瓦屋根から金属屋根へ葺き替えるメリット

屋根の葺き替えを検討している方にとって、瓦屋根から金属(ガルバリウム製品)屋根への変更は大きな決断です。
屋根材の選択は、建物の耐久性や快適性に直結する重要な要素であり、慎重に検討する必要があります。
本記事では、瓦屋根と金属屋根の違いや、それぞれの特徴を比較しながら、金属屋根への葺き替えのメリットについて詳しく解説します。耐久性やメンテナンス性、コスト面での利点などを網羅的に紹介し、皆様の屋根選びの参考にしていただければ幸いです。これから紹介する情報をもとに、より安全で快適な住まいを実現してください。

瓦屋根から金属屋根へ葺き替え
瓦屋根から金属屋根へ葺き替えリフォーム

瓦屋根は日本の伝統的な屋根材として、古くから親しまれてきました。美しい外観と独特の風合いは、日本の建築文化に欠かせません。粘土を高温で焼き上げた瓦は、非常に耐久性が高く、雨風や紫外線にも強いため、長期間にわたって使用することができます。

さらに、瓦の重さが屋根全体を安定させ、風に対しても強いのが特徴です。また、瓦屋根は断熱性に優れ、夏は涼しく、冬は暖かい室内環境を保つことができます。結果的に、エアコンなどの冷暖房器具の使用頻度が減り、省エネルギーにつながります。

瓦屋根
瓦屋根

一方で、瓦屋根にはいくつかの不安要素があります。まず、その重さにより建物が大きな負荷を受けるため、耐震性が低い点です。2024年の元旦に能登半島で大きな地震があったばかりですが、地震が多い日本では、瓦の重さが建物の揺れを増幅させることにつながり、安全性に懸念が生じます。能登半島地震で、屋根瓦の被害が多発していたのも事実です。また、瓦は非常に硬い反面、衝撃には弱く、地震や強風で瓦がずれたり割れたりすると、修理が必要になります。

瓦が割れたりずれたりしたまま放置すると、屋根からの雨漏りの原因となり、建物内部にダメージを与えることもあります。さらに、瓦の表面に苔(こけ)やカビが発生することがあり、美観を損なうだけでなく、滑りやすくなるため屋根の上での作業が危険になることもあります。

能登半島地震
能登半島地震の被害

瓦屋根のメンテナンスには、定期的な点検と補修が欠かせません。割れた瓦の交換や、防水処理の再施工が定期的に求められます。これらのメンテナンスを怠ると、雨漏りや建物の劣化を招く可能性があります。特に、瓦のずれや破損は早期に発見し、修理することが重要です。

また、瓦屋根の表面に汚れやひび割れなどが発生した場合は、専門の業者に依頼して清掃と部分補修を行うことをおすすめします。屋根の美観を保ち、事前に大きな雨漏りを防ぐことができます。このような定期点検とメンテナンスを行うことで、瓦屋根の寿命を延ばし、安全で快適な環境を維持することができます。

割れた瓦

ガルバリウム鋼板は、アルミニウム、亜鉛、シリコンを主成分とする合金で、非常に優れた耐食性を持つ屋根材です。軽量でありながら強度が高く、長期間にわたって使用することができるため、屋根材として非常に人気があります。耐久性は、従来の亜鉛メッキ鋼板の約3倍とも言われており、過酷な環境下でも錆びにくく、美観が保たれます。

金属屋根(ガルバリウム鋼板)
ガルバリウム鋼板

さらに、ガルバリウム鋼板は、加工性にも優れており、さまざまな形状に成形することが可能です。デザインの自由度が高く、モダンな建物から伝統的な建物まで、幅広い建築スタイルに適応できるのも特徴です。

SGL(エスジーエル)鋼板は、ガルバリウム鋼板にマグネシウムを加えた新しい合金素材で、より高い耐食性を誇ります。特に海辺や工業地帯などの過酷な環境においても性能を十分に発揮します。マグネシウムの添加により、腐食に対する抵抗力が大幅に向上し、従来のガルバリウム鋼板を上回る耐久性を実現しています。

次世代ガルバリウム鋼版(SGL鋼板))
エスジーエル(SGL)鋼板

さらに、SGL鋼板は、高い耐候性を持ち、紫外線や雨風による劣化を防いでくれます。そのため、メンテナンスの手間が大幅に減り、長期間にわたって安心して暮らせるようになります。このように、SGL鋼板は耐久性だけでなく、美観を保つためにも優れた屋根素材です。

ステンレス鋼板は、錆びにくい特性から、非常に長寿命な屋根材です。非常に耐久性が高いため、以下のような環境下に適しています。

  • 大型施設 大規模な足場作業を伴う場合など、メンテナンスサイクルを減らすために採用されます。例えば、東京の国立競技場。
  • 沿岸地域
    海水に含まれる塩分が空気中に飛散し、金属を腐食させる原因となる。
  • 工業地帯
    工場や発電所から排出される化学物質やガスが空気中に拡散し、金属に触れることで腐食が進行する。
  • 都市部
    排気ガスや大気汚染物質が多く、これらの物質が金属に付着することで腐食が発生しやすくなる。
  • 温泉地
    温泉水に含まれる硫黄やその他の鉱物成分が空気中に拡散し、金属を腐食させることがある。
  • 農業地域
    肥料や農薬に含まれる化学成分が空気中に飛散し、金属に触れることで腐食が進行する。
©日鉄ステンレス
ステンレス鋼板ナルカラー/適応例

このような環境では、耐腐食性の高いステンレスのような屋根材をおすすめします。
また、ステンレス鋼板は、耐火性にも優れており、火災発生時に火の拡散を防ぐ効果があります。建物全体の安全性が向上するため、災害に強い屋根材としても評価されています。
他の特徴としては、美しい光沢と高級感のある外観です。長期間にわたって美しい外観が保たれ、建物の資産価値が高まります。

金属屋根は、風雨や紫外線に対して高い耐久性があり、長期間にわたって美観を保ち、メンテナンスの頻度が減ります。特に、SGL鋼板やステンレス鋼板は、腐食に強く、過酷な気候条件でもその性能を維持します。
さらに、金属屋根は耐火性にも優れており、火災から建物を守ってくれます。

ガルバリウム鋼板の屋根
20年経過した金属屋根

また、温度変化にも強く、収縮や膨張による劣化を防ぐことができます。このように、金属の屋根材は、長期間にわたって安定した性能を保ち、安心して使用することができます。

金属屋根は瓦屋根に比べて非常に軽いです。この軽さによって、建物全体の耐震性が向上します。軽量な金属屋根に葺き替えることで、建物全体の重量が軽減され、地震の際の揺れを抑える効果があります。また、金属屋根は施工が容易であるため、葺き替え工事の期間やコストを抑えることができます

建物全体の見栄えがよくなり資産価値が向上

金属屋根の施工は、既存の屋根材を撤去する必要がなく、直接重ね葺きすることができる場合もありますカバー工法)。このカバー工法により、工事期間が短縮され、コストを削減することができます。
さらに、金属屋根は耐久性が高く、メンテナンスの手間も少ないため、長期的に見てもとても経済的です。

これまでに書きましたが、もう一度まとめておきます。

金属屋根は耐久性が高く、腐食や割れのリスクが少ないため、メンテナンスの頻度とコストを大幅に削減し、長期的な維持費用を抑えることができます。瓦屋根では、定期的な点検や補修が必要ですが、金属屋根ではその必要がほとんどありません。
さらに、金属屋根は耐候性が高く、紫外線や雨風による劣化がほとんどなく、長期間にわたって美観を保つことができます。

長期的な維持費を抑えることができます

つまり、塗装やクリーニングの頻度が減り、メンテナンスコストを抑えることができるのです。耐久性も高いため、長期間にわたって使用することができ、屋根の交換頻度が少なくすみ、長期的な維持費用を抑えることができます。

軽量な金属屋根に葺き替えることで、建物の重量が軽くなり、耐震性が向上します。地震大国の日本では、建物全体の安全性を高めるために軽さは重要な要素となります。瓦屋根はとても重く、建物に大きな負担がかかり、地震の揺れが増幅されるリスクがあります。

耐震性の向上

一方、金属屋根は軽量であるため、地震の際の揺れは比較的小さく、建物の安全性が高まります。また、金属の屋根材は強度が高く、衝撃にも強いため、地震や強風による被害を最小限に抑えることができ、瓦から金属屋根への葺き替えは災害に対する備えとしても非常に効果的です。

金属屋根は耐火性にも優れており、火災発生時に火の拡散を防ぐ効果があります。一方で、瓦屋根には耐火性はありますが、火災時には割れたり落ちたりするリスクがあります。ガルバリウム、SGL鋼板やステンレス鋼板などの金属屋根は、そのようなリスクが少なく、より安全です。

耐火性と防災性能の向上

防災性能を重視するならば、金属屋根は非常に魅力的な選択肢となります。

近年の金属屋根は断熱材を併用することで、優れた断熱性を実現しています。夏は涼しく、冬は暖かい室内環境となり、冷暖房の電気代削減にもつながります。また、金属屋根は太陽光発電システムとの相性も良く、再生可能エネルギーの利用がしやすくなります。このように、金属屋根は、環境にやさしい屋根材であると言えます。

金属屋根は太陽光発電システムとの相性が良い

瓦屋根から金属屋根への屋根リフォームの施工の流れを簡単に説明します。

  1. 既存の瓦屋根の撤去
    まず、古い瓦屋根の撤去作業から始まります。既存の瓦を丁寧に取り外します。この際、瓦の下にある防水シートやルーフデッキの状態も確認し、必要に応じて修理や交換を行います。
  2. 防水シートの設置
    瓦を撤去した後、新しい防水シート(ルーフィング)を屋根全体に設置します。これは、雨水の浸入を防ぎ、建物の内部を保護するために重要な工程となります。
  3. 金属屋根材の取り付け
    防水シートの上に新しい金属屋根材を取り付けます。金属屋根材は軽量で耐久性があり、長期間にわたり屋根を保護します。
    金属屋根の取り付けが完了した後、屋根の端部や継ぎ目などにしっかりとした仕上げを行います。また、必要に応じて雨樋の取り付けや調整も行います。

瓦屋根から金属屋根への葺き替えには多くのメリットがあることを説明しました。
メンテナンス費用の削減や耐震性の向上、耐火性・防災性能の向上、施工の容易さなど、多くの利点があります。長期的に見ても非常に有益な選択と言えるでしょう。また、断熱性や省エネルギー効果により、快適な暮らし、冷暖房の電気代削減にもつながります。最適な選択をするために、ぜひ本記事の情報を参考にしていただきたいと思います。

屋根の葺き替えを検討する際には、専門の屋根工事施工業者さんと相談し、最適な選択を行うことが重要です。是非、屋根修理の匠ひおきへご相談ください。

日置 卓弥

日置 卓弥

屋根修理の匠ひおきの代表です。哲学で学んだ独特な視点を屋根修理の仕事に活かし、お客様の期待を超えるサービスを実現するために日々努力しています。

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