屋根工事をはじめ、住宅リフォームに関するトラブルは、残念ながら年々増え続けています。
屋根工事のトラブルにも様々あり、特に点検商法という業者が突然訪問してきて点検をし、工事契約をさせるという手法が増えてきています。
点検商法のよくある手口
例えば、
「近所の工事にご挨拶にきました」という切り口で業者が突然訪問してきます。
「屋根が浮いているみたいですね 無料で点検してあげます」と提案してきて、無料なら・・・と点検をしてもらうことに。
点検後に「このままだと台風がきたら雨漏りしますよ 瓦が飛んで近所の人にも迷惑をかけてしまう恐れもあります」と不安を煽ります。
更には「今契約するなら特別に安くしますよ」とお得感を出して、その場で工事契約を結ばせる。
といったような手口です。
悪質な業者は点検後に不安をあおり、巧みなトークで契約させようとします。
特に高齢者の方が被害にあうケースが多いので、突然訪問してきた業者には安易に点検させないようにしてください。
もし点検をしてもらったとしても、その場ですぐに契約をせずに、複数社から見積りをとるなどして、十分に検討するようにしてください。
訪問のきっかけとなる営業トーク
- 近くで工事をしている者です
- 工事のあいさつに来ました
- お宅の瓦がずれているのが見えましたよ
- 屋根が浮いているみたいですね。無料で点検してあげます
- 近所をドローンで撮影していたら屋根が傷んでいるのが見えました
- 知り合いに業者がいないなら見てあげますよ
お客様の不安をあおるようなトーク
- このままだと台風が来たら雨漏りしますよ
- 瓦が飛んで近所の人にも迷惑がかかってしまいます
- すぐに直さなければ大変なことになりますよ
- ドローンで見るとこんなに傷んでいます
お客様の負担が軽くなると思わせるトーク
- この場で契約するなら特別に安くしますよ
- 通常より大幅に割り引いた価格です
- 保険金を使って修理すればいいじゃないですか
- 保険申請の手続きもしてあげます
このようないかにもそれらしい切り口で訪問をしてきて、お客様の不安をあおり、断りにくい内容のトークで契約をしようとしてきます。
突然、業者が訪問してきたら・・・
突然、業者が訪問してきて「無料で点検する」と言われても、簡単に点検をしてもらわないようにしてください。
まずは家族や知人などに相談をして、本当に点検が必要かどうか、また点検をしてもらったとしても、決してその場で契約してしまうことのないよう、冷静に判断をするようにしてください。
少しでも不安を感じたら消費生活センター等に相談しましょう
業者が突然家に来た、契約するつもりがないのに契約してしまったなど、少しでも不安を感じたら消費生活センターに相談することができます。
→ 全国の消費生活センター等
消費者ホットライン「188(いやや!)」
国民生活センターに寄せられる
屋根工事(点検商法)の相談件数
消費者庁の国民生活センターに寄せられる屋根工事の点検商法に関する相談件数は、2018年から2022年の5年間で約3倍にも増え続け、2022年度は2,885件もの被害相談が寄せられているそうです。
PIO-NETにみる屋根工事の点検商法に関する年度別相談件数
独立行政法人国民生活センター
年度別相談件数:2018年度は923件、2019年度は1,157件、2020年度は1,824件、2021年度は2,352件、2022年度は2,885件、2023年度は8月31日までで1,346件です。
点検商法の相談全体に占める屋根工事の相談割合:2018年度は16.2%、2019年度は20.1%、2020年度は26.0%、2021年度は31.6%、2022年度は35.4%、2023年度は8月31日までで35.9%です。
屋根工事の点検商法のトラブルが増えています
契約当事者の8割以上が60歳以上で、60代、70代、80代、90代の人までが被害にあわれています。
真面目に屋根工事を行っている当社からすれば、本当に残念でならない話ですが、実際にこういった被害相談があるということを知っていただき、屋根工事のトラブルに巻き込まれないようにしていただきたいと切に願います。
業者の技術不足による屋根工事トラブル
点検商法だけではなく、施工業者の根本的な技術不足による屋根工事トラブルも多くあります。
カバー工法ができない状態にもかかわらずカバー工法で施工してしまった事例
本来なら葺き替え工法での工事が必要な状態(屋根の下地が腐食していたり大きな損傷がある)の屋根をカバー工法で施工してしまい、しばらくして雨漏りが発生、台風で屋根がはがれた。
→ 結局、葺き替え工法で再度工事をすることになり、二重の工事費用がかかった。
このような場合、最初に屋根工事をした業者が工事ミスを認め、再工事をしてくれればまだ良いですが、業者がミスを認めない、そもそも連絡がとれない、という最悪のケースがほとんどで、お客様が泣き寝入りすることになってしまいます。
カバー工法は葺き替え工法よりも施工がしやすく、金額も葺き替え工法よりも安くできることから、屋根の下地の状態などお構いなしにカバー工法だけを進めてくる悪質な業者がいます。
カバー工法で問題ないかどうかの根拠を、お客様にわかりやすく説明してくれるかどうか、また、複数の業者に見積りを依頼し、カバー工法が可能かどうかの確認が必要です。
勾配の緩い屋根に適さない金属屋根の横葺きで施工してしまった事例
経験・知識のない施工業者が屋根勾配(屋根の角度)をきちんと計測せずに工事を請け負い、勾配の緩い屋根に適さないガルバリム鋼板の「横葺き」で施工してしまい、工事直後から雨漏りが発生した。
→ 結局、ガルバリウム鋼版の「縦葺き」で再度工事をすることになり、二重の工事費用がかかった。
ガルバリウム鋼版などの金属屋根を施工する場合、「縦葺き」と「横葺き」の2種類あります。
緩勾配の屋根に横葺き屋根を施工する場合、雨漏りのリスクがある為、横葺き屋根は通常、2.5寸以上の勾配がある屋根に適しています。
この工事トラブルは、2.5寸以下の屋根勾配であったにもかかわらず、横葺きで施工されてしまったという、屋根専門の工事業者では考えられないような工事ミスの事例です。
縦葺き or 横葺き
とにかく金額が一番安い業者に依頼してしまい、すぐに雨漏りしてしまった事例
複数社に見積りを依頼し、とにかく金額が一番安い業者に依頼したところ、低品質な材料で手抜き工事だった為、すぐに雨漏りが発生してしまった。
→ 結局、別の業者に工事のやり直しを依頼し、二重の工事費用がかかった。まさに安かろう悪かろうだった。
工事費用が安いに越したことはありませんが、とにかく安さだけにこだわり過ぎるのも考え物です。
どのような材料を使って工事をするのか、その材料はどれくらいの耐久性があるものなのか、ということを確認しておくことも重要です。
もちろん、工事の品質も大切ですので、適正な価格できちんとした工事をしてくれる屋根工事の専門職人さんがいる業者に依頼することで、このようなトラブルは回避できるるでしょう。
屋根工事トラブルにあわない為に
見積りの内容が詳細かどうか確認する
見積りの詳細な情報が掲載されているかどうか、使用する材料についての詳しい説明があるかどうかの確認も重要です。特に屋根材やルーフィングと呼ばれる屋根材の下に敷く防水シートの耐久性については、お客様の方でもしっかりと把握しておきましょう。
また、費用の安さだけではなく、提案された工事内容が価格に見合っているかどうか、質を落とさない範囲での見積もりかを考慮し、慎重に判断することが重要です。
大幅な値引きなども注意が必要です。最初から値引きをする前提で単価を高くしてお得感を強調している場合があります。
屋根の工事はどう何度も行うものではないので、専門用語などがわからないことがほとんどです。わかりやすく丁寧に説明をしてくれるかどうかも重要なポイントです。
工事を丁寧に行ってくれる会社は、見積りの内容も詳細で丁寧に説明が行われます。
複数社に相見積もりをする
上記の見積内容を把握確認するためにも、複数の業者から相見積もりを取ることも重要です。
見積もりを比較することで、同じ工事内容に対する市場価格の相場が大体わかるので、過度に高額な見積もりを出す悪徳業者を避けることができます。
また、異なる業者が提案する工事内容や使用する材料には違いがあります。相見積もりによってそれぞれの提案を比較し、最も適切な工事内容はどれなのかを検討することができます。
このような見積もりを比較確認する過程において業者とのコミュニケーションを取ることで、その業者の対応の良さや専門知識、信頼性をある程度評価できるようになります。対応が迅速かつ丁寧な業者は、工事の実施においても信頼できる可能性が高いと言えるでしょう。
優良な屋根工事業者(専門職人のいる業者)に依頼する
悪質な工事業者は、一時的な修理や耐久性の低い安価な材料を使用して手抜き工事を行うことがあります。
さらに、工事に必要のない部分まで修理を加え、不当に高い費用を請求するような業者もいます。
このような悪質な業者の場合、工事を行った箇所から再び問題が発生した際にも、工事後の保証やアフターフォローもないため、お客様が泣き寝入りをすることになってしまいます。
工事トラブルにあわない為にも、まず一番は優良な屋根工事業者に依頼することが重要です。
屋根材にも様々な種類がありますので、瓦屋根なら「瓦職人」、金属屋根なら「板金職人」と、その屋根材専門の職人が工事をしてくれる業者に依頼するのが良いでしょう。
専門職人であれば、雨漏りなどの問題の根本的な解決に必要な修理に対して適切な価格で提供し、屋根を長持ちさせることができます。
また、ホームページなどで工事業者の施工事例を参考にすることで、これまでどのような工事を行ってきたのかがおおよそわかります。
一般住宅だけでなく、施設や工場などの工事を行っている場合は、広範な経験があり、それにより多くの信頼を得ているということを示しています。その業者が得意とする工事の種類や得意な施工スタイルを把握することもできるでしょう。
屋根工事を検討する際には、ぜひこれらのことを覚えておいていただき、後悔のない素敵な屋根リフォームを行ってください。
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