「2階のベランダの真下の部屋に、天井のシミが出てきた」「台風のあと、窓の上から水が垂れてきた」。こうしたご相談で調べてみると、原因が屋根ではなくベランダ・バルコニーだった、ということは珍しくありません。
ベランダやバルコニーの床は、屋根と同じように雨を直接受け止める場所です。床の表面には防水層がつくられていますが、年数がたつとひび割れたり、つなぎ目が切れたりして、そこから入った雨水が下の部屋の天井や壁に回り込みます。
しかも、ベランダからの雨漏りは、天井にシミが出た時点で、すでに長い間水が入り続けていることが多いのが特徴です。早めに原因を見つけて、合った方法で防水し直すことが大切です。
この記事では、ベランダ・バルコニーで雨漏りの原因になりやすい箇所と、室内やベランダで分かるサイン、防水工事の方法を、実際の現場写真を使って、1954年創業の板金・屋根工事店「屋根修理の匠ひおき」の職人が解説します。
ベランダ・バルコニーの雨漏りとは
ベランダ・バルコニーの床は、下に部屋がある場合、その部屋にとっての「屋根」の役割をしています。床には次のような部分があり、どこか1か所でも水を止められなくなると雨漏りにつながります。
- 床の防水層…床の表面をおおって、雨水を下に通さない層
- トップコート…防水層の上に塗る仕上げの塗料。紫外線や歩く摩耗から防水層を守る
- 排水口(ドレン)…床に降った雨水を雨どいへ流す出口
- 立上り(たちあがり)…床と壁が接する部分で、防水層を壁側へ立ち上げて水の侵入を防ぐ部分
- 笠木(かさぎ)…手すり壁(腰壁)の上にかぶせる板金などのカバー
- 掃き出し窓(サッシ)の下まわり…部屋からベランダへ出る窓の下の、床との取り合い
木造住宅のベランダの防水には、主にFRP系(ガラス繊維で補強した樹脂の防水)、ウレタンゴム系(液状の材料を塗り重ねてつくる防水)、塩ビ樹脂系シート(シートを貼る防水)などが使われます。どの防水も、表面の状態を見て早めに手を入れることで長持ちさせられます。
雨漏りの原因になりやすい5つの箇所
1. 床の防水層のひび割れ・目地の切れ
いちばん多いのが、床そのものの劣化です。トップコートがすり減って防水層がむき出しになったり、床にひび割れが入ったり、床を区切る目地(めじ)のシーリングがやせて切れたりすると、そこから雨水が下地にしみ込みます。
写真は、天井のシミのご相談で調査した、兵庫県神戸市のお住まいのバルコニーです。床の全面に細かなひび割れが走り、目地のシーリングもやせていました。降った雨がひび割れと目地から入り、下の部屋へ回り込んでいました。
2. 排水口(ドレン)の詰まり
排水口に落ち葉や砂、ごみがたまると、大雨のときに水が流れきらず、床に水がたまります。たまった水が立上りの高さを超えたり、サッシの下まで上がってきたりすると、ふだんは水が届かない場所から雨水が入り込みます。「強い雨のときだけ漏れる」場合は、排水口の詰まりも疑ってみてください。
3. 立上り(壁際)と床の境目
立上りは、床の防水を壁側へ立ち上げて、床と壁のすき間から水が入らないようにしている部分です。床にたまった水は壁際に集まりやすいため、立上りの防水がはがれたり、端にすき間ができたりすると、そこから壁の中や下の部屋へ水が回ります。
見た目では分かりにくい場所なので、床を防水し直すときは、立上りまで一緒に防水をやり直すのが基本です(下の「工事の流れ」で、立上りにウレタン防水材を塗っている写真を紹介しています)。
4. 笠木(手すり壁の上)のつなぎ目
手すり壁の上の笠木は、つなぎ目やビスの穴、手すりの支柱の根元から雨水が入ることがあります。笠木の下に入った水は壁の中を伝って下りるため、床の防水がしっかりしていても雨漏りすることがあります。笠木については笠木の記事でくわしく解説しています。
5. 掃き出し窓(サッシ)の下まわり
部屋からベランダへ出る窓の下は、床との高さの差が小さいと、大雨や台風の横なぐりの雨で水が入りやすくなります。窓枠まわりのシーリングの切れも原因になります。窓まわりの雨漏りはサッシ・窓まわりの雨漏りの記事もあわせてご覧ください。
ベランダからの雨漏りのサインと見分け方
室内で分かるサイン
- ベランダの真下の部屋の天井にシミがある
- 天井と壁の境目のクロス(壁紙)が浮いたり、はがれたりしている
- エアコンのまわりや窓の上に、水の跡がある
- 雨のあとに、押し入れや部屋の隅がかび臭い
シミの位置とベランダの位置が重なっていれば、ベランダが原因の可能性が高くなります。ただし、雨水は下地の中を伝って離れた場所に出ることもあるため、シミの真上だけが原因とは限りません。
ベランダ側で分かるサイン
- 床の表面の色があせて、ざらざらしている(トップコートのすり減り)
- 床にひび割れがある、防水層がふくれている・はがれている
- 目地のシーリングがやせて、すき間ができている
- 雨がやんだあとも、いつまでも水たまりが残る
- 排水口のまわりに土や草がたまっている
※ベランダの様子を確かめるときは、手すりから身を乗り出したり、ベランダからひさしや屋根の上に出たりしないでください。雨の日や雨上がりの床はすべりやすいので、晴れた日に、窓から見える範囲での確認にとどめてください。
ベランダ・バルコニーの防水工事の方法
防水工事は、傷みの程度によって大きく「トップコートの塗り替え」と「防水層のやり直し」に分かれます。すでに雨漏りが起きている場合は、防水層からやり直すのが基本です。
トップコートの塗り替え
防水層の表面を守るトップコートは、防水層そのものより先に傷みます。表面の色あせやすり減りの段階で塗り替えておくと、防水層を長持ちさせられます。横浜市のマンション管理向けのコラムでは、FRP防水・ウレタン防水とも約5年でのトップコートの塗り替えが目安として紹介されています。
ウレタン防水の「密着工法」と「通気緩衝工法」
ウレタン防水には、下地に直接塗り重ねる密着工法と、下地との間に通気緩衝シートをはさむ通気緩衝工法(絶縁工法)があります。
すでに雨漏りしている床は、下地のコンクリートなどが水分を含んでいます。その上に密着工法で防水層をつくると、日差しで温められた水分が逃げ場を失い、防水層を内側から押し上げて「ふくれ」の原因になります。通気緩衝工法は、シートの下で水分を拡散させ、脱気筒(だっきとう)から外へ逃がすことで、ふくれを抑える工法です。
防水層をやり直す工事の流れ(例)
神戸市のお住まいでは、2026年6月に現地調査を行い、ウレタン通気緩衝工法で床の防水をやり直しました。おおまかな流れは次のとおりです。
- 床の汚れや傷んだ表面を削り落とし(ケレン)、下地を整えてプライマー(下塗り材)を塗る
- 目地の古いシーリングを撤去し、新しく打ち替える
- 通気緩衝シートを敷き、立上りにもウレタンを塗る
- 脱気筒を取り付ける
- ウレタン防水材を2回に分けて塗り、必要な厚みを確保する
- 仕上げのトップコートを塗る
床の防水だけでなく、笠木やサッシまわりにも原因がある場合は、あわせて直さないと雨漏りが止まりません。当社では、職人が直接ベランダと室内の両方を確認し、写真をお見せしながら原因と工事の範囲をご説明しています。
ベランダ・バルコニーの雨漏りについてよくあるご質問
Q. 天井にシミがあるだけで、水はまだ落ちてきていません。急いだほうがいいですか
シミが見えている時点で、天井の裏ではすでに何度も水を吸っていると考えられます。そのままにすると、天井裏の木材の傷みやカビにつながることがあります。水が落ちてくるのを待たずにご相談ください。
Q. トップコートだけ塗り替えれば、雨漏りは止まりますか
トップコートは防水層を守るための仕上げで、それ自体に雨漏りを止める力はあまりありません。すでに雨漏りしている場合や、床にひび割れ・ふくれがある場合は、防水層からのやり直しが必要になることが多いです。
Q. 自分でできる予防はありますか
排水口のまわりの落ち葉やごみを、ふだんから取り除いておくことです。また、ベランダに植木鉢や物置などを置きっぱなしにすると、下に水や土がたまりやすくなります。床の色あせやひび割れに気づいたら、早めに点検を受けてください。
Q. 工事中はベランダを使えませんか
防水材を塗って乾かす間は、ベランダに出たり洗濯物を干したりできない日があります。工程と天気に合わせて、使えない日を事前にお知らせします。
Q. 新築から10年たっていない家でも、相談していいですか
もちろんご相談いただけます。ただ、新築住宅には「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」により、雨水の浸入を防止する部分について10年間の瑕疵担保責任が定められています。築10年未満の場合は、まず建てた会社に確認されることをおすすめします。
Q. 「ベランダの防水が切れている」と訪問してきた業者に言われました
突然訪問して点検を持ちかけ、不安をあおって契約を急がせる「点検商法」のトラブルが増えています。国民生活センターは2023年10月、屋根工事の点検商法の相談が2018年度の923件から2022年度は2,885件に増えたと注意を呼びかけています。その場で契約せず、写真を撮ってもらい、ほかの業者にも見てもらってから判断してください。
まとめ
ベランダ・バルコニーの床は、下の部屋にとっての屋根です。雨漏りの原因になりやすいのは、床の防水層のひび割れや目地の切れ、排水口の詰まり、壁際の立上り、笠木のつなぎ目、掃き出し窓の下まわりの5つです。
表面の色あせの段階ならトップコートの塗り替え、すでに雨漏りしているなら下地の水分を逃がす通気緩衝工法など、傷みの程度に合った方法を選ぶことが大切です。「ベランダの真下の部屋にシミがある」「床にひび割れがある」という方は、早めに点検を受けてください。
この記事で参考にした公的機関・業界団体・メーカーの資料です。
- 日本防水材料協会「木造建築物 防水工事施工指針」
- 日本特殊塗料「プルーフロン」カタログ(通気緩衝工法・脱気筒)
- 横浜市 マンション管理コラム(2026年6月15日更新)
- 国民生活センター「屋根工事の点検商法のトラブルが増えています」(2023年10月11日)
- 国土交通省 住宅瑕疵担保履行法に関するQ&A
関連する記事もあわせてご覧ください。
- 【兵庫県神戸市灘区】バルコニー防水工事|ウレタン通気緩衝工法で雨漏り防止
- 天井のシミは雨漏りのサイン?原因の見分け方・放置リスク・対処法を職人が解説
- 笠木(かさ木)とは?役割・雨漏りリスク・劣化サインと補修費用を職人が解説
- 雨漏り調査の方法とは?目視・散水・赤外線・発光液の特徴と費用を職人が解説
ベランダ・バルコニーの雨漏りのこと、まずは職人にご相談ください
「ベランダの真下の部屋に天井のシミがある」「床がひび割れている」「トップコートの塗り替えで足りるのか知りたい」といった段階のご相談でも構いません。
屋根の写真をLINEで送っていただくだけでも、職人が直接お答えします。
- 写真をLINEで送るだけで相談できます:LINEで相談する
- お電話:0744-47-4265(10:00〜17:00)
- 無料点検:無料点検のお申し込み
1954年創業、親子三代の板金・屋根工事店として、奈良・三重を中心に大阪・京都・和歌山・滋賀・兵庫まで、点検・雨漏り修理・葺き替えのご相談を承ります。現地調査・お見積もりは無料です。
※遠方の場合は出張費をいただく場合がございます。詳しくはお問い合わせください。



