セキスイ「かわらU」から「ガルバリウム鋼板」へ
【施工地域】大阪府豊能郡豊能町
【築年数】築40年以上
【施工箇所】屋根 雨どい
【使用材料】ガルバリウム鋼版(SGL鋼板)
【施工期間】約4週間
大阪府豊能郡豊能町、築40年以上経過した住宅にて、屋根リフォーム(屋根葺き替え工事)を実施しました。
かつてリフォーム用として普及したセキスイかわらUが使用されていました。
しかし、経年劣化が深刻で、ひび割れ・塗膜の剥がれ・苔の繁殖・破片の飛散といった症状が各所に見られる状態でした。
このまま放置すれば雨漏りのリスクが高まるため、屋根全面の葺き替えを行うことになりました。
本工事では、まず劣化したかわらUの撤去を行い、下地に厚さ25mmのウレタンフォーム断熱材を施工しています。
その上で新たな屋根材として、軽量で耐久性に優れた立平葺き(金属製縦葺き屋根)を採用しています。
劣化した「かわらU」の問題点
まずは施工前の屋根の状況を確認します。
表面塗膜の剥離が進み、防水層だった塗装が剥げ落ちてセメント下地が露出しています。屋根材自体に無数のひび割れが走り、一部は、脆く崩れて飛散していました。
セキスイかわらUは1970年代から普及したリフォーム用軽量屋根材で、一時期は「屋根リフォームと言えばセキスイかわらU」と言われるほど人気でした。
塗り直してもすぐ再び剥がれてしまうため、抜本的な対策として葺き替えリフォームが必要と判断します。
幸い今回の住宅では大きな雨漏り被害は出ていませんでしたが、放置すれば腐朽や構造への悪影響も懸念される状況でした。
「葺き替え」の工程
1. 旧屋根材(セキスイかわらU)の撤去
葺き替え工事はまず既存の屋根材をすべて撤去することから始まります。かわらUは劣化が激しいと作業中に割れて細かな破片が飛び散るため、周囲への養生を徹底し慎重に作業を進めます。
2. 「断熱材(ウレタンフォーム25mm)施工」と「構造用合板12㎜の増し張り」
屋根下地の断熱性能を高めるために「断熱材の施工」を行いました。採用したのはウレタンフォーム断熱材(厚さ25mm)です。ウレタンフォームは軽量で断熱性が高く、夏場の熱気や冬場の冷気が室内に伝わりにくくなります。
古い住宅では断熱材が不十分なケースが多く、本件でも築40年超ということで、屋根裏の断熱性能向上は、屋根リフォームの重要な目的です。
屋根葺き替えの機会にぜひ断熱対策も検討されることをおすすめします。
次の工程として「構造用合板の増し張り工法」です。新たな合板を増し張りすることで、屋根の強度と耐久性を向上させる方法です。
-
耐震性の向上:屋根の構造が強化され、地震時の揺れに対する耐性が高まる。
-
コストの削減:既存の野地板を撤去せずに補強できるため、工期や費用を抑えることが可能。
この工程の最後に新しい防水シート(ルーフィング)を全体に敷きます。改質アスファルト系の高性能ルーフィングシートを使用し丁寧に施工します。
3. 新しい屋根材の施工 – 立平葺き(板金屋根)
断熱材と防水シートで下地処理が完了したら、いよいよ新規屋根材の本体施工です。
今回採用したのはガルバリウム鋼板製の立平葺き屋根です。立平葺き(たてひらぶき)は長尺の金属板を棟から軒先まで縦方向に葺いていく工法で、継ぎ目が少なくシンプルな見た目と高い防水性能が特徴です。各板金同士はハゼと呼ばれる縁を折り重ねてかみ合わせ固定するため、ビス留め箇所が露出せず雨水の侵入リスクが極めて低くなっています。
また非常に軽量なのも特筆すべき点です。和瓦で1㎡あたり約60kg、スレート瓦(コロニアル)でも約20kgと言われますが、立平葺き屋根は1㎡あたり約4~5kg程度しかありません。
築年数の経った住宅において、屋根の軽量化は地震対策上非常に有効です。
【AFTER】縦葺き(立平葺き) 色:ブリックレッド
新しい屋根材色はブリックレッド(煉瓦色)です。緑豊かな豊能町の周辺環境にも映える暖色系でひときわ目を引きます。
ガルバリウム鋼板のカラー鋼板仕上げは発色が良く、耐候性塗料により色褪せもしにくいため、長期間にわたり建物を保護します。
今回のように「かわらU」の劣化が進んでいる場合、早めの対策が必要です。特に飛散や雨漏りといったリスクがあるため、補修よりも全面的な葺き替えをおすすめします。