスト含有のカラーベストを撤去する際は、専門的な処理が必要となり、費用が高くなることがあります。また、適切な処理を行わないと、環境汚染の原因となることもあります。

アスベストによる健康被害

カラーベスト(スレート屋根)は、経年劣化やメンテナンスの必要性、苔やカビの発生、耐久性の限界、そしてアスベスト含有問題など、様々な問題点を抱えています。
これらの問題を解消し、長期間にわたり安心して住まいを保つためには、ガルバリウム鋼板へのリフォームが有効な選択肢となります。ガルバリウム鋼板は、耐久性や美しさ、メンテナンスコストの削減など、多くのメリットがあります。

次に、ガルバリウム鋼板の特長について見ていきましょう。

  1. 高い耐久性
    ガルバリウム鋼板は、アルミニウムと亜鉛の合金で作られており、優れた耐食性があり、錆びにくく、長期間にわたり美しい外観を保ちます。また、軽量で強度が高いという特徴もあります。
  2. 軽量で強度が高い
    カラーベストに比べて軽量でありながら、強度が高い特徴もあります。地震などの災害時にも、建物への負担が少なく、安心です。
  3. デザインが豊富

    カラーやデザインのバリエーションが豊富で、建物のスタイルに合わせた選択が可能です。モダンな外観から伝統的な和風の外観まで、多様なニーズに対応できます。

  4. 断熱性能
    ガルバリウム鋼板は断熱性能も高く、夏の暑さや冬の寒さを和らげる効果があります。

ガルバリウム鋼板について、さらに詳しく述べた以下の記事も是非参考にしてください。

次に、カラーベストからガルバリウム鋼板に屋根リフォームすることで得られる具体的なメリットについて詳しく書いてみます。

カラーベストからガルバリウム鋼板へのリフォーム

ガルバリウム鋼板は、メンテナンスの頻度が少なく、長期間にわたりコストを抑えることができます。特に、再塗装の必要がないため、トータルでのメンテナンス費用が大幅に削減されます。

高い耐久性を持つため、屋根の寿命が延びます。一度リフォームすれば、長期間にわたって安心して使用できます。

ガルバリウム鋼板は、継ぎ目が少なく、一体化した構造により、高い防水性能があります。雨漏りのリスクは大幅に低減されます。

反射率が高く、夏場の屋根表面温度を抑える効果があります。その結果として、冷房費用を削減することができます。

ガルバリウム鋼板は、リサイクルが容易であり、環境にやさしい材質と言えます。持続可能な建築材料として、エコロジーの観点からも優れています。

ガルバリウム鋼板は美しい仕上がりが特徴で、屋根の外観を大きく向上させます。豊富なカラーバリエーションとデザインにより、家の魅力を高めることができます。

カラーベストなどのスレート屋根からガルバリウム鋼板やステンレス鋼板などの金属屋根へのリフォームを実施する際の一般的な流れについて説明しておきます。

  • 現地調査
    まずは屋根の状態を詳細に調査し、最適なリフォームプランを策定します。必要に応じて、構造補強や下地の修繕の提案も行います。
  • 見積もりと契約
    現地調査結果に基づいて、詳細な見積もりを作成し、納得いただいた上で契約を締結します。
  • 施工準備
    屋根工事開始前に、周囲の養生や仮設足場の設置を行います。安全第一で作業を進めるための準備を整えます。
  • 既存屋根の撤去
    カラーベストを慎重に撤去し、廃材を適切に処理します。屋根修理の匠ひおきでは、状況にもよりますが、スレート屋根を撤去せずにカバー工法でコストと工期を抑えることも可能です。
  • 新しい屋根材の取り付け
    ガルバリウム鋼板を正確に設置し、ルーフィングと呼ばれる防水シート、場合によっては断熱材も併せて取り付けます。
  • 仕上げと確認
    施工完了後、細部の仕上げを行い、最終確認の後、お客様に完成状態をご確認いただきます。

屋根葺き替え費用シミュレーション

https://hi-oki.co.jp/simulation
こちらのページで、屋根工事にかかる料金の概算を簡単に知ることができます。詳細なお見積りをとる前に是非お試しください。個人情報を入力する必要はありませんので、1分ほどで概算金額が判明します。

これまでに記したように、カラーベストからガルバリウム鋼板への葺き替えリフォームには、多くのメリットがあります。耐久性だけでなく、見た目の美しさ、メンテナンスコストの削減など、様々な利点があります。

屋根修理、リフォーム工事を検討中の方は、ぜひ「屋根修理の匠ひおき」にご相談ください。熟練した屋根職人が丁寧に対応し、最適なリフォームプランをご提案いたします。

日置 卓弥

日置 卓弥

屋根修理の匠ひおきの代表です。哲学で学んだ独特な視点を屋根修理の仕事に活かし、お客様の期待を超えるサービスを実現するために日々努力しています。

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